神様だった人を、好きになってしまった話

音央とお

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エピローグ

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ある日の昼休み。

今日の図書当番は紫村先輩だというのに、伊藤さんは教室の中で魂が抜けたように動いていなかった。

「どうしたの?」と思わず声を掛けてしまう。

伊藤さんはホラー小説でも読んだかのように、怯えを表した。
そして語り始める。

「実は……。紫村先輩の秘密を知ってしまったかも。こっそり読書履歴を調べたら……なんというか……ちょっと私にはついていけない世界で」

それを聞いて私は天を仰いだ。
もう遅いけど、アドバイスをしておこう。

「読書っていうのは、人の性癖を見るようなものだから。安易に覗かないほうがいいよ」

「……性癖? そういうものなんだ……」

「まあ、これは大げさに言ってるだけなんだけど」

「……私、もう二度と履歴見ません」

ちょっとジョークのつもりだったけど。
紫村先輩の趣味は、伊藤さんに笑い飛ばせるものではなかったらしい。

「おはよう、吉田さん」

「またこんな時間に登校してきたの? 東雲くん」

遅刻常習犯が現れた。
夜のほうが筆が乗るそうで、夜更かししてしまうそう。

「あのさ」と東雲くんが口を開く。

「静って呼んでいい? 次の話のキャラクター作りのために」

「いいけど。次はどんなキャラクターなの?」

事前に申告してくるなんて珍しい。
何気ない興味で聞いてみたら、東雲くんははにかんだ。

「運命の恋をして、恋人を溺愛する話。……ちゃんと書けるように、再現、手伝ってくれる?」

「……まじか」

東雲くんはまた暴走するのかな?
いつもみたいに止めても良いの?

なんて迷っている時点で答えは出ているんだろう。


――きっとそれは、彼に振り回される私のありふれた日常になる話。




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