(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

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生徒会役員

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「あ、エヴィ、復活したのね?もう体調は大丈夫なの?それより、ブレインには何もされたり言われたりしてない?何か言われたとしても、気にしなくて良いからね?」

ニッコリ微笑みながら、私の頭を撫でてくれるのは、ニア=ウォルスター様。姉のジェマと同い年で、学校でできた親友で、ブレイン=アンカーソン様とは幼馴染みだそうで、ニア様は伯爵令嬢ではあるが、公爵家嫡男のブレイン様にも容赦が無い。

「ニア……私がいつも、エヴィ嬢に文句を言っているような言い方じゃないか?」

「え?何言ってるの?無自覚なの?余計に質が悪いわね。そんなんだったら、ブレインにはジェマはあげないわよ?」

ギュウッ─と、ニア様が私と姉を抱きしめながらアンカーソン様を睨みつけている。

「何故ニアの許可が要るんだ!?ジェマは既に私の婚約者だから!!」

アンカーソン様がそう叫んだ瞬間、姉の顔が真っ赤になり、ニア様の腕の中でオロオロしている。

ーうん。姉は安定に可愛いー

「はいはい。じゃれ合いはその辺にしておいて──エヴィ、本当に体調はもう良いの?」

王太子で──アシェルハイド殿下が、私からニア様の腕を解きながら顔を覗き込んで来た。

「はい。昨日、1日ゆっくりしたら、元気になりました。迷惑?心配?をお掛けして、すみませんでした。あ、アシェルハイド殿下、お花もありがとうございました」

ペコリと頭を下げてお礼を言うと

「「「「「花!?」」」」」

何故か、第二王子とアンカーソン様とニア様とロドヴィック様とミリウス様が、ビックリしたように声を上げた。

「?」

ーあれ?私、何かおかしい事……言った?ー

「あ!勿論、アシェルハイド殿下からではなくて、持って来てくれたのはお姉様ですし、アシェルハイド殿下からも、生徒会役員としてのでしていただいた─と理解してますから大丈夫ですよ!」

“アシェルハイド殿下に他意が無いように、私も勘違いしてないよ!”とアピールすると、笑顔のニア様に「エヴィ?どんな花を貰ったの?」と訊かれた為、「赤色のカーネーションです」と答えると、ニア様はパチッと瞠目した後、ジワジワと憐れみ?を含んだ様な目をアシェルハイド殿下に向けた。

「オモシ────手強そう──ですね。ふふっ」
「──ありがとう、ニア嬢」

2人が不敵?に笑い合う。

ーあれ?私、また何かおかしい事言ったのかなぁ?ー

内心焦っていると、ロドヴィック様とミリウス様から

「エヴィは、何も気にしなくて良いから」

とだけ言われた。



今日の生徒会としての作業は、特に急ぎのものはなく、前年度の主な行事を確認しながら役員同士での会話を楽しんでいた。
ちなみに、私は書紀担当となった。

トントン

と、生徒会室の扉がノックされた為、扉の近くの椅子に座っていたミリウス様が対応する為に扉を開けた。

「───せん。こちらに──居ますか?」

ーん?内容は聞き取れなかったけど、この声はー

チラッと姉を見ると、姉も気付いているのか、私の方を見ていて、視線が合うとお互いにコクリと頷いた。そして、それは当たっていたようで、来訪者に対応していたミリウス様が室内こちら側に振り返り

「ジェマさん、リンディ嬢が、渡したい物があると来ているが……どうする?」

やっぱり、来訪者はリンディだった。それに、“渡したい物”とは……嫌な予感しかない。嫌だなぁ─と思っているうちに、姉が立ち上がりリンディの元へと行ってしまった。
まぁ、流石のリンディも、この顔ぶれの前で、姉や私に何かしたり言ったりして来る事はないだろう─そう思いながら、私も2人の居る方へと歩み寄った。



「あ、お姉様、いらしてたんですね!良かった!」

リンディは、姉を目にした途端、花が綻ぶような笑顔を浮かべた。

「リンディ、久し振りね。それで……何か私に用でもあった?」
「はい。あの……お母様からコレをお姉様に─と、預って来ていたんです」

と、リンディが姉に手渡した紙袋───から薄いグレーなモノが見えている。

「───リンディ、その中には何が入っているの?」

姉がそれを受け取る前に、2人の間に割り込んだ。

「え?エヴィが、なんで生徒会室ここに!?」

「“なんで?”って──私も生徒会役員だからよ」

「は?エヴィ………が?」

ーえ?この子、何言ってるの?知らない訳ないよね?ちゃんと、進級式の時に、イズライン殿下と一緒に挨拶したからね?ー

「それで?リンディ。この袋の中には何が入っているの?」

「え?あ………ブルーム家のベリーパイよ。お母様が、料理長に頼んで……お姉様達の分も作ってくれたのよ。それを、今日持って来たの。なんで、私じゃなくてエヴィが………」

最後の言葉は、聞かなかった事にしておく。
リンディは、もう一つ、紙袋を持っている。それに、は溢れていない。

「これは、あんた──っ……エヴィにって言われた物よ」

リンディは、何とか笑顔をギリギリ保ったまま私にその紙袋を持たせると、「それじゃあ、私、急いでいるから」とだけ言って、廊下を走り去って行った。


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