(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

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処罰

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*アシェルハイド視点*



あの馬鹿が床へと放り投げた袋の中には、俺へのお礼の品が入っていたらしい。壊れているから渡せない─と言うエヴィを説き伏せて、それを見せてもらった。

それは、硝子細工のペンだった。ペン尻は黒で、ペン先に向かってグラデーションになり、ペン先の色は透き通ったグレー。まるで、俺を表すような色のペンだった。
そのペンが、見事なまでに真っ二つに割れている。ある意味、よくこんなにも綺麗に割れたなぁ─と思う位に。

『これは……俺の色?』と、エヴィに訊けば

『あ、はい。その色の具合?が、アシェルハイド殿下の色だなぁ─と思って……一目惚れに近い感じで買ったんですけど……』

ー一目惚れ──だとっ!?ー

この色を見て、俺の色だと思い買ったと。

その場では、何とか怒りを抑えた。それとは逆に、俺を思って選んでくれた物だと思うと、顔が緩みそうにもなり、珍しくも、エヴィに心配されてしまった。
兎に角、割れていようが壊れていようが、エヴィも嫌がったが、これもまた説き伏せて貰って帰って来た。もう少しゆっくり、エヴィと一緒に居たかったが、やる事が為にまだ早い時間に城へと帰って来たのだ。



は、どうしている?」

は、貴族専用の牢に入れ、既に親に連絡を飛ばし、許可を得ています。は部屋には居ますが、です』

「先ずは、牢に行く」

『御意』

影に指示を出した後、俺は馬鹿達が放り込まれている貴族専用の牢に向かった。




「少しは反省した?」

「「殿下!本当に、すみませんでした!」」

牢に入れられている馬鹿2人は、俺の顔を見た途端、頭を下げて謝って来た。

「だから、言っただろう?謝る相手が違うと。お前達は誰に何をしたか─まだ分かっていないのか?」

確かに、『知らなかったから』だとしても、王太子である俺を殴ろうとした(エヴィ曰く)髪撫で男子が、俺に謝るのは分かるが─。

「お言葉ですが……殿下は騙されているんです!殿下はリンディ嬢とはあまりお話しにならないから、本当のリンディ嬢を知らないだけなんです!悪いのは、全部のエヴィ嬢なんですよ!」

“魔力無し”

髪撫で男子こいつは、本当の本物の馬鹿なのか?ー

自身が貴族でありながら、“魔力無し”と言うだけでその者を侮辱するのは、罰せられる対象になると言う事を知らないのか?魔力無しとは、魔力が無いだけで、無能と言う事ではない。エヴィに至っては、魔力が無くとも優秀かつ有能だ。学校での成績も首席を争う程だが、それを知らない筈が無い。この馬鹿はBクラスに居るらしいが、Bクラスとは、そんなにも馬鹿なクラスなのか?

「なら、お前は、王太子である私が、“その魔力無しに騙されている”と、言いたいんだな?」

「え?あ……違い…ます!!」

「もう一度言うが、彼女は伯爵令嬢だ。子爵出のお前達よりも上の彼女に対して、お前達がした事は無条件で処罰の対象になる。穏便に済まそうと思っていたが……彼女と私に暴力を振るおうとした事と、反省も全くしていないと言う事で、穏便に済ませる事ができなくなった」

「「そんな──」」

「それに、既にお前達の親には連絡済みで、お前達を罰する事は了承済みだ。場合によっては、除籍するとも言っているそうだぞ?」

「そんな……まさか!!だって俺は……リンディ嬢に……。そうだ、リンディ嬢に騙されたんです!リンディ嬢が、いつも姉に無視されて辛いって!」

「そっ……そうです!リンディ嬢が!!」

今度こそ反省するかと思えば、今度はリンディ嬢に責任転嫁とは……本当に呆れる限りだな。あのペンを壊したのも、この馬鹿だったな。それだけでも容赦するつもりは無かったが、ここ迄来ると遠慮なくやれるから本当に有り難い。

「男のくせに、悪いのは全部ご令嬢のせいにするんだな?本当のクズだな?そんなクズには、頭がスッキリするようなで働く事をお勧めするよ。丁度、人手が足りないと陳情書が上がっていたんだ」

この国の最北に位置する領にある鉱山。その鉱山では、生活に欠かせない魔石が多く産出されている。近年では、純度の高いダイヤモンドも発見されている。ただ、最北であるその領地は、冬になると極寒の地となり、働き手が減ってしまうのだ。そこで考えられたのが、罰として犯罪者などをその鉱山で働かせる─と言う事だった。
比較的働きやすい春から秋の初めの頃迄はその領地の者が。その後、秋の中頃から春先迄の寒さが厳しい時期に犯罪者が働く─と言う仕組みを作ったのだ。
今はまだ時期的には春から夏と、犯罪者を送る時期ではない為、違う鉱山で働いてもらう事にはなるが……。

「いっ……嫌だ!何で!俺達が───!」

「言ったよね?最後にチャンスは与えてあげたと。それを無にしたのは、お前達自身だから。かの地に行く迄、まだ時間はあるから、それ迄に少しでも体力をつけておく事をお勧めしておくよ」

俺はそれだけ言うと、未だに叫んで喚いている2人を無視して、その牢を後にした。


「このまま、の方にも行く」

『御意』





ー今迄通り……にはさせないー


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