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「どこ見て歩いとんねん!!目ぇついてんのかガキ!!」
急にこののどかな散歩道にはそぐわない大きな声が聞こえた。反射で手が頭を覆おうとしたが、慌てて戻した。
怒鳴られているのは6歳くらいの小さな男の子で、尻餅をついたまま固まっている。
「最近のガキはごめんなさいも言われへんのか!!なぁ?舐めてんの?」
中年くらいのおじさんは、怒りが収まらないのかどんどんヒートアップしている。
「あれまずいよね…」
光輝さん、男の子の方行った。俺も着いて行きたいのに足に根っこが生えたみたいに動かない。
あ、おじさんどっか行った。男の子は案外ケロリとした様子で滑り台に走っていった。
「お待たせ。危ない人かと思ったけど良かったぁ…」
「あぁうん、」
さっきまで無かった心臓のドキドキがうるさい。
「鳴?どした?」
目の前で手のひらが揺れる。
「ああ、ごめん、ぼーっとしてた、」
どうしようもなく不安で、シャツを握りしめる。
「疲れちゃった?」
「…そーかも、そろそろ帰ろっかな、明日学校頑張りたいし、…」
さっきまでの前向きな気持ちが全部なくなったみたい。一刻も早く逃げたくて、帰りたくて。思わず光輝さんの服の裾を引っ張った。
「鳴、なーるー、」
「ぁ、なに、」
「ご飯食べられそう?」
ご飯の味がしない。ずっと心臓がドキドキしてる。公園から帰って来て3時間も経ったのに。
「ごめん、やっぱクレープ多いよ、すごいね光輝さん。やっぱ胃袋ゴリラだよ」
「そんなこと言ってるから細いままなんでしょ」
「はは、…ねえ、ラップして明日食べてもいいかな、」
「それは良いけど…大丈夫?顔色悪いけど」
「大丈夫だって。今日は早く寝るね」
言いたくなかった。やっぱ無理かもって。あれだけ今日、色々連れていってくれて、甘やかしてもらったのに、収穫がなかったって言いたくなかった。
「鳴、こっちおいで」
椅子から立ち上がり、冷蔵庫にご飯をしまっている時だった。ソファに座っている光輝さんに手招きされてそのまま向かう。
「まあまあ座って」
ぽんぽんと叩かれた席に座ると、いきなり抱きしめられた。
「こ、光輝さん?」
「安心のぎゅーーーーー。鳴、絶対このままじゃ寝れないでしょ」
背を叩かれるリズムがゆっくりだと感じるのは、俺の心拍が早いからだろうか。でも、あったかくて柔らかくて。慣れた光輝さんの匂いで、少しずつ息がしやすくなる。
「…怒鳴ってたの、びっくりした…」
「あーあれは誰でもビビる」
「あの男の子、全然きにしてなかった、」
「なー。あいつは大物になる予感がするよ」
「大きいこえ、疲れる…」
「苦手?」
「ん…」
「予測できないから辛いよな。鳴が悪い事してるわけじゃないし」
「学校もさ、びっくりして帰ってきちゃった…」
「そっかそっか。もーね、あれよ。もし明日行けても、ヤバいって感じたらすぐ帰ってきな」
「行けないかも…しれない」
「じゃあ明日はファミレス行っちゃう?コラボメニュー限定のコースター欲しいから、気合い入れて食べてね」
「…ん…」
「泣くことないじゃん~行けなくても死なないし」
やばい、止まらない。光輝さんは相変わらず背中を叩いていて、笑っている。それがどうしようもなく安心してしまった。
「俺まで悲しくなっちゃうじゃん。だいじょーぶだいじょーぶ」
「…俺の胃袋じゃ戦力ならないよ。光輝さん1人で行ってきて」
「えー、寂しくて俺も泣いちゃう」
あ、心臓落ち着いてきた。息もしやすくなって、お腹も空いてきたかもしれない。
「やっぱりご飯食べる。お腹空いた」
さっき冷蔵庫に入れたご飯達を食卓に戻す。
「俺も一緒に食べてあげよーか」
「やだよあげない」
おいしい。味がする。全部食べたら眠くなった。歯磨きをしてベッドに入ると、スマホを見る間もなく自然と目を閉じることができた。
急にこののどかな散歩道にはそぐわない大きな声が聞こえた。反射で手が頭を覆おうとしたが、慌てて戻した。
怒鳴られているのは6歳くらいの小さな男の子で、尻餅をついたまま固まっている。
「最近のガキはごめんなさいも言われへんのか!!なぁ?舐めてんの?」
中年くらいのおじさんは、怒りが収まらないのかどんどんヒートアップしている。
「あれまずいよね…」
光輝さん、男の子の方行った。俺も着いて行きたいのに足に根っこが生えたみたいに動かない。
あ、おじさんどっか行った。男の子は案外ケロリとした様子で滑り台に走っていった。
「お待たせ。危ない人かと思ったけど良かったぁ…」
「あぁうん、」
さっきまで無かった心臓のドキドキがうるさい。
「鳴?どした?」
目の前で手のひらが揺れる。
「ああ、ごめん、ぼーっとしてた、」
どうしようもなく不安で、シャツを握りしめる。
「疲れちゃった?」
「…そーかも、そろそろ帰ろっかな、明日学校頑張りたいし、…」
さっきまでの前向きな気持ちが全部なくなったみたい。一刻も早く逃げたくて、帰りたくて。思わず光輝さんの服の裾を引っ張った。
「鳴、なーるー、」
「ぁ、なに、」
「ご飯食べられそう?」
ご飯の味がしない。ずっと心臓がドキドキしてる。公園から帰って来て3時間も経ったのに。
「ごめん、やっぱクレープ多いよ、すごいね光輝さん。やっぱ胃袋ゴリラだよ」
「そんなこと言ってるから細いままなんでしょ」
「はは、…ねえ、ラップして明日食べてもいいかな、」
「それは良いけど…大丈夫?顔色悪いけど」
「大丈夫だって。今日は早く寝るね」
言いたくなかった。やっぱ無理かもって。あれだけ今日、色々連れていってくれて、甘やかしてもらったのに、収穫がなかったって言いたくなかった。
「鳴、こっちおいで」
椅子から立ち上がり、冷蔵庫にご飯をしまっている時だった。ソファに座っている光輝さんに手招きされてそのまま向かう。
「まあまあ座って」
ぽんぽんと叩かれた席に座ると、いきなり抱きしめられた。
「こ、光輝さん?」
「安心のぎゅーーーーー。鳴、絶対このままじゃ寝れないでしょ」
背を叩かれるリズムがゆっくりだと感じるのは、俺の心拍が早いからだろうか。でも、あったかくて柔らかくて。慣れた光輝さんの匂いで、少しずつ息がしやすくなる。
「…怒鳴ってたの、びっくりした…」
「あーあれは誰でもビビる」
「あの男の子、全然きにしてなかった、」
「なー。あいつは大物になる予感がするよ」
「大きいこえ、疲れる…」
「苦手?」
「ん…」
「予測できないから辛いよな。鳴が悪い事してるわけじゃないし」
「学校もさ、びっくりして帰ってきちゃった…」
「そっかそっか。もーね、あれよ。もし明日行けても、ヤバいって感じたらすぐ帰ってきな」
「行けないかも…しれない」
「じゃあ明日はファミレス行っちゃう?コラボメニュー限定のコースター欲しいから、気合い入れて食べてね」
「…ん…」
「泣くことないじゃん~行けなくても死なないし」
やばい、止まらない。光輝さんは相変わらず背中を叩いていて、笑っている。それがどうしようもなく安心してしまった。
「俺まで悲しくなっちゃうじゃん。だいじょーぶだいじょーぶ」
「…俺の胃袋じゃ戦力ならないよ。光輝さん1人で行ってきて」
「えー、寂しくて俺も泣いちゃう」
あ、心臓落ち着いてきた。息もしやすくなって、お腹も空いてきたかもしれない。
「やっぱりご飯食べる。お腹空いた」
さっき冷蔵庫に入れたご飯達を食卓に戻す。
「俺も一緒に食べてあげよーか」
「やだよあげない」
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