ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ

文字の大きさ
386 / 411

第386話 獅子身中の虫と成る教会関係者

しおりを挟む
「――はっ? それはどう言う……」

 うん? ちょっと、何を言っているかわからない。俺の理解力が乏し過ぎるのだろうか?

「どうもこうも、俺は最初から飲物に毒が入っているなんて言っていない。ただ、目の前でタラタランチュラの死骸を見せただけだ」

 そう正直に告げると、教会関係者達は揃って顔を見合わせる。

「で、では、状態異常回復薬を出したのは……」

 そんな事は決まっている。

「こんな気持ち悪い毒蜘蛛を目の前に出されたら気分を害するだろうが。少なくとも、俺なら吐き気を催す。そんな時、役に立つのが状態異常回復薬だ。少しばかり高いがその効果は折紙付き。飲めば立ち所に気分は爽快。胃の不快感を感じなくなる。だから出しただけだ。それがどうかしたのか? まさかとは思うが、俺がお前達の飲み物に一服盛ったとか失礼な事を考えている訳じゃないよな?」

 事実、そんな風に誘導したが、よく考えて見れば分かるはずだ。
 ここは仮にも駐屯所だぞ?
 兵士に対する命令権を持たない俺が毒を盛れる筈がないだろ。
 そう開き直ると、教会関係者達は揃って床にへたり込んだ。

「わ、私達は騙されていたのか……」
「なんという事を……」

 人聞きの悪い事を言う奴である。

「騙してなんかいない。飲み物に毒を盛ったなんて一言も言ってないからな。お前達が勝手にそう思い込んだだけだ」

 まったく失礼な奴等だ。それでも聖職者か?
 自分の失態を人のせいにするなんて小学生かよ。お前らは全員、いい年した大人だろうが。よくそんなんで聖職者を名乗れるな。
 恥ずかしくないのか?
 もう一度、教義を学び直してこい。

 すると、レンティが悔しそうな表情を浮かべる。

「申し訳ございません、猊下。愚かな私をお許し下さい」

 いや、多分、猊下は許してくれないと思うよ。お前が愚かである事に関しては何の疑いもないが、あいつ心が極端に狭そうだったし……

 俺が見た所、心が鋭角に曲がってる。何なら自分の事を我と呼ぶ自意識過剰なイカれ野郎だった。
 俺なら御免だね。あんなクソ野郎を猊下呼びするのは……精々、我君と呼ぶのが精一杯の誠意だ。
 え? 何で、我君なのかって?
 我我我我五月蝿いからだよ。敵対関係にあるし、そんな奴、我君呼びでいいだろ。

 しかし、これでセントラル王国内にある教会の一つを掌握した。
 契約書と隷属の首輪で縛っているので、我君サイドに情報が伝わる事はない。

「歓談はこれまでにして、これからの話をしよう。時間は有限だからな」

 こうしている内にも、セイヤこと我君が国家転覆に向け動いていてもおかしくない。
 我君がセントラル王国侵略に動くまでが勝負だ。
 それまでの間に、セントラル王国内にある教会を掌握しなければならない。

「……我々を捕らえどうするつもりだ」
「うん?」

 多額の借金を抱え、隷属の首輪を身に付けた生臭助祭が何を言っているんだ?

「決まっている。王国内にある教会すべてを掌握するんだよ。聖国に王国を侵略されない為にな。だから力を貸せ。具体的には、我君にバレず教会を掌握する方法を教えろ」
「そ、そんな方法、ある筈ないだろっ!」

 即答か……まあそんな上手い話ある訳ないか……

 そんな事を考えていると、俺の質問に即答したレンティの首輪が締まり始める。

「う……ぐっ……な、何故だ。私は嘘は言ってな……」

 あーなるほど、こういう時、隷属の首輪って便利だよね。
 レンティの首を絞め続ける隷属の首輪に触り、ペナルティを解除すると俺は笑顔を浮かべたまま肩を組む。

「嘘は言ってないが、心当たりはあると言うことかな? それじゃあ、その心当たりとやらを聞かせて貰おうじゃないか。借金まみれのレンティ君……」
「こ、このぉ……!」

 どうやら、レンティは俺の馴れ馴れしい態度が気に食わなかったらしい。
 怒りで顔を真っ赤に染め上げると、レンティは吐き捨てるように言う。

「二日後、王都で司教会議がある……セントラル王国内の教会から司教を含め各三人づつ参加する予定だ……」
「なるほど、司教会議か……」

 それはいい事を聞いた。

「……つまり、その日、他の司教達もお前達と同様の罠にはめ、支配下に置けと、そう言う事だな?」
「いや、そんな事、一言も言っとらんわ!?」
「いやいや、謙遜しなくていい。ナイスアイディア。流石はレンティ助祭だよ。どっかの我君に君の爪の垢を煎じて飲ましてやりたい位だ」

 そう称賛の言葉を送ると、レンティは頭を抱え蹲る。

「申し訳ございません。申し訳ございません。申し訳ございません。申し訳ございません。猊下……!」

 そして、ブツブツと意味不明な言葉を告げると狂った様に床に頭を当て始めた。
 実に怖い光景だ。俺が思うに教会という組織は閉鎖的で相当息苦しい組織なのだろう。
 そのトップが我君ともなれば尚更だ。

 壊れたレンティを放置すると、俺は残った教会関係者に命令する。

「二日後、客人が王都にやってくる。隷属の首輪と契約書を用意するから客人全員をお前らと一緒の目に遭わせてやれ」
「「「…………」」」

 当然の如く返事をしない教会関係者共に俺は笑顔を浮かべながらゲンドウポーズを極める。

「返事がないな。君達の教義とやらを俺に見せ付けるのは構わないが、それに気を咎めるほど俺の心は繊細ではない。隷属の首輪に締め殺されたくなければ、俺からの命令にはすべて『はい』と答えろ。少なくとも、借金すべてを返済するまでの間はな……。忘れているかもしれないが、お前らは我君という侵略者の片棒を担ぐ借金奴隷。慈悲はない。死にたくなければ、聖国を裏切り俺に寝返れ。それにこれは強制ではない。ちなみに無駄とは思うが、死ぬ覚悟を持てば、俺に一矢報いる事はできる。本当にただの無駄死なので意味がないので止めてほしい所だが、己の命をもって俺の手を煩わせたいならそれなりに有効な手段だ」

 その上で問おう。

「やるか、やらないかを今決めろ。やるなら『はい』。やらないなら何も言わなくていい。文字通り自分の首を締めるだけだ。五秒以内に返事しろ。これは命令だ」

 すると教会関係者達は皆命が惜しいのか困惑した表情を浮かべながらも揃って声を上げる。

「「「は、はい」」」
「……良い返事だ。君達の裏切りに感謝する。借金返済と共に隷属の首輪を外し、契約書の内容を破棄する事を今、ここに約束しよう。それでは今日の所はこれで解散。聖国からの侵略を皆一丸となって止めようじゃないか」

 そう言うと、教会関係者は皆、一丸となって苦い表情を浮かべた。
しおりを挟む
感想 558

あなたにおすすめの小説

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

処理中です...