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第113話 教会事変-ヤンデレ少女メリー再び①
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「ふう。ログインするのも久しぶりだな……」
ここ数日、マスコミ対応に追われ、現実となったDWの世界にログインする事ができなかった。今日、ログインしたのは記者を華麗に撃退してくれたエレメンタル達にご褒美を上げる為である。
「よし。それじゃあ、早速行くか!」
そう言って、俺が向かう事にしたのは冒険者協会――に併設されている酒場である。
真昼間から食べるTKG(卵かけご飯)は最高だ。
それが、ゲーム世界でしか食べる事ができないペロペロザウルスの卵ともなれば尚更である。
意気揚々と宿を出て、冒険者協会に向かうと道中、どこからともなく叫び声が聞こえてくる。
「い、嫌ああああっ!」
「なんでっ……なんでこんな事に……」
「だ、誰かっ! 誰か! 回復薬を! 回復薬をお持ちの方はいませんか!?」
うん?
なんだなんなんだ? 喧嘩か? 問題事か?
気になるじゃないか。
俺の中の好奇心という名の野次馬根性が疼き、叫び声がした方向に足を向ける。
すると、教会の前に人だかりができていた。
叫び声は、どうやら教会からの様だ。
教会周辺に集る野次馬を掻き分け前に進むとそこには、血だらけの教会関係者が横たわっている。
「う、うわぁ……」
も、もう殆ど手遅れじゃないだろうか?
ナイフが突き刺さっていたのだろう。男の体には至る所に裂傷があり、辺りにはナイフが散らばっている。
「だ、誰か! 回復薬を、回復薬をお持ちの方はいらっしゃいませんか!? 司祭様がっ! 司祭様が悪霊に刺され重傷なのです!」
「誰か、誰か助けて下さいっ! お願いします! お願いします!」
教会に所属する人々が熱心に助けてと願いを捧げている。
そんな光景を見ながら俺は呟いた。
「あらら、こりゃ酷い……って、あれ?」
なんだかあのナイフ見た事がある様な……。
「あ、あれ……? あれあれ……?」
おかしいな。あんな禍々しいナイフ、どこで見たんだろ?
ふと、教会の中に視線を向けると、そこには縛られ猿轡をされたカイルの姿が見えた。
「OH……」
漆黒の魔法使いカイルとのまさかの邂逅。
カイルの姿を見た瞬間、俺は確信した。
そして、俺は裂傷だらけの重傷を負う司祭様に向けて走り出していた。
カ、カイルー!?
お前、ちょっ! 何やってんのぉー!?
高鳴る心臓。湧き上がる謎の焦燥感。
猿轡をされたカイルの近くに佇み、目に赤いハイライトを灯す『ヤンデレ少女』メリーさん。
泣きそうな表情を浮かべ、心配そうに司祭様の手を握るシスターに声をかける。
「だ、大丈夫ですかっ!」
「あ、あなたはっ?」
「ただの野次馬です。しかし、回復薬を持っています!」
突如として湧き上がる贖罪心。
アイテムストレージから『上級回復薬』を取り出すと、俺はそれを司祭の口に半分含ませ、半分を傷口にかけた。
上級回復薬を飲ませ、かけると司祭の傷がみるみる塞がっていく。
「ああ、ああっ、奇跡の様です! 司祭様の傷がっ!」
「これでもう安心です……」
司祭様の一命は取り止めた……しかし、大丈夫だろうか?
チラリとカイルに視線を向けると、『ムームー』呻き声を上げるカイルの傍らで、ヤンデレ少女メリーさんが怨嗟の視線を向けてくる。滅茶苦茶怖い。
「ご、ごふっ……い、一体何が……」
「ああ、ああっ、司祭様っ!」
上級回復薬の効果で目を覚ます司祭様。
その瞬間様、司祭の周囲に散らばるナイフが動き出す。
――カタカタカタカタッ
「あ、ああ、私は確か……あ、ああっ、ぎゃあああああああああっ!?」
そして、突如ナイフが浮かび上がると、再度、司祭にナイフが突き刺さった。
「し、司祭様? 司祭様ぁぁぁぁ!」
いや、本当に司祭様ぁー!
あんた何やったのっ!?
滅茶苦茶恨まれてるじゃん!
滅茶苦茶呪われているじゃん!?
これはもう間違いないだろう。
これは間違いなくヤンデレ少女メリーさんの呪い。
恐らく、司祭は俺がカイルに与えた呪いの装備。ブラックシリーズの呪いを解呪しようとした結果、メリーの怒りを買ったのだろう。
つーか、DWの世界にこんな怖い呪いなんてねーよ!
そこまでゲーム制作陣もマッドじゃないよ!
何? ゲーム世界が現実化したからこんな事になってんの?
現実世界になったからこんな事になってんの!?
「し、司祭様ぁー!」
死なないで!
おねがーい!
今、死なれたら、なんだか夢見が悪いからー!
心の中でそう叫び声を上げながら、本日、二本目となる上級回復薬を司祭様の口に含ませ、傷に振りかける。
上級回復薬は高額だ。
既に二本。日本円にして二千万円の価値のある回復薬を司祭様に使っている。
これ以上の使用はよろしくない。
司祭様のこれから送るであろう借金まみれの人生を考えれば尚更だ。
請求しないという選択肢はないのか?
当然、そんな選択肢はない。施すつもりもない。
シスターも『(お金なら幾らでも支払います)回復薬をお持ちの方はいらっしゃいませんか』と助けを求めていた。つまり、そういう事だ。いや話が反れた。今はそんな事を考えている場合ではない。
「サラマンダー、ウンディーネ!」
そう声を上げると、火の精霊サラマンダーと水の精霊ウンディーネが俺の考えを忖度し、司祭とシスターの守りに入った。
エレメンタルに護衛して貰えば取り敢えずは安全だ。
それにしても、この司祭様。一体、何をしたのだろうか?
ただ解呪に失敗した位でこうなるとは思えない。
「おい! 司祭様。起きろっ! 起きて―!」
傷は治した。しかし、今は悠長に寝ている場合じゃない。
今も数多のナイフが司祭様を襲い、そのすべてをエレメンタルが弾いている。
「おい! 司祭様! 起きろってっ! また刺されるぞ!」
また回復薬を使われたいのか?
三本目いったらお前の借金、日本円にして三千万円になっちまうぞ?
それでもいいのか??
そんな思いを抱えながら司祭様の胸倉を掴みガクガク揺する。
しかし、司祭様は目覚めない。
「くそっ、仕方がない……そこのシスター! 教会の中で何があった!?」
そう尋ねると、シスターはガクガク震えながら話始める。
「し、司祭様は装備にかけられた呪いを解呪しようとしただけで……」
「呪いを解呪? カイルが装備にかけられた呪いを解いて欲しいと、そう言ったのか?」
カイルの奴はヤンデレ少女メリーさんにぞっこんだった筈。
呪いの装備を解呪しに教会を訪れるとは思えない。
「そ、それは……あのお方が、メリーちゃんと結婚するから祝福をしてくれと司祭様に……司祭様はただ、呪いにどっぷり嵌って頭のおかしくなった子羊を救おうと……」
「な、なるほど……」
まあ、教会だしな……。
装備にかけられた呪いにどっぷり嵌っているカイルを見て解呪しようとしたのもなんだかわかる気がしてきた。
まあ、その結果、カイルに憑いているヤンデレ少女の怒りを買い今に至る訳だけど……。このまま司祭様を庇っていては、俺までメリーさんの怒りを買いそうだ。
「――よし。話はよくわかった。それじゃあ俺はこれで!」
「ち、ちょっと、お待ち下さい! 司祭様を置いてどこに行くおつもりですか!?」
「えっ? いや、冒険者協会だけど?」
すると、シスターは素っ頓狂な声を上げた。
「あ、あなたがいなくなったら司祭様が死んでしまいます!」
「えっ? でも……」
そんな事を言われても困る。だって、俺、まだ死にたくないし?
メリーさんと戦っても勝てる気がまるでしない。
っていうか、どうやって呪いと戦えばいいの?
教会の司祭様でも解呪できないんだよ?
精々、俺にできる事といえば、光属性の砲弾を取り出しモブ・フェンリルバズーカでぶっ放すこと位だ。
呪いだし光属性の砲弾は一応の効果があるかもしれないが、メリーさんにそれをぶっ放して怒りを買えば、今度は俺が滅多刺しにされてしまう。
とはいえ、シスターの言う事も一理ある。
「……いえ、確かにそうですね」
今、ここで司祭様に死なれては上級回復薬二本分の債権が回収不能になってしまう。
流石の俺も貸倒はごめんだ。
司祭様には生き残って貰わなければ……。
「それじゃあ、失礼して……」
そう言ってアイテムストレージから『契約書』を取り出すと、簡単な借用書を作成していく。
「あ、あの……。こんな時に一体何をされているのですか?」
「うん? ああ、気にしないで下さい」
この契約書があれば、気絶していてもちゃんと契約が結べるんで……なんて事は勿論言わない。
必要事項を記載した俺は、司祭様の手にペンを持たせ、その外柄から手を支えて名前を書いていく。
「司祭様っと……これでよし」
契約書は偽名でも発動する。これで上級回復薬二本分の金は回収できる。
後は、メリーさんをどうにかするだけだが……二千万コルの為だ。仕方がない。
「ち、ちょっと、何をやっているんですかっ!?」
「何って……」
そんな事は決まっている。
というより、見てわからないのだろうか?
「……司祭様と一緒にメリーさんの下に向かおうと思って?」
「いやいやいやいや! そんな事をしたら死んじゃいますよっ!?」
それを必死に止めようとするシスター。
そんなシスターに俺は安心させるよう微笑みかける。
「大丈夫。俺は死にませんから」
「いや、そういう事じゃなくて、司祭様が死んじゃうって言ってるんですよっ!」
「ああ、何だ。そういう事……」
シスターさん。てっきり俺の心配をしてくれているのかと思った。
どうやら違った様だ。
「でも、メリーさんを鎮めるには、司祭様が必要なので……」
「し、司祭様ぁぁぁぁ!」
そうシスターを強引に納得?させると、俺はアイテムストレージから取り出した台車に司祭様を乗せヤンデレ少女メリーさんの下に向かっていく。
――ズドズドズドズドッ!
等間隔に並ぶナイフ。教会に近付くたびにナイフが襲ってくる。
怖い。が、これも二千万コルを回収する為だ。
それに俺には、勝算がある。
教会の中に辿り着いた俺は、司祭様の着ている服を脱がし装着しようとする。
しかし、ここで問題が発生した。
「な、なにっ!?」
司祭様の服がMサイズで袖が通らなかったのだ。
それによく考えて見れば、俺は今、モブ・フェンリルスーツを装着している。
そして、このモブ・フェンリルスーツは俺のアイデンティティ。
「し、仕方がないか……」
これでは、態々、司祭様をここまで運んできた意味がまったくなくなってしまった。外で服を脱がすのは酷だろうと思い、ここまで運んできたのだが……まあいい。代替案なら既にある。
司祭様に服を返すと、アイテムストレージから『司祭』コスチュームを取り出す。
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2022年7月8日AM7時更新となります。
ここ数日、マスコミ対応に追われ、現実となったDWの世界にログインする事ができなかった。今日、ログインしたのは記者を華麗に撃退してくれたエレメンタル達にご褒美を上げる為である。
「よし。それじゃあ、早速行くか!」
そう言って、俺が向かう事にしたのは冒険者協会――に併設されている酒場である。
真昼間から食べるTKG(卵かけご飯)は最高だ。
それが、ゲーム世界でしか食べる事ができないペロペロザウルスの卵ともなれば尚更である。
意気揚々と宿を出て、冒険者協会に向かうと道中、どこからともなく叫び声が聞こえてくる。
「い、嫌ああああっ!」
「なんでっ……なんでこんな事に……」
「だ、誰かっ! 誰か! 回復薬を! 回復薬をお持ちの方はいませんか!?」
うん?
なんだなんなんだ? 喧嘩か? 問題事か?
気になるじゃないか。
俺の中の好奇心という名の野次馬根性が疼き、叫び声がした方向に足を向ける。
すると、教会の前に人だかりができていた。
叫び声は、どうやら教会からの様だ。
教会周辺に集る野次馬を掻き分け前に進むとそこには、血だらけの教会関係者が横たわっている。
「う、うわぁ……」
も、もう殆ど手遅れじゃないだろうか?
ナイフが突き刺さっていたのだろう。男の体には至る所に裂傷があり、辺りにはナイフが散らばっている。
「だ、誰か! 回復薬を、回復薬をお持ちの方はいらっしゃいませんか!? 司祭様がっ! 司祭様が悪霊に刺され重傷なのです!」
「誰か、誰か助けて下さいっ! お願いします! お願いします!」
教会に所属する人々が熱心に助けてと願いを捧げている。
そんな光景を見ながら俺は呟いた。
「あらら、こりゃ酷い……って、あれ?」
なんだかあのナイフ見た事がある様な……。
「あ、あれ……? あれあれ……?」
おかしいな。あんな禍々しいナイフ、どこで見たんだろ?
ふと、教会の中に視線を向けると、そこには縛られ猿轡をされたカイルの姿が見えた。
「OH……」
漆黒の魔法使いカイルとのまさかの邂逅。
カイルの姿を見た瞬間、俺は確信した。
そして、俺は裂傷だらけの重傷を負う司祭様に向けて走り出していた。
カ、カイルー!?
お前、ちょっ! 何やってんのぉー!?
高鳴る心臓。湧き上がる謎の焦燥感。
猿轡をされたカイルの近くに佇み、目に赤いハイライトを灯す『ヤンデレ少女』メリーさん。
泣きそうな表情を浮かべ、心配そうに司祭様の手を握るシスターに声をかける。
「だ、大丈夫ですかっ!」
「あ、あなたはっ?」
「ただの野次馬です。しかし、回復薬を持っています!」
突如として湧き上がる贖罪心。
アイテムストレージから『上級回復薬』を取り出すと、俺はそれを司祭の口に半分含ませ、半分を傷口にかけた。
上級回復薬を飲ませ、かけると司祭の傷がみるみる塞がっていく。
「ああ、ああっ、奇跡の様です! 司祭様の傷がっ!」
「これでもう安心です……」
司祭様の一命は取り止めた……しかし、大丈夫だろうか?
チラリとカイルに視線を向けると、『ムームー』呻き声を上げるカイルの傍らで、ヤンデレ少女メリーさんが怨嗟の視線を向けてくる。滅茶苦茶怖い。
「ご、ごふっ……い、一体何が……」
「ああ、ああっ、司祭様っ!」
上級回復薬の効果で目を覚ます司祭様。
その瞬間様、司祭の周囲に散らばるナイフが動き出す。
――カタカタカタカタッ
「あ、ああ、私は確か……あ、ああっ、ぎゃあああああああああっ!?」
そして、突如ナイフが浮かび上がると、再度、司祭にナイフが突き刺さった。
「し、司祭様? 司祭様ぁぁぁぁ!」
いや、本当に司祭様ぁー!
あんた何やったのっ!?
滅茶苦茶恨まれてるじゃん!
滅茶苦茶呪われているじゃん!?
これはもう間違いないだろう。
これは間違いなくヤンデレ少女メリーさんの呪い。
恐らく、司祭は俺がカイルに与えた呪いの装備。ブラックシリーズの呪いを解呪しようとした結果、メリーの怒りを買ったのだろう。
つーか、DWの世界にこんな怖い呪いなんてねーよ!
そこまでゲーム制作陣もマッドじゃないよ!
何? ゲーム世界が現実化したからこんな事になってんの?
現実世界になったからこんな事になってんの!?
「し、司祭様ぁー!」
死なないで!
おねがーい!
今、死なれたら、なんだか夢見が悪いからー!
心の中でそう叫び声を上げながら、本日、二本目となる上級回復薬を司祭様の口に含ませ、傷に振りかける。
上級回復薬は高額だ。
既に二本。日本円にして二千万円の価値のある回復薬を司祭様に使っている。
これ以上の使用はよろしくない。
司祭様のこれから送るであろう借金まみれの人生を考えれば尚更だ。
請求しないという選択肢はないのか?
当然、そんな選択肢はない。施すつもりもない。
シスターも『(お金なら幾らでも支払います)回復薬をお持ちの方はいらっしゃいませんか』と助けを求めていた。つまり、そういう事だ。いや話が反れた。今はそんな事を考えている場合ではない。
「サラマンダー、ウンディーネ!」
そう声を上げると、火の精霊サラマンダーと水の精霊ウンディーネが俺の考えを忖度し、司祭とシスターの守りに入った。
エレメンタルに護衛して貰えば取り敢えずは安全だ。
それにしても、この司祭様。一体、何をしたのだろうか?
ただ解呪に失敗した位でこうなるとは思えない。
「おい! 司祭様。起きろっ! 起きて―!」
傷は治した。しかし、今は悠長に寝ている場合じゃない。
今も数多のナイフが司祭様を襲い、そのすべてをエレメンタルが弾いている。
「おい! 司祭様! 起きろってっ! また刺されるぞ!」
また回復薬を使われたいのか?
三本目いったらお前の借金、日本円にして三千万円になっちまうぞ?
それでもいいのか??
そんな思いを抱えながら司祭様の胸倉を掴みガクガク揺する。
しかし、司祭様は目覚めない。
「くそっ、仕方がない……そこのシスター! 教会の中で何があった!?」
そう尋ねると、シスターはガクガク震えながら話始める。
「し、司祭様は装備にかけられた呪いを解呪しようとしただけで……」
「呪いを解呪? カイルが装備にかけられた呪いを解いて欲しいと、そう言ったのか?」
カイルの奴はヤンデレ少女メリーさんにぞっこんだった筈。
呪いの装備を解呪しに教会を訪れるとは思えない。
「そ、それは……あのお方が、メリーちゃんと結婚するから祝福をしてくれと司祭様に……司祭様はただ、呪いにどっぷり嵌って頭のおかしくなった子羊を救おうと……」
「な、なるほど……」
まあ、教会だしな……。
装備にかけられた呪いにどっぷり嵌っているカイルを見て解呪しようとしたのもなんだかわかる気がしてきた。
まあ、その結果、カイルに憑いているヤンデレ少女の怒りを買い今に至る訳だけど……。このまま司祭様を庇っていては、俺までメリーさんの怒りを買いそうだ。
「――よし。話はよくわかった。それじゃあ俺はこれで!」
「ち、ちょっと、お待ち下さい! 司祭様を置いてどこに行くおつもりですか!?」
「えっ? いや、冒険者協会だけど?」
すると、シスターは素っ頓狂な声を上げた。
「あ、あなたがいなくなったら司祭様が死んでしまいます!」
「えっ? でも……」
そんな事を言われても困る。だって、俺、まだ死にたくないし?
メリーさんと戦っても勝てる気がまるでしない。
っていうか、どうやって呪いと戦えばいいの?
教会の司祭様でも解呪できないんだよ?
精々、俺にできる事といえば、光属性の砲弾を取り出しモブ・フェンリルバズーカでぶっ放すこと位だ。
呪いだし光属性の砲弾は一応の効果があるかもしれないが、メリーさんにそれをぶっ放して怒りを買えば、今度は俺が滅多刺しにされてしまう。
とはいえ、シスターの言う事も一理ある。
「……いえ、確かにそうですね」
今、ここで司祭様に死なれては上級回復薬二本分の債権が回収不能になってしまう。
流石の俺も貸倒はごめんだ。
司祭様には生き残って貰わなければ……。
「それじゃあ、失礼して……」
そう言ってアイテムストレージから『契約書』を取り出すと、簡単な借用書を作成していく。
「あ、あの……。こんな時に一体何をされているのですか?」
「うん? ああ、気にしないで下さい」
この契約書があれば、気絶していてもちゃんと契約が結べるんで……なんて事は勿論言わない。
必要事項を記載した俺は、司祭様の手にペンを持たせ、その外柄から手を支えて名前を書いていく。
「司祭様っと……これでよし」
契約書は偽名でも発動する。これで上級回復薬二本分の金は回収できる。
後は、メリーさんをどうにかするだけだが……二千万コルの為だ。仕方がない。
「ち、ちょっと、何をやっているんですかっ!?」
「何って……」
そんな事は決まっている。
というより、見てわからないのだろうか?
「……司祭様と一緒にメリーさんの下に向かおうと思って?」
「いやいやいやいや! そんな事をしたら死んじゃいますよっ!?」
それを必死に止めようとするシスター。
そんなシスターに俺は安心させるよう微笑みかける。
「大丈夫。俺は死にませんから」
「いや、そういう事じゃなくて、司祭様が死んじゃうって言ってるんですよっ!」
「ああ、何だ。そういう事……」
シスターさん。てっきり俺の心配をしてくれているのかと思った。
どうやら違った様だ。
「でも、メリーさんを鎮めるには、司祭様が必要なので……」
「し、司祭様ぁぁぁぁ!」
そうシスターを強引に納得?させると、俺はアイテムストレージから取り出した台車に司祭様を乗せヤンデレ少女メリーさんの下に向かっていく。
――ズドズドズドズドッ!
等間隔に並ぶナイフ。教会に近付くたびにナイフが襲ってくる。
怖い。が、これも二千万コルを回収する為だ。
それに俺には、勝算がある。
教会の中に辿り着いた俺は、司祭様の着ている服を脱がし装着しようとする。
しかし、ここで問題が発生した。
「な、なにっ!?」
司祭様の服がMサイズで袖が通らなかったのだ。
それによく考えて見れば、俺は今、モブ・フェンリルスーツを装着している。
そして、このモブ・フェンリルスーツは俺のアイデンティティ。
「し、仕方がないか……」
これでは、態々、司祭様をここまで運んできた意味がまったくなくなってしまった。外で服を脱がすのは酷だろうと思い、ここまで運んできたのだが……まあいい。代替案なら既にある。
司祭様に服を返すと、アイテムストレージから『司祭』コスチュームを取り出す。
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2022年7月8日AM7時更新となります。
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