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『おい、ビールは?』
『…あ、えっと、買えなくて…』
『何で』
『未成年は、ダメって、』
『なら盗んでこいよ。言われな分からんか?』
頭皮が痛い。髪を引っ張られているから。頬も、腹も、脛も、全部痛い。多分怒る理由はなんでも良い。風呂場に髪の毛が落ちていたから、とか、自分より先に寝ていたから、とか。まるで自分が雑巾みたいって思った。だから、光輝さんの家で人間以上の扱いをしてもらえて嬉しくて、怯えなくてもよくて。だから、自分に向いていない怒鳴り声ごときで苦しくなってしまう、甘えた人間ができてしまったんだ。
「っ、」
一瞬、体が浮いた。夢の中で殴られて、倒れ込んだと同時に現実に戻ってきた。また心臓が煩くて、寝ていたのに俺の顔は濡れていて。
「あれ、…あれ、」
体びっしょびしょ。汗、それに…。
「なんで、おれ、そんなの、」
こんなの、最後にしたのなんて、小学校上がる前とかだったのに。どれだけ辛くても、こんな失敗しなかったのに。
「どうしよう、どうしよっ、」
ヒクヒクと引き攣る喉がうるさい。高校生にもなって号泣しながらシーツを外す。焦っていた。早く掃除しないと殴られる、怒られるって。シーツは自分で何度も変えている。でも、おしっこで汚れたシーツは洗ったことがない。マットレスだって洗わなきゃいけなくて、でも脳みそが縮んだみたいに何も考えられなくて。濡れて汚れたものを全部風呂場に引きずっていく。どうやったら良いか分かんないから乱雑にシャワーを当てて、でもよく分かんなくて泣いて。
「あっ、」
棚のボディーソープとか、カミソリとかスポンジが全部落ちて、もうぐちゃぐちゃ。
「なんかすごい音したけど…」
突然自分じゃない声が聞こえて、肩が跳ねる。
「どした?」
「あ、ごめ、片付ける、」
足がガクガクする。目とか合わせられない。あ、こっち来る。
叩かれる。
「ひぃ、」
しょおおおおおおおおおぉ…
「…あれ、え、」
どうしよう。しとしとと重ねて濡れそぼる股間を見つめて、頭を庇う。
「あ、おしっこ、でてます、」
何言ってんの俺。何してんの俺。こーこーせいにもなって、おしっこいっぱい漏らして、おねしょもして。
「ゆるして、たたかないで、」
しゃがんで、みっともなく蹲って、前をぎゅうぎゅうに押さえて。
「叩かんよ」
あ、そうだ。ここ光輝さんの家だ。半分頭では分かっていた。なのに、何でこんなに取り乱しちゃったんだろう。頭はパニックなのに笑ってしまう。
「ごめ、なさい、おもらししました、」
「別に悪いことじゃないよ」
あ、背中撫でられてる。おしっこ、止めきれなくてちょっとずつ出ちゃってる。
「ごめ、なさい、」
「ん、大丈夫。おしっこ出ちゃうのは、ダメじゃない。分かる?」
「わるく、ない、」
「ん。そう。だから、我慢しなくていいよね?止めちゃったら体しんどいよね?」
「しんどい、うん、」
「全部出しちゃおっか」
「だす、」
「そーそー。しーしーできそ?」
「しーしー、…」
押さえまくった手を撫でられて、ゆっくりと外される。濡れた服越しに下腹部を優しく撫でられる。
「ぁっ、」
さっき止めたものがまた、排泄されていく。
「ごめ、なさい、」
「謝らない。悪いことしてないもん。終わった?」
「…おわった、」
「よくできました。びっくりしたね」
撫でられる頭も、優しい顔も、あったかい手も。全部全部安心する。
「安心の、あれして、ぎゅーして、」
震えていた唇も、手も、足も、光輝さんに抱きしめられるだけで全部楽になる。
恥ずかしいけど言ってしまった。言わないと死んでしまいそうなくらいに怖かった。
「風邪ひいちゃうから着替えよっか」
「…ごめん、取り乱しました、」
「いーえ。落ち着いたならよかった」
「あと、布団やばいです、」
「怖い夢見た?」
「昔のやつ…夢見わるかった、」
「それは後でココアであったまろうコースだね」
「…やだよ、また漏らすじゃん。てか俺やばい。何で全部風呂場持ってきちゃったんだろう」
「びっくりしちゃったんでしょ。てか布団なんてどうでも良いから着替え」
こんなに自分を大切にされたことが無いから、一挙一動がぎこちなくなってしまう。あったかいシャワーで流されて、ふかふかのタオルで優しく水分を拭き取られ。パンツもズボンも全部光輝さんが足の部分を広げて持っている。
「俺…高校生なんだけど」
「別に高校生が1人で着替えなきゃダメなんて法律はないでしょ」
ドライヤーで髪を乾かしてもらって、それからやっと布団の処理をして。
寝れないだろうからとリビングに連れて行かれて温かいココアを渡される。
時計を見たらもう、朝の5:00。ベランダに干された布団達の隙間から光が漏れた。
「今日も休んじゃいなよ。ろくに眠れてないでしょ」
「…明日は行きますから」
「ん。鳴はちゃんと頑張ってるからね。それだけは忘れちゃだめだよ」
「…はい」
『…あ、えっと、買えなくて…』
『何で』
『未成年は、ダメって、』
『なら盗んでこいよ。言われな分からんか?』
頭皮が痛い。髪を引っ張られているから。頬も、腹も、脛も、全部痛い。多分怒る理由はなんでも良い。風呂場に髪の毛が落ちていたから、とか、自分より先に寝ていたから、とか。まるで自分が雑巾みたいって思った。だから、光輝さんの家で人間以上の扱いをしてもらえて嬉しくて、怯えなくてもよくて。だから、自分に向いていない怒鳴り声ごときで苦しくなってしまう、甘えた人間ができてしまったんだ。
「っ、」
一瞬、体が浮いた。夢の中で殴られて、倒れ込んだと同時に現実に戻ってきた。また心臓が煩くて、寝ていたのに俺の顔は濡れていて。
「あれ、…あれ、」
体びっしょびしょ。汗、それに…。
「なんで、おれ、そんなの、」
こんなの、最後にしたのなんて、小学校上がる前とかだったのに。どれだけ辛くても、こんな失敗しなかったのに。
「どうしよう、どうしよっ、」
ヒクヒクと引き攣る喉がうるさい。高校生にもなって号泣しながらシーツを外す。焦っていた。早く掃除しないと殴られる、怒られるって。シーツは自分で何度も変えている。でも、おしっこで汚れたシーツは洗ったことがない。マットレスだって洗わなきゃいけなくて、でも脳みそが縮んだみたいに何も考えられなくて。濡れて汚れたものを全部風呂場に引きずっていく。どうやったら良いか分かんないから乱雑にシャワーを当てて、でもよく分かんなくて泣いて。
「あっ、」
棚のボディーソープとか、カミソリとかスポンジが全部落ちて、もうぐちゃぐちゃ。
「なんかすごい音したけど…」
突然自分じゃない声が聞こえて、肩が跳ねる。
「どした?」
「あ、ごめ、片付ける、」
足がガクガクする。目とか合わせられない。あ、こっち来る。
叩かれる。
「ひぃ、」
しょおおおおおおおおおぉ…
「…あれ、え、」
どうしよう。しとしとと重ねて濡れそぼる股間を見つめて、頭を庇う。
「あ、おしっこ、でてます、」
何言ってんの俺。何してんの俺。こーこーせいにもなって、おしっこいっぱい漏らして、おねしょもして。
「ゆるして、たたかないで、」
しゃがんで、みっともなく蹲って、前をぎゅうぎゅうに押さえて。
「叩かんよ」
あ、そうだ。ここ光輝さんの家だ。半分頭では分かっていた。なのに、何でこんなに取り乱しちゃったんだろう。頭はパニックなのに笑ってしまう。
「ごめ、なさい、おもらししました、」
「別に悪いことじゃないよ」
あ、背中撫でられてる。おしっこ、止めきれなくてちょっとずつ出ちゃってる。
「ごめ、なさい、」
「ん、大丈夫。おしっこ出ちゃうのは、ダメじゃない。分かる?」
「わるく、ない、」
「ん。そう。だから、我慢しなくていいよね?止めちゃったら体しんどいよね?」
「しんどい、うん、」
「全部出しちゃおっか」
「だす、」
「そーそー。しーしーできそ?」
「しーしー、…」
押さえまくった手を撫でられて、ゆっくりと外される。濡れた服越しに下腹部を優しく撫でられる。
「ぁっ、」
さっき止めたものがまた、排泄されていく。
「ごめ、なさい、」
「謝らない。悪いことしてないもん。終わった?」
「…おわった、」
「よくできました。びっくりしたね」
撫でられる頭も、優しい顔も、あったかい手も。全部全部安心する。
「安心の、あれして、ぎゅーして、」
震えていた唇も、手も、足も、光輝さんに抱きしめられるだけで全部楽になる。
恥ずかしいけど言ってしまった。言わないと死んでしまいそうなくらいに怖かった。
「風邪ひいちゃうから着替えよっか」
「…ごめん、取り乱しました、」
「いーえ。落ち着いたならよかった」
「あと、布団やばいです、」
「怖い夢見た?」
「昔のやつ…夢見わるかった、」
「それは後でココアであったまろうコースだね」
「…やだよ、また漏らすじゃん。てか俺やばい。何で全部風呂場持ってきちゃったんだろう」
「びっくりしちゃったんでしょ。てか布団なんてどうでも良いから着替え」
こんなに自分を大切にされたことが無いから、一挙一動がぎこちなくなってしまう。あったかいシャワーで流されて、ふかふかのタオルで優しく水分を拭き取られ。パンツもズボンも全部光輝さんが足の部分を広げて持っている。
「俺…高校生なんだけど」
「別に高校生が1人で着替えなきゃダメなんて法律はないでしょ」
ドライヤーで髪を乾かしてもらって、それからやっと布団の処理をして。
寝れないだろうからとリビングに連れて行かれて温かいココアを渡される。
時計を見たらもう、朝の5:00。ベランダに干された布団達の隙間から光が漏れた。
「今日も休んじゃいなよ。ろくに眠れてないでしょ」
「…明日は行きますから」
「ん。鳴はちゃんと頑張ってるからね。それだけは忘れちゃだめだよ」
「…はい」
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