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第33話 エピローグ(第一部)
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「クククッ! 良いぞ。良い状況ではないか……」
ここは大魔王コサカが侵略した亡国。もといボウ国の王城。
大魔王コサカは王城でハジマリノ王国の周辺諸国に制裁を下していく勇者マコトの姿をアイスクリーム片手に見ていた。
「あ奴はワシと同じ道を驀進しておる……。ワシが思うにあと一ヶ月。あと一ヶ月でこの世に住む人間共に魔王と呼ばれる存在になるだろう。いや、もしかしたらもう既に……」
勇者マコトを擁護する訳ではないが、かなり昔、全世界を制覇した時のワシもそんな感じだった。
多くの美女を待らせ、ワシに逆らう国を罰し、自分の思い通りにならない事があれば世界を改変してでも思い通りにしてきた。
まあ、その結果がこれなのだが……。
そんな話はどうでも良い。
大事なのは何を成したか。これから何を成そうというのか。それだけだ。
あ奴は今、美女を待らせイチャイチャイチャイチャしているが、どうせすぐに飽きが来る。
ワシの体験談なのだから間違いない。
今迄、この世界を支配していた魔王ハセガワを倒すという意思の元、頑張って来れた様だが見てみろ!
魔王ハセガワを倒し、大魔王コサカ……。ワシを南極大陸とボウ国に縛り付け全世界の半分を手中に収めた今、奴は日を追う毎にただのヒキニート。つまり王城に引きこもるニートに成りつつある。
なまじ、金と権力を持っているせいで気付いていないのだろう。
自分が今、ヒキニートになっている事に……。
憐れな奴だ。
≪大魔王眼≫でマコトの姿を見てみると、引き締まった筈の体型が、何不自由する事のないニート生活によりだらしない体型に変貌していた。
「こ奴。本当に勇者本人か?」
ワシ自身、勇者マコトの変貌っぷりに驚かされるばかり。
一体ワシは今、何を見せられているのだろうか?
ジッと≪大魔王眼≫でマコトの事を確認すると、美女とイチャつきながら酒を呷っていた。
朝から晩まで酒を飲み美女とイチャつくとは……。
全世界を制覇すると人はここまで変わってしまうものなのか……。
ワシの時ですらこんな事はしない。もう少し節度を持って全世界を支配していた。
驚きのあまり声も出ない。
とはいえ、勇者マコトのこの姿を見ていると、録画するだけ録画して晒した方が面白い事になるのではないかという気分になってくる。
まあ取り敢えず録画しておこう。
間違いなくコレは奴にとっての黒歴史。
どうせあと100年経てばワシの時代がやってくる。
それまでの間、ボウ国でひと時の休養をしてやるわ。
すると、勇者マコトがカメラ目線でこちらに向かって話しかけてくる。
『おいテメェ! 大魔王コサカァァァァ! 俺様の事を盗撮していやがるな! 事が済んだらすぐにテメェの元に向かってやる。汚ねぇ首でも洗って待っているんだなぁ!』
勇者マコトはそれだけ言うと急に画面が途切れた。
「ヤバい……。何故盗撮している事がバレたんだ……」
勇者マコトはやると言ったからには必ずやる男。
そこに善悪は関係ない。自分の心の秤に気持ちを乗せ行動するだけの男だ。
「き、緊急事態宣言を! 緊急事態宣言を発令しろォォォォォ!」
大魔王コサカがそう叫んだ途端、ボウ国の魔物達の声が木霊する。
「な、何が起こっているというのだ!」
「ほ、報告します! 大魔王コサカ様が勇者マコトとの通信を終えた瞬間、隕石が……。隕石がこの土地に向かって来ております!」
「な、何じゃと!」
勇者マコトめ、とんでもない事をしてくれた。
怒りのあまり我を失い、この星に隕石を降らせおったぁぁぁぁ!
「どうするんじゃコレ! どうすんのコレっ!」
大魔王コサカは部下の首元を掴むとゆさゆさ揺らしながらそう呟く。
「だ、大丈夫です! 勇者マコトもこの地に住んでおります! この地に隕石をぶつける等ある筈がありません!」
「だ、だが! 現に近付いてきているではないかぁぁぁぁ!」
大魔王コサカは今も近付く隕石の大きさに驚き、叫び声を上げる。
そして、その星が大魔王コサカの目前に迫った時、コサカは死を悟った。
そして脳内で呟く。
「次は勇者マコトと係わりのない魔王に生まれ変わる事ができますように」と……。
そして勇者マコトの降らせた隕石がボウ国全体にが降り注ぐと、ボウ国を完全に消滅させた。
数日後……。
「おのれ……勇者マコトめ……。おのれぇぇぇぇ!」
奇跡的に助かった大魔王コサカは瓦礫の中から這い出ると、怨嗟の声を声高々に叫ぶ。
大魔王コサカが周囲を見渡すと、そこには何も残されていなかった。
怒りの表情を浮かべながら大魔王コサカは呟く。
「勇者マコトよ。ひと時の平穏を噛み締めるがいい。お前はワシを怒らせた。次はないと知れ!」
大魔王コサカは瓦礫崩れる中、そう怨嗟の声を呟いた。
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ご愛読ありがとうございました!
この話で一部完となります!
現在、仕事とは別件で忙しくなりつつあり、一旦、本作を休載させて頂きます。
『転移世界のアウトサイダー』の方は毎日欠かさず午前7時に更新する予定ですので、今後ともよろしくお願い致します。
ここは大魔王コサカが侵略した亡国。もといボウ国の王城。
大魔王コサカは王城でハジマリノ王国の周辺諸国に制裁を下していく勇者マコトの姿をアイスクリーム片手に見ていた。
「あ奴はワシと同じ道を驀進しておる……。ワシが思うにあと一ヶ月。あと一ヶ月でこの世に住む人間共に魔王と呼ばれる存在になるだろう。いや、もしかしたらもう既に……」
勇者マコトを擁護する訳ではないが、かなり昔、全世界を制覇した時のワシもそんな感じだった。
多くの美女を待らせ、ワシに逆らう国を罰し、自分の思い通りにならない事があれば世界を改変してでも思い通りにしてきた。
まあ、その結果がこれなのだが……。
そんな話はどうでも良い。
大事なのは何を成したか。これから何を成そうというのか。それだけだ。
あ奴は今、美女を待らせイチャイチャイチャイチャしているが、どうせすぐに飽きが来る。
ワシの体験談なのだから間違いない。
今迄、この世界を支配していた魔王ハセガワを倒すという意思の元、頑張って来れた様だが見てみろ!
魔王ハセガワを倒し、大魔王コサカ……。ワシを南極大陸とボウ国に縛り付け全世界の半分を手中に収めた今、奴は日を追う毎にただのヒキニート。つまり王城に引きこもるニートに成りつつある。
なまじ、金と権力を持っているせいで気付いていないのだろう。
自分が今、ヒキニートになっている事に……。
憐れな奴だ。
≪大魔王眼≫でマコトの姿を見てみると、引き締まった筈の体型が、何不自由する事のないニート生活によりだらしない体型に変貌していた。
「こ奴。本当に勇者本人か?」
ワシ自身、勇者マコトの変貌っぷりに驚かされるばかり。
一体ワシは今、何を見せられているのだろうか?
ジッと≪大魔王眼≫でマコトの事を確認すると、美女とイチャつきながら酒を呷っていた。
朝から晩まで酒を飲み美女とイチャつくとは……。
全世界を制覇すると人はここまで変わってしまうものなのか……。
ワシの時ですらこんな事はしない。もう少し節度を持って全世界を支配していた。
驚きのあまり声も出ない。
とはいえ、勇者マコトのこの姿を見ていると、録画するだけ録画して晒した方が面白い事になるのではないかという気分になってくる。
まあ取り敢えず録画しておこう。
間違いなくコレは奴にとっての黒歴史。
どうせあと100年経てばワシの時代がやってくる。
それまでの間、ボウ国でひと時の休養をしてやるわ。
すると、勇者マコトがカメラ目線でこちらに向かって話しかけてくる。
『おいテメェ! 大魔王コサカァァァァ! 俺様の事を盗撮していやがるな! 事が済んだらすぐにテメェの元に向かってやる。汚ねぇ首でも洗って待っているんだなぁ!』
勇者マコトはそれだけ言うと急に画面が途切れた。
「ヤバい……。何故盗撮している事がバレたんだ……」
勇者マコトはやると言ったからには必ずやる男。
そこに善悪は関係ない。自分の心の秤に気持ちを乗せ行動するだけの男だ。
「き、緊急事態宣言を! 緊急事態宣言を発令しろォォォォォ!」
大魔王コサカがそう叫んだ途端、ボウ国の魔物達の声が木霊する。
「な、何が起こっているというのだ!」
「ほ、報告します! 大魔王コサカ様が勇者マコトとの通信を終えた瞬間、隕石が……。隕石がこの土地に向かって来ております!」
「な、何じゃと!」
勇者マコトめ、とんでもない事をしてくれた。
怒りのあまり我を失い、この星に隕石を降らせおったぁぁぁぁ!
「どうするんじゃコレ! どうすんのコレっ!」
大魔王コサカは部下の首元を掴むとゆさゆさ揺らしながらそう呟く。
「だ、大丈夫です! 勇者マコトもこの地に住んでおります! この地に隕石をぶつける等ある筈がありません!」
「だ、だが! 現に近付いてきているではないかぁぁぁぁ!」
大魔王コサカは今も近付く隕石の大きさに驚き、叫び声を上げる。
そして、その星が大魔王コサカの目前に迫った時、コサカは死を悟った。
そして脳内で呟く。
「次は勇者マコトと係わりのない魔王に生まれ変わる事ができますように」と……。
そして勇者マコトの降らせた隕石がボウ国全体にが降り注ぐと、ボウ国を完全に消滅させた。
数日後……。
「おのれ……勇者マコトめ……。おのれぇぇぇぇ!」
奇跡的に助かった大魔王コサカは瓦礫の中から這い出ると、怨嗟の声を声高々に叫ぶ。
大魔王コサカが周囲を見渡すと、そこには何も残されていなかった。
怒りの表情を浮かべながら大魔王コサカは呟く。
「勇者マコトよ。ひと時の平穏を噛み締めるがいい。お前はワシを怒らせた。次はないと知れ!」
大魔王コサカは瓦礫崩れる中、そう怨嗟の声を呟いた。
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ご愛読ありがとうございました!
この話で一部完となります!
現在、仕事とは別件で忙しくなりつつあり、一旦、本作を休載させて頂きます。
『転移世界のアウトサイダー』の方は毎日欠かさず午前7時に更新する予定ですので、今後ともよろしくお願い致します。
応援ありがとうございます!
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(。・ω・)ノ゙ コンチャスなんか面白そうだったからお気に入りしと来ました
1部完走お疲れ様です
マコト君ははどこかの悪代官見たい♥️
感想ありがとうございます。
やっている事は本当に悪代官ですw
これからも、本作品をよろしくお願い致します!!
マコト君は最早止まらない停←められない(* ̄∇ ̄*)
感想ありがとうございます。
大魔王コサカにも止める事はできませんw
これからも、本作品をよろしくお願い致します!!