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第1章ー前世ー
婚約者
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バシンッ
「──っ!?」
左頬に衝撃を受け、私はそのまま床にへたり込んだ。
「「「アドリーヌ!?」」」
ー一体…何が…起こったの!?ー
衝撃を受けた自身の左頬にソッと触れると、ピリッと痛みが走り、「く──っ」と痛みに耐えるように歯を食いしばると、口内に鉄の味が広がった。口内が切れて、血が出ているのだろう。
「あなた!何てことをしたの!?」
そこで叫んだのはジョアンヌ様だった。一緒に来ていた令嬢2人が、へたり込んでいる私の背中を支えてくれている。
子爵令嬢に至っては、両手で口を押えて今にでも倒れそうな程顔色は悪く、体は震えている。その彼女の横に居る第二王子さえも、少し驚いた顔をしている。
どうやら、私は……左頬を叩かれたようだ。そして、私を叩いたのは──
「お前がそうやって彼女を睨むから、彼女が泣いてしまっただろう!」
私と同じ侯爵位の嫡男であり、私の婚約者だった。
「………“睨む”………です…か?」
やっとの事で絞り出せた言葉は、あまりにも小さく震えてもいた。
彼女を睨んだ覚えはないし、まして、叩かれる理由が全く分からない。
「お前もジョアンヌ様と一緒になって、彼女を苛めていたんだろう!お前が彼女を睨んだだけで、あんなにも震えて泣いているんだ。言い逃れはできないぞ!」
「……………」
ーこの婚約者は、何を言っているの?ー
喩え、私が彼女を苛めていたとしても、男性が女性に手を上げて良い─と言う理由にはならない。
確かに、彼とは4年前に親同士が決めた婚約ではあったけど、それはお互いがちゃんと理解をしていて、それなりに良い関係を築いて来ていた─と思っていた。学園に入る迄の1年間は週に3日はお互いの家を行き来してお茶をともにし、学園に入学してからも時間が合えば同じ馬車で帰り、学園が休みとなれば街へ出掛けたりもしていた。
それが、いつからか、「忙しいから」と一緒に帰る事が減り、週末のお出掛けやお茶をする事もなくなり、学園生活最後の1年は、生徒会で顔を合わせる以外で会う事は殆ど無かった。
理由は分かっていた。
ここに居るジョアンヌ様は勿論の事、私の背中を支えてくれている2人の令嬢もそうだ。ここに居る4人の令嬢の目の前に居る第二王子と3人の令息は、お互いが婚約者同士でもある。第二王子とその令息3人は、この1年は殆どを子爵令嬢と行動を共にしていたのだ。彼女は生徒会役員ではなかったから、放課後だけは私達と生徒会の仕事をしていたが、それ以外では5人で居るところをよく目にしていた。最初の頃は、それこそ「子爵令嬢1人を囲むのは、彼女の為にならない」とお互いの婚約者を諭そうとしていたが、「希なる光属性の彼女を守っているだけだ」と言われ、挙句には「嫉妬か?見苦しいぞ。」と言われ──私は早々に婚約者を見限った。
もともと、婚約者に愛情はなかった。信頼関係も……たった今綺麗サッパリ無くなった。おまけに暴力も振るわれたなら、何の問題も無く婚約解消─破棄できるだろう。
ジョアンヌ様だけはどうなるかは分からないが、後の2人の令嬢も、婚約解消に動いていると言っていた。そんな状況を、第二王子と3人の令息達はおそらく知らないのだろう。
はぁ──と、ジョアンヌ様が深くため息を吐いた後
「殿下、婚約解消に関しては私達2人だけではどうにもできませんから、殿下から国王陛下に願い出て下さい。宰相である父には、私から申し上げておきます。国王陛下がソレをお認めになれば、私は喜んで解消を受け入れますわ。」
「──え?」
「それと……確かに、そこの彼女が苛められているところを見掛けた事はありますが、私が直接彼女を苛めたり、誰かを使って苛めをさせた事はありませんわ。一度も。それを証明する事も可能ですから、証拠が必要と言う事でしたら……そうですわね……明後日には用意する事ができます。あ、勿論、今、暴力を受けたアドリーヌも、他の2人に関しても、苛めには一切関わっていない─と言う証拠も一緒に用意しますわ。」
「「「え!?」」」
3人の令息達の顔色も一瞬にして悪くなる。
「その証拠と共に、被害届けと3人の婚約解消の書類を調えますわ。」
「え?ちょっ────」
「アドリーヌ、大丈夫……じゃないわね。真っ赤に腫れてしまって……。学園からは私の邸が一番近いから、私の邸で手当をしましょう。」
ジョアンヌ様は、焦ったように声を出した私の婚約者を無視して私の方へと振り返り、痛まし気な顔をしながら私を気遣ってくれ、私の手を握り立たせてくれた後「それでは、失礼致します」とだけ言って、私の手をひいたままで、私達4人は生徒会室を後にした。
「──っ!?」
左頬に衝撃を受け、私はそのまま床にへたり込んだ。
「「「アドリーヌ!?」」」
ー一体…何が…起こったの!?ー
衝撃を受けた自身の左頬にソッと触れると、ピリッと痛みが走り、「く──っ」と痛みに耐えるように歯を食いしばると、口内に鉄の味が広がった。口内が切れて、血が出ているのだろう。
「あなた!何てことをしたの!?」
そこで叫んだのはジョアンヌ様だった。一緒に来ていた令嬢2人が、へたり込んでいる私の背中を支えてくれている。
子爵令嬢に至っては、両手で口を押えて今にでも倒れそうな程顔色は悪く、体は震えている。その彼女の横に居る第二王子さえも、少し驚いた顔をしている。
どうやら、私は……左頬を叩かれたようだ。そして、私を叩いたのは──
「お前がそうやって彼女を睨むから、彼女が泣いてしまっただろう!」
私と同じ侯爵位の嫡男であり、私の婚約者だった。
「………“睨む”………です…か?」
やっとの事で絞り出せた言葉は、あまりにも小さく震えてもいた。
彼女を睨んだ覚えはないし、まして、叩かれる理由が全く分からない。
「お前もジョアンヌ様と一緒になって、彼女を苛めていたんだろう!お前が彼女を睨んだだけで、あんなにも震えて泣いているんだ。言い逃れはできないぞ!」
「……………」
ーこの婚約者は、何を言っているの?ー
喩え、私が彼女を苛めていたとしても、男性が女性に手を上げて良い─と言う理由にはならない。
確かに、彼とは4年前に親同士が決めた婚約ではあったけど、それはお互いがちゃんと理解をしていて、それなりに良い関係を築いて来ていた─と思っていた。学園に入る迄の1年間は週に3日はお互いの家を行き来してお茶をともにし、学園に入学してからも時間が合えば同じ馬車で帰り、学園が休みとなれば街へ出掛けたりもしていた。
それが、いつからか、「忙しいから」と一緒に帰る事が減り、週末のお出掛けやお茶をする事もなくなり、学園生活最後の1年は、生徒会で顔を合わせる以外で会う事は殆ど無かった。
理由は分かっていた。
ここに居るジョアンヌ様は勿論の事、私の背中を支えてくれている2人の令嬢もそうだ。ここに居る4人の令嬢の目の前に居る第二王子と3人の令息は、お互いが婚約者同士でもある。第二王子とその令息3人は、この1年は殆どを子爵令嬢と行動を共にしていたのだ。彼女は生徒会役員ではなかったから、放課後だけは私達と生徒会の仕事をしていたが、それ以外では5人で居るところをよく目にしていた。最初の頃は、それこそ「子爵令嬢1人を囲むのは、彼女の為にならない」とお互いの婚約者を諭そうとしていたが、「希なる光属性の彼女を守っているだけだ」と言われ、挙句には「嫉妬か?見苦しいぞ。」と言われ──私は早々に婚約者を見限った。
もともと、婚約者に愛情はなかった。信頼関係も……たった今綺麗サッパリ無くなった。おまけに暴力も振るわれたなら、何の問題も無く婚約解消─破棄できるだろう。
ジョアンヌ様だけはどうなるかは分からないが、後の2人の令嬢も、婚約解消に動いていると言っていた。そんな状況を、第二王子と3人の令息達はおそらく知らないのだろう。
はぁ──と、ジョアンヌ様が深くため息を吐いた後
「殿下、婚約解消に関しては私達2人だけではどうにもできませんから、殿下から国王陛下に願い出て下さい。宰相である父には、私から申し上げておきます。国王陛下がソレをお認めになれば、私は喜んで解消を受け入れますわ。」
「──え?」
「それと……確かに、そこの彼女が苛められているところを見掛けた事はありますが、私が直接彼女を苛めたり、誰かを使って苛めをさせた事はありませんわ。一度も。それを証明する事も可能ですから、証拠が必要と言う事でしたら……そうですわね……明後日には用意する事ができます。あ、勿論、今、暴力を受けたアドリーヌも、他の2人に関しても、苛めには一切関わっていない─と言う証拠も一緒に用意しますわ。」
「「「え!?」」」
3人の令息達の顔色も一瞬にして悪くなる。
「その証拠と共に、被害届けと3人の婚約解消の書類を調えますわ。」
「え?ちょっ────」
「アドリーヌ、大丈夫……じゃないわね。真っ赤に腫れてしまって……。学園からは私の邸が一番近いから、私の邸で手当をしましょう。」
ジョアンヌ様は、焦ったように声を出した私の婚約者を無視して私の方へと振り返り、痛まし気な顔をしながら私を気遣ってくれ、私の手を握り立たせてくれた後「それでは、失礼致します」とだけ言って、私の手をひいたままで、私達4人は生徒会室を後にした。
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