兎の檻は誰が壊したか

音央とお

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第一章

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呼び出された訳でもないのに、足は自然と宙の部屋に向かっていた。
……今日も鍵は開いている。

「ちょっと、溜まったゴミ出しておいてよ」

出迎えた第一声がこれである。
暗い部屋の中、モニターに夢中な兄はカップラーメンを啜っていた。
部屋の中に匂いが充満している。

部屋の隅で、膝を抱えて座り込む。
どこにいても落ち着かなかった。この部屋だって、安全と言えるんだろうか。

ごくごくと汁まで飲み干した宙は、チェアの向きを変えた。軋む音が響く。

「その様子だと接触されたか。思ったより早い。愛されてんね、お前」

発言の意地が悪い。
睨みつけても、相手に効果が全くないのが嫌になる。

「もう興味なくしてくれてたら、都合が良かったんだぜ? アイツ、俺がモカに危ないことをさせないように先回りするの知らないだろう? 何度邪魔されたか数えたくもない」
「……知らないよ、そんなこと」

宙はペットボトルを開け、水を飲み干す。
またたく間に空になったそれを投げるが、ゴミ箱に弾かれて私の足元へと転がってきた。

「一度でも弱みを見せたお前がバカなんだよ。俺達みたいな人間は、それを見逃さない」

自分の男運を恨みたくなる。身内にすら敵がいるのだから。

「お兄ちゃんは、モカちゃんより頭が回るから教えてあげるよ。KINGを利用できるくらいの女になるか、全てを諦めるか、お前に残されているのはその2択だよ」


そんなの、言われなくたって分かっている。



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