寒がり高校生は、ホットドリンクを飲みすぎて部活の外周中におしっこを催してしまい…?

こじらせた処女

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3(学校でみんなの前で…)

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だめだ。このままじゃ何年経っても辿りつかない。
ぎゅうううう、と前を握りしめて、ありったけの力で引っ込める。
(少し…楽…)
走れる時に走らなきゃ。ここにはトイレがないんだから。学校で、ちゃんと。

「っ、ふ…ぅ、」
パンツが何度か温かくなるたび、前を押さえた。というか、ズボンの中に手を入れて走っていたと思う。尻も出て、前屈みで側から見たらすごく滑稽な格好。でも、途中止まりながらも坂も登って、校門前まで見えた。
「がんばれー」
マネージャー達が待っていてくれている。
流石に前を押さえるのは恥ずかしいから、ズボンを引き上げながらゴールに向かう。
「っは…ぁ…」
ついた。足がガクガク震えて火照った顔からどっと汗が出てくる。これで、トイレ。おしっこ。早く。
「ぁ……」
「ん?梓くん?どうした?」
走るのをやめた瞬間、膀胱が今までにない切迫感を見せた。考えるよりも先に、おしっこ、出てる。
「ぁ、あ、ああ、」
じょぉ…じょおおおおおおおっ、
ズボンを突き破る勢いの重い水流。必死でズボンを引き上げるけど、勢いを増す要因にしかならない。
じゅびぃいいいいいいっ
前を親指と人差し指で押さえてしゃがみ込む。何で。せっかく学校着いたのに。せっかく頑張ったのに。
ホカホカと上がる湯気。さっき飲んだレモネードを思い出してしまう。折角嬉しい気持ちだったのに。今日はいい日だと思ったのに。
「梓くん、大丈夫?」
「とりあえず着替え…」
マネージャーの困惑した声。最悪。女の人なのに。顔も醜態も全部見られたくなくて腕で顔を覆った。
「なになにどしたの?」
また人が集まってきた。あ、先輩の声する。ぼろりと涙が溢れた。
「あー…我慢できんかったかー…あそこの辺トイレないもんなー」
梓、と耳元で声がする。
「びっくりしたな。ここじゃ寒いから移動すっか」
背を優しく撫でられて、腕を何度か叩かれる。
「ごめんマネージャー。コイツ、異性に見られるのしんどいと思うんだわ。ちょっとだけ向こう行っててもらえるか?」
もういやだ。高校生にもなって、こんな。あんなに調子に乗って飲まなきゃ良かった。いいや、その前に走る前に済ませておけば。トイレ管理しなきゃって何歳の話だよ。みんな絶対引いてる。折角可愛がってもらっていたのに。もう部活やめようかな。
「梓?体冷えるから移動すっか。立てそ?」
内田先輩の声。圧の強い喋り方しか聞いたことないからこんなに優しい声、初めて聞いた。
「ん、こっち」
下を向いたまま。未だ止まらない涙をこぼしながら。顔、見れない。上向けない。
「あーずさ。俺しか居ないから。こっち向きな?」
「だ、って、」
「そーいう日もあるって!!よく学校まで我慢した!偉い!」

「っ、も゛、ぶかつやめる゛、」
「えぇ!?ちょっとちょっと…まてまてまて!!な?」
「だって、も゛、やだぁ…」
「まって、やめるのだけはやめてっっ、困るっ」
「まねーじゃー、とか、きらわれた、」
「いやいや、嫌わん嫌わん、とりあえず着替えいこ!?な?」
腕を引っ張られて脱衣所に連れてかれる。夏はよく使っていたシャワー室は乾いて水垢でくすんでいる。
「1人でできそ?」
かじかんだ手で紐を緩めようとするも、固くて中々外れない。
「あー手赤すぎ。かしてみ」
未だにボロボロと止まらない涙に鼻水。先輩は泣きすぎと笑った。
「あー足もめっちゃ冷たいじゃん。明日風邪ひくんじゃね?」
「ひきたい゛、も゛、いきたくない、」
「そーかそーか。いきたくないかー。はいばんざーい」
言われるがまま体を動かすと、冷気がブワッと体を包む。
「おいで。先輩が流したげよう」
「ひとりで、できる、」
「お前絶対出てこんくなるだろ。風邪ひくから早くしねーと。ほら行くよ」
寒い。体が意図しなくても震えて、濡れたところは感覚がない。
「早く出るぞ。風邪ひくから」
水が地面を叩く。
「うわっつめたっ、」
冷たかった水はやがて湯気を立て始め、俺の下半身に優しく当てた。
「ちょっと熱い?」
「…はい、」
「外寒いからこれくらいが良いかもな。どうする?この後ミーティング出れそう?」
「……きょうは…」
「そかそか。じゃあ俺も一緒に帰るわ。その代わり明日は来いよ」
「…やめたい、ぶかつ、いきたくない、」
「それはナシ。教室まで迎えに行くからな。終わり。上がるぞ」

ご丁寧に体まで拭かれて、髪も丁寧に拭ってくれる。寒いから、とコーンスープの缶を握らされ、マフラーも手袋も巻かれた。
「寒くないか?」
「…はい…」
「泣きすぎ。目赤くなってる」
冷たい指先が目の下に当たる。
「誰も気にしないから。安心しておいで」
外に出ると冷たい風が吹いていてより一層寒い。頭がぼーっとしている。眠くて、だるい。
「しっかりあったかくして寝ろよ」
「…はぃ…」
「よし」
先輩の家は徒歩圏内なのに、駅まで送ってくれて、お菓子を買ってくれた。
「また明日な」
乱雑に頭を撫でられてまた、目頭が熱くなる。泣くな泣くなと笑う先輩に少し安心した。



「あ、梓くん。おはよ」
朝練前、校門の前でダラダラと歩いていると、マネージャーの方に声をかけられる。
「ぁ、の、昨日…は…」
声が震える。恥ずかしくて恥ずかしくて帰りたい。
「ん?なんの事?ほら早く着替えてきな」
強く背中を叩かれ思わずつまづいてしまう。
「…ありがとうございました、」
聞こえたか聞こえなかったか分からない声で呟いて走って逃げた。


「あ、梓来た!!!!」
更衣室に入るなりいきなり叫ばれ何人もの先輩から抱きつかれる。
「よかったぁ…来てくれて…梓くんいないと寂しいよぉ、」
「ほっぺ冷たいねぇ、先輩があっためてあげる…カイロばさみーーーー!!!」
ロッカーに誘導され、早く開けてと促される。促されるまま開けると、俺の好きなチョコのお菓子が5つも入っている。
「これ…コンビニの高いやつ…」
「1人で来れたな。よく頑張りましたってことで」
内田先輩が耳元でひそりと言う。雑に頭を撫でる手に安心と、温かさを感じた。
 やっぱり部活、続けよう。










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