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今回の運動会式体育祭は、参加した生徒たちから大好評でした。競技がすべて終わり、片付けもひと段落ついた頃、あちらこちらから聞こえてくる声は、例年よりも楽しかった、というものばかりです。
「借り物競争も面白かったし、障害物競走も最高だった!」
「小学校以来の騎馬戦とか、本気で燃えたわ。」
「企画がいい感じに新鮮だったよね!」
みなさんの満足げな笑顔を見るたびに、準備に奔走した日々が報われた気がします。あの時、紫藤様が立候補して一緒に実行委員を引き受けてくださらなければ、きっと私はここまで頑張れなかったでしょう。
私自身はリレーで少し足を引っ張ってしまったものの、全体を通してとても充実した時間を過ごすことができました。もちろん、体育祭の輝く主役、日下部様のお姿を間近で拝見できたことも大きな収穫です。
「本当に、がんばってよかった……。」
片付けを終えて一息ついた私は、静かにそう呟きました。この体育祭を通じて感じた達成感と、周囲の皆さんの笑顔が胸に温かく広がります。
久しぶりに叔母様から連絡がありました。中学の卒業式以来、一度もお会いしていなかったのですが、喫茶店でお話しすることに。席に着くなり叔母様が聞いてきたのは、高校にやたらと見目のいい男子はいないか、という意外な質問でした。
少し戸惑いながらも、日下部様のお話をしました。すると、叔母様は「ぜったいそれだ」と唸るように呟き、鍵を私に握らせました。
「これは……日下部様の? いいのでしょうか。」
「問題ないわ。入居者サポートのサービスランクは最大で、と何度も念押しされたから。」
叔母様が管理しているマンションに、なんと日下部様が入居されたとのこと。その上、私が「入居者サポート」の一環としてお手伝いすることになったのです。鍵をぎゅっと握りしめる私に、叔母様はマンションの高級サービスについて丁寧に説明してくれました。
叔母様所有のマンションは、彼女が所有する中でも一番の高級物件で、オプションとして私設秘書や家事代行、ペットのお世話などのサービスが用意されているそうです。さらに、最大ランクの入居者には、もっと密接したサポートが含まれるとか。
「それを、私にまかせていただけるのですか……? とても光栄です。」
「そう? じゃあ遠慮なくお願いするわ。大半の業務はプロにお任せしてね。あなたは癒やしの担当ってことで。」
叔母様がなぜ私に声をかけたのかという疑問も、大役を任された感激で吹き飛んでしまいました。
「部屋へは許可なしで出入り自由よ。それも、ものすごく念押しされてるのよね。なんだか圧がすごかったわぁ。」
日下部様は人に対してフラットな方なので、いちいち許可を求められるのが煩わしいのでしょう。普段から多くの信奉者に囲まれていても、驕ることなく誠実に対応されるお姿を知っている私としては、それも納得です。
「日下部様は素晴らしい方なんです!」
「はあ。ひなちゃんがいいならいいけどね。でも、何か変なことされたらすぐ私に言いなさいよ。」
叔母様の忠告に、私は心の中で「変なことをしているのは私のほうです」と反省しつつ、視線をそらしました。
オプションサービスはかなり高額だそうで、「バイト代ははずむから」と分厚い封筒を手渡されました。このお金はすべて日下部様のお世話に役立てたいと思います。
翌日、ハイヤーで買い物を済ませた私は、期待に胸を膨らませながらマンションへ向かいました。重厚なドアに合鍵を差し込み、ガチャリと開ける瞬間、嬉しさのあまりその場で飛び跳ねてしまいました。
「日下部様の、におい……はう。」
部屋に足を踏み入れ、すんすんと爽やかな香りを堪能します。入居したばかりだからか、主要な家具しかなく、全体的に殺風景でした。それでも、念願の寝室にたどり着き、ダブルベッドに寝転んでみると、ふかふかの布団が身体を包み込むようで幸せな気分に。
しかし……クリーニングされているらしく、ただの清潔な布団でした。数日ほったらかしていてほしかったのに――ちょっとだけ残念です。
「さて、お仕事しなくちゃ。」
気を取り直し、私は早速サポート業務に取りかかることにしました。日下部様が快適に過ごせるよう、全力で頑張るつもりです!
「借り物競争も面白かったし、障害物競走も最高だった!」
「小学校以来の騎馬戦とか、本気で燃えたわ。」
「企画がいい感じに新鮮だったよね!」
みなさんの満足げな笑顔を見るたびに、準備に奔走した日々が報われた気がします。あの時、紫藤様が立候補して一緒に実行委員を引き受けてくださらなければ、きっと私はここまで頑張れなかったでしょう。
私自身はリレーで少し足を引っ張ってしまったものの、全体を通してとても充実した時間を過ごすことができました。もちろん、体育祭の輝く主役、日下部様のお姿を間近で拝見できたことも大きな収穫です。
「本当に、がんばってよかった……。」
片付けを終えて一息ついた私は、静かにそう呟きました。この体育祭を通じて感じた達成感と、周囲の皆さんの笑顔が胸に温かく広がります。
久しぶりに叔母様から連絡がありました。中学の卒業式以来、一度もお会いしていなかったのですが、喫茶店でお話しすることに。席に着くなり叔母様が聞いてきたのは、高校にやたらと見目のいい男子はいないか、という意外な質問でした。
少し戸惑いながらも、日下部様のお話をしました。すると、叔母様は「ぜったいそれだ」と唸るように呟き、鍵を私に握らせました。
「これは……日下部様の? いいのでしょうか。」
「問題ないわ。入居者サポートのサービスランクは最大で、と何度も念押しされたから。」
叔母様が管理しているマンションに、なんと日下部様が入居されたとのこと。その上、私が「入居者サポート」の一環としてお手伝いすることになったのです。鍵をぎゅっと握りしめる私に、叔母様はマンションの高級サービスについて丁寧に説明してくれました。
叔母様所有のマンションは、彼女が所有する中でも一番の高級物件で、オプションとして私設秘書や家事代行、ペットのお世話などのサービスが用意されているそうです。さらに、最大ランクの入居者には、もっと密接したサポートが含まれるとか。
「それを、私にまかせていただけるのですか……? とても光栄です。」
「そう? じゃあ遠慮なくお願いするわ。大半の業務はプロにお任せしてね。あなたは癒やしの担当ってことで。」
叔母様がなぜ私に声をかけたのかという疑問も、大役を任された感激で吹き飛んでしまいました。
「部屋へは許可なしで出入り自由よ。それも、ものすごく念押しされてるのよね。なんだか圧がすごかったわぁ。」
日下部様は人に対してフラットな方なので、いちいち許可を求められるのが煩わしいのでしょう。普段から多くの信奉者に囲まれていても、驕ることなく誠実に対応されるお姿を知っている私としては、それも納得です。
「日下部様は素晴らしい方なんです!」
「はあ。ひなちゃんがいいならいいけどね。でも、何か変なことされたらすぐ私に言いなさいよ。」
叔母様の忠告に、私は心の中で「変なことをしているのは私のほうです」と反省しつつ、視線をそらしました。
オプションサービスはかなり高額だそうで、「バイト代ははずむから」と分厚い封筒を手渡されました。このお金はすべて日下部様のお世話に役立てたいと思います。
翌日、ハイヤーで買い物を済ませた私は、期待に胸を膨らませながらマンションへ向かいました。重厚なドアに合鍵を差し込み、ガチャリと開ける瞬間、嬉しさのあまりその場で飛び跳ねてしまいました。
「日下部様の、におい……はう。」
部屋に足を踏み入れ、すんすんと爽やかな香りを堪能します。入居したばかりだからか、主要な家具しかなく、全体的に殺風景でした。それでも、念願の寝室にたどり着き、ダブルベッドに寝転んでみると、ふかふかの布団が身体を包み込むようで幸せな気分に。
しかし……クリーニングされているらしく、ただの清潔な布団でした。数日ほったらかしていてほしかったのに――ちょっとだけ残念です。
「さて、お仕事しなくちゃ。」
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