遊園地の帰り、車の中でおしっこが限界になってしまった成人男性は

こじらせた処女

文字の大きさ
4 / 6

4

しおりを挟む
 トイレ行きたい。車の中で、宗士は鼻歌を歌いながら運転している。今流行りのアニメの主題歌が流れていて、でもここがどこか分かんなくて。
 抱いたクマに自分のおしっこが染みていく。あ、とめなきゃ。そう思うのに全然止まんない。出しても出してもずっとまだしたい。クマがグッショグショのびちょびちょになって、シートに滲み出ちゃう、そう焦り散らした時、目が覚めた。



 息はゼエゼエと荒れ果て頭が痛い。汗も嫌にじっとりと染みて、シャワーを浴びたい。
「………っ、」
どうやら夢の中の欲求は本物だったようだ。反射で前を押さえ、ベッドから降りる。
「っやだ、」
我慢できない。ここは車の中でも何でもないのに。家の中で、いつでも行ける環境なのに。きっと家に帰ってから飲んだお茶のせいだろう。お腹はパンパンに膨れて、苦しくて。冷たいドアノブを触った瞬間、ジワリと前が熱くなってしゃがみ込む。
「っ、ぅ、」
俺の体、本当にバカになっちゃった。小さな子供よりも失敗して、イライラして物に当たって喧嘩までして。
「っ゛~、う゛~、」
自分がバカにしていた子供よりも酷い。あの子供たちより10も20も年上なのに。
びしゃびしゃになった手のひらに、ズボンに、足元にまた、打ちのめされた。
全てを出し切った体は力が抜け切って、指先ひとつも動かしたくない。スイッチが切れたみたいに体が重い。でも自分で片付けが出来ないのは許せなくて。
 ボロボロと涙が止まらないまま、水溜りに汚れ物を落としてタオルで軽く下を拭いて、下半身素っ裸のまま風呂場に持っていく。シャワーで濯いで、絞って、洗濯かごに放り投げた。
 もう嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。前の自分を返して欲しい。宗士に嫌われる前の俺を返して欲しい。半年後の旅行も絶対楽しめないし、ご飯も食べに行けない。こんな俺、どう愛せっていうんだよ。

「ひーくん?そこ居るの?」
控えめに鳴ったノック。その扉は返事をする前にゆっくりと開いた。
「早く拭かないと風邪引くじゃん。着替えは?」
シャワーを浴びた後、脱衣所で座り込んでいたから体はとうに冷え切って髪から滴り落ちる水が冷たい。タオルを持った宗士は俺の頭を拭き始めた。
「…そーし、…」
名前を言った瞬間また、目頭が熱くなって、止まっていた涙が溢れ出した。
「ごめんね俺デリカシーなかったね、ほんと昨日酷いこと言った、ごめんね、」
「おれ、おむつ履いた方が…いい…?」
「ううん、しなくてもいいよ。もし失敗しちゃっても洗えば良いんだよ?ね?」
「また、がまん、できなかった、」
結局バレた。子供みたいに声をあげてしゃくりあげて。
「温かいもの食べよ?お腹すいたでしょ。冷凍うどんあるから食べる?」
「…たべる、」
リビングに向かおうと廊下を歩いていると、乱雑に吹いて汚れの残っていた床が綺麗になっている。宗士は何も触れてこない。ただ静かにうどんを茹でて出汁を作っている。
「コップ、ごめん、」
「怒ってないよ。俺もごめんね。酷い事言っちゃったね」
そう言いながら俺の前にうどんが差し出されて、温かいお茶も出してくれた。
「もぉ~また泣く。そんなんじゃ味分かんないでしょ」
垂れた鼻水を拭ってくれるのも、髪の毛を柔く梳いてくれるのも。いつもの宗士だ、その事実に安心してしまってまた、涙が溢れた。




「心因性…頻尿?」
「そう。ネットで軽く調べただけだけどね。心が疲れちゃった時になるんだって」
ネットでいくつかの記事には、俺の症状にピッタリの記述が何個も書いてある。
「オムツ履いて過ごしたらさ、安心して過ごせる人が多いみたい」
言葉を選んでいるらしい。戸惑いがちに目をキョロキョロさせながら言う宗士は面白くて少し笑ってしまった。
「病院も一緒に行こう?やっぱりプロのお医者さんに診てもらった方がいいと思う」
真剣に考えてくれている。恥ずかしいとばかり思っていたのに不思議だ。好きな人に言われるだけで少しだけ心が晴れた。





「ひーくん準備できた?」
「…ん、ズボン変じゃない?」
「だーいじょうぶ。携帯トイレも替えもあるから我慢せず良いなね」
「最近は…大丈夫…」
オムツこれを履くようになってからというもの、外出が前より楽になった。最近はほとんど尿意に悩まされることはない。こうやって今も旅行に行けるのは、あの時否定せずにそばに居てくれた宗士のおかげ。
「じゃあ行こっか。夜ご飯楽しみだなーーー」
ああ、すっごく楽しみだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

Memory

yoyo
BL
昔の嫌な記憶が蘇って、恋人の隣でおねしょしてしまう話です

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

待てって言われたから…

ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

処理中です...