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チートなモブ?

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『』←日本語での会話
「」←この世界の言葉での会話
になります。









翌日目が覚めると、もうそこには黒色の犬は居なかった。
残念だな─と思いつつも、お姉さんが『朝食を食べましょう』と、部屋にやって来たので、そのまま今日は久し振りに1人ではない食卓に着いた。


朝食が終わり、お姉さんに『話をしましょう』と言われたので、今は私の部屋にお姉さんと二人きりだ。

『──6年……』

驚いた事に、私が巻き込まれてこの世界に来てから6年も経っているらしい。実際は、最初の3年は物理的な成長が止まっていた為、物理的には3年経っているらしい。

『だから、染めていた筈の髪の毛も、元の色に戻っていたんですね。』

『そう言えば、3年前は黒髪だったわね。』

『それで…その…こうやって成長が進んでいる─と言う事は…』

『─今のハルには…辛いかもしれないけど…ショウとフジは、浄化の旅が終わった3年前に還ったけど…ハルと私は、日本には…還れなかったの。』

“還れなかった”

ギュッと自然と手に力が入る。

『それでね、ハルはここ─パルヴァンで過ごす事になってね。まぁ…色々あったけど、ハルは幸せそうにしていたわ。』

『幸せ…そうに……すみません…本当に覚えてなくて…』

『良いのよ、気にしないで?今は…ここでゆっくり過ごしながら、気持ちを整理していけば良いから。それでね、取り敢えずの問題として、この世界での言葉と魔法をなんとかしないと─と思って、その二つを同時に教えてくれる人を呼んでいるんだけどね?』

『はい。』

お姉さんは、少し躊躇った後

『男の人なのよ。』

ヒュッと息を呑んだ。

手に力を入れていないと、指先が震えそうだった。
そんな私の手に、お姉さんが手を重ねてきた。

『以前のハルは、浄化の旅で男性恐怖症も殆ど無くなっててね。その後で知り合った人なんだけど…なんと、その人は元日本人の転生者で、この乙女ゲームの作製に関わっていた人でね…ハルと同じ魔法使いなのよ。』

『え?ゲームの?魔法使い??』

『本当ーに色々あったけど、ハルも彼の事は魔法使いの先輩として頼りにしていたわ。勿論、ハルと二人きりになんてしないから。私が必ず一緒に居るからね。』

ーこの6年で、私の男性恐怖症が…治ってた?なら…今の私だって…ー

『分かり…ました。この世界の言葉を早く覚えたいし…魔法も気になるので…頑張ります!』

そう言うと、お姉さんは優しく微笑んでくれた。






それからも、この6年であった事を教えてもらった。
一番驚いたのは、この世界で私に父と兄ができた─と言う事。

どうやら、私が目覚めた時にこの部屋に一番最初に飛び込んで来た男性が、私の父親らしい。

ーダンディな人…だったよね?ー

そうとは分からずに、名前をを呼ばれたような気がするけど、怖くて…グレン様?だったかな?あの人にしがみついて距離を取ってしまったんだよね…。そんな私を見て、何となくショックを受けたように固まってたのは…その通りだったって事かなぁ?

『また会って…謝らなきゃいけませんね?』

『謝る?』

『えっと…その、私のお父さんになった人に…。心配して来てくれたのに…拒絶してしまったから…。』

『あぁ…あの時ね。ゼンさんは怒ってないと思うけど…。ハルが落ち着いたら、呼んで来てあげるわ。』

『ありがとうございます。』

『取り敢えず、早速だけど…リュウを呼んでも大丈夫?』

『はい!宜しく…お願いします!!』

ガチッと緊張しながらお願いすると、お姉さんが『リュウ!』と一声掛けると──





『ハル!目が覚めて良かった!もう身体は大丈夫か?何か辛い事はないか?』

と、どこからともなく現れた男性が、一気に私に詰め寄って来た。

『え?あの?えっと…大じょ────』
『あーもう、元気そうて良かった!!』

と、ポンポンと頭を優しく叩く。
男性だ─と、身構えていたけど、リュウさん?に対して恐怖心は無かった。

『?親戚の叔父さん…みたいな?』

『そこは、の方が嬉しいけど…ま、叔父さんでも良いか?』


「リュウ、近過ぎるんじゃない?」

「スミマセン。イコウ、キヲツケマス。」

『?』

ー何て言ったか分からないけど、リュウさんは、お姉さんに勝てない─感じかな?ー

『んんっ。ハル、俺は隣国付きの魔法使いのリュウ。ハルには本当に色々と助けてもらったから、今度は俺が助ける番だ。これで、少しは恩を返せる。遠慮なく俺を頼ってくれ。それで…コレ、ハルが作ったモノなんだけど…翻訳機能付きのピアスがあるんだ。この世界の言葉に慣れる迄、困った時はコレを着ければ良い。』

ーえ?私、こんな凄いモノを…作ったの!?ー

ギョッとして、リュウさんの持っているピアスを見つめていると

『あー…ハルは…チートだったからな……』

と、リュウさんは遠い目をしながら呟いた。






ーあれ?私…お姉さん達の召喚に、巻き込まれただけの…モブじゃなかったんですか?ー





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