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元王子アール
700年前⑥
しおりを挟む「やっと、やっと魔王を倒せたね!
これでボク達の邪魔者はいなくなった!」
やっと魔王がいなくなったという事実に、つい先走った言葉を発してしまった。
ツバキはようやく焦点が合った瞳で、ボクをカメムシでも見るかのように見てくる。
魔王城で言うセリフじゃなかった事に怒っているツバキも可愛い…!
その後、誰からともなく広間を出て魔王城から脱出した。
外は鬱蒼とした森だ。
しかし馬車は森を抜けた先にあるようだ。
ツバキと仲良くおしゃべりでもしている内に辿り着くだろうと、ツバキを見ると誰も話しかけるなオーラがすごかった…
皆、ほぼ無言で歩き続けて馬車を発見しても無言で乗り込んだ。
魔王も倒したしツバキの緊張も解けただろうと、夜中に宿屋の部屋を訪ねたのにまだ結界魔法を使われている。
…そうかツバキはバカバッカ城に着く前に、自分の心の整理をしてボクと向き合おうとしてるんだ!
それなのにボクとしたことが気ばかり焦りすぎていた。
ボクは優しい男だから、城に着くまでゆっくり待つよ。
こうしてボクは1ヶ月待ち、待望の帰還を果たした。
城門には父上を先頭に家臣達が盛大に出迎えてくれた。
大歓声を受けながら表彰式の為に、大広間に皆で移動する。
表彰式では魔王討伐の褒美として、ジーマは王家秘宝の魔術書を。
キーノは王家縁の剣を、そしてボクには魔王城がある北の大地を褒美としてもらった。
嬉しいな、ツバキとの結婚式は北の大地で挙げよう!
ツバキは何をもらうんだろうかと予想していると
「褒美はいらない。
一刻も早く元の世界に帰してほしい。
魔王は約束通り、ちゃんと倒した。
今度はそっちが約束を守る番だ。」
ツバキの凛とした声が広間に響いた。
元の世界に戻る?
愛しいボクがいるというのに、ツバキは何を言っているんだい?
父上はなぜか、ツバキの言う事を早く聞けと言っているかのような顔だ。
「王子の話では魔王を倒したら、創造神から戻る為の術を啓示されるんだろう?
倒してから1ヶ月以上経ったんだ。
とっくにその方法を王子は分かってるはずだぞ。」
ボクに向かって真っ直ぐ射抜くような目で語りかけてくる。
…分かっているよ、ツバキ。
本当は戻りたくないけど、そう言ってボクがどう反応するのかボクの愛を試したいんだね!
それならば全力で彼女の気持ちに応えよう!
きっと喜んでくれるだろう。
そしてボクは語った、3年前に創造神から啓示を受けた夜の本当の話を。
早くツバキに分かってもらいたくて、一気に話したから流石に疲れた。
父上がなぜかボクを非難してくる。
ツバキはきっと理解ってくれただろうと、微笑み彼女に近づく。
抱きしめてくれるだろうか?
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