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37 北領
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成竜になってからの浄化巡りは、あっと言う間だった。子竜の時とは違って、羽をバサバサしなくても飛行スピードが出るから、体力にも余裕が出て来た。そうなると、予定していた数以上の場所の浄化ができた。ただ、宿泊する邸と日にちは決まっているから、遅れた分をとり戻す事はできたけど、予定を早めて先に進める事はできない。時間に余裕ができたから、時間があれば、買い物や食べ歩きをして楽しんでいる。勿論、色は変えているから、私が西の守護竜だと言う事には気付かれていない。
南領での浄化の最終日には、離宮で浄化のお礼と、成竜になったお祝いを兼ねて宴会を開いてくれたローゼさん。西とはまた違った味付けの料理で美味しかった。ローゼさんの周りに、騎士とも使用人とも違う雰囲気の数人のイケメンが侍っていたのは、気にしないようにした。
「マシロ、気を付けてね」
「はい。ありがとうございます」
翌日。ローゼさん達に見送られ、離宮から南領の辺境地へ魔法陣で転移した後、東領に入り浄化巡りを始めた。
東領は、東西南北の領の中では、一番穢れや綻びが少なく、私が成竜になって予定より早く移動できると言う情報も早い段階で伝わっていたようで、私達が申告していた予定を組み直してくれていたようで、宿泊予定の邸を変えてくれたりしていた。
「20代で成竜になるとはね。体調は大丈夫?」
「大丈夫です。問題無いどころか、体が軽くなって調子が良いぐらいです」
「なら良かった。でも、無理はしないようにね」
守護竜の中で最年長者のニーロンさん。唯一の妻子持ち。結婚したのは、ニーロンさんが守護竜になる前だったそうだ。
ーニーロンさんは、一体何歳なんだろう?ー
東領の浄化は予定よりも数日早く終える事ができた。最終日は離宮で宴会を開いてくれて、西とも南とも違う味付けの美味しい料理を堪能した。
「マシロ、また落ち着いたら、西の離宮に成竜のお祝いを送るからね。残りの浄化、気を付けて」
「ありがとうございます」
そして、東領を後にして、私達は北領に飛び立った。
******
『ここが北領かぁ……他の領とは全然違うね』
『そうですね。北領は領の半分が山や鉱山ですからね』
北領は、鉱山資源が主な収入源となっていて、採掘が大変な場所には、国内の罪人に労働を科しているらしい。と言うのは、本当にごく一部なだけで、殆どは一般市民の労働者。労働が過酷である事には変わりは無いから、1日の労働時間は6時間迄で、1食付きで休憩時間も2回あり、週休3日制。ホワイトな環境と言えるかもしれない。
そして、この北領にはもう一つ、“裏の顔”がある。
終焉の地───
バージルさんは、竜王国の王であり、北の守護竜であり、終焉の守護竜だ。バージルさんは、色んなものを背負っている。
そして、この終焉の地には───
イーデンさんとベレニスさんが幽閉されている。
『……………』
2人がどうなったのか──は、一切耳にしていないし、私からも訊く事もしなかった。今回も北領に来たからと言って、会いたいとも思わないし、会う事もない。
『このまま予定通り浄化を進めて、お昼前に離宮に行こう』
『『『『承知しました』』』』
予定通り、北領に入ってから2ヶ所の浄化を住ませた後、私達はバージルさんの居る北領の離宮へと向かった。
「マシロ、成竜になったそうだな!おめでとう」
「ありがとうございます」
「本当にお前には驚かされてばかりだな」
「うおぉ……」
バージルさんが、私の頭を無遠慮にワシャワシャと撫でながら笑っている。
ー親戚のおじさんか?ー
「カイルスとの婚約も決まって、成竜にもなれてタイミングも良かったな」
「タイミング?」
「成竜になったと言う事は、体も大人になったと言う事だ。つまり、子供も生めると言う事だ。だから、結婚する迄は色々と気を付けろ」
「ふおっ!!??」
「バージル様、言い方と言うものがあります」
「何を言う、ネグロ。言い方を変えたとしても意味は同じだろう」
いや、言い方は大事です!そんな言い方されたら、そ……そんな事はしていなくても恥ずかしい!とは言え、正直、未だに竜人の仕組み?をイマイチ把握できていないと言う事に気付いた。母親は普通の人間だから、こう言う事に関して教えてくれる人が居ない。チラッとカイルスさんに視線を向けると、ニコッと微笑まれた。カイルスさんは、理解していたようだ。
「コホン………えっと………あの調査はどうなってますか?」
「ああ、丁度プラー……」
「マシロ、お疲れ様」
「プラータ!?」
「マシロが北領に来ると聞いたから、報告しようと思って来たんだ」
相変わらず、プラータは仕事が早い。
「取り敢えず、昼食の準備をしているから、先に食事を済ませよう。調査の報告は食事の後だ」
と、私達はバージルさんとプラータと7人で昼食を食べた。
南領での浄化の最終日には、離宮で浄化のお礼と、成竜になったお祝いを兼ねて宴会を開いてくれたローゼさん。西とはまた違った味付けの料理で美味しかった。ローゼさんの周りに、騎士とも使用人とも違う雰囲気の数人のイケメンが侍っていたのは、気にしないようにした。
「マシロ、気を付けてね」
「はい。ありがとうございます」
翌日。ローゼさん達に見送られ、離宮から南領の辺境地へ魔法陣で転移した後、東領に入り浄化巡りを始めた。
東領は、東西南北の領の中では、一番穢れや綻びが少なく、私が成竜になって予定より早く移動できると言う情報も早い段階で伝わっていたようで、私達が申告していた予定を組み直してくれていたようで、宿泊予定の邸を変えてくれたりしていた。
「20代で成竜になるとはね。体調は大丈夫?」
「大丈夫です。問題無いどころか、体が軽くなって調子が良いぐらいです」
「なら良かった。でも、無理はしないようにね」
守護竜の中で最年長者のニーロンさん。唯一の妻子持ち。結婚したのは、ニーロンさんが守護竜になる前だったそうだ。
ーニーロンさんは、一体何歳なんだろう?ー
東領の浄化は予定よりも数日早く終える事ができた。最終日は離宮で宴会を開いてくれて、西とも南とも違う味付けの美味しい料理を堪能した。
「マシロ、また落ち着いたら、西の離宮に成竜のお祝いを送るからね。残りの浄化、気を付けて」
「ありがとうございます」
そして、東領を後にして、私達は北領に飛び立った。
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『ここが北領かぁ……他の領とは全然違うね』
『そうですね。北領は領の半分が山や鉱山ですからね』
北領は、鉱山資源が主な収入源となっていて、採掘が大変な場所には、国内の罪人に労働を科しているらしい。と言うのは、本当にごく一部なだけで、殆どは一般市民の労働者。労働が過酷である事には変わりは無いから、1日の労働時間は6時間迄で、1食付きで休憩時間も2回あり、週休3日制。ホワイトな環境と言えるかもしれない。
そして、この北領にはもう一つ、“裏の顔”がある。
終焉の地───
バージルさんは、竜王国の王であり、北の守護竜であり、終焉の守護竜だ。バージルさんは、色んなものを背負っている。
そして、この終焉の地には───
イーデンさんとベレニスさんが幽閉されている。
『……………』
2人がどうなったのか──は、一切耳にしていないし、私からも訊く事もしなかった。今回も北領に来たからと言って、会いたいとも思わないし、会う事もない。
『このまま予定通り浄化を進めて、お昼前に離宮に行こう』
『『『『承知しました』』』』
予定通り、北領に入ってから2ヶ所の浄化を住ませた後、私達はバージルさんの居る北領の離宮へと向かった。
「マシロ、成竜になったそうだな!おめでとう」
「ありがとうございます」
「本当にお前には驚かされてばかりだな」
「うおぉ……」
バージルさんが、私の頭を無遠慮にワシャワシャと撫でながら笑っている。
ー親戚のおじさんか?ー
「カイルスとの婚約も決まって、成竜にもなれてタイミングも良かったな」
「タイミング?」
「成竜になったと言う事は、体も大人になったと言う事だ。つまり、子供も生めると言う事だ。だから、結婚する迄は色々と気を付けろ」
「ふおっ!!??」
「バージル様、言い方と言うものがあります」
「何を言う、ネグロ。言い方を変えたとしても意味は同じだろう」
いや、言い方は大事です!そんな言い方されたら、そ……そんな事はしていなくても恥ずかしい!とは言え、正直、未だに竜人の仕組み?をイマイチ把握できていないと言う事に気付いた。母親は普通の人間だから、こう言う事に関して教えてくれる人が居ない。チラッとカイルスさんに視線を向けると、ニコッと微笑まれた。カイルスさんは、理解していたようだ。
「コホン………えっと………あの調査はどうなってますか?」
「ああ、丁度プラー……」
「マシロ、お疲れ様」
「プラータ!?」
「マシロが北領に来ると聞いたから、報告しようと思って来たんだ」
相変わらず、プラータは仕事が早い。
「取り敢えず、昼食の準備をしているから、先に食事を済ませよう。調査の報告は食事の後だ」
と、私達はバージルさんとプラータと7人で昼食を食べた。
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