聖女の秘密

水田 みる

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元王子アール

700年前⑦

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「こっちに来るなぁぁぁ!!!」


見たこともない怒り顔のツバキがボクに向けて、強力な火の魔法を放った!

その顔は魔王よりも恐ろしいなどと考えている間に、ボクは全身を焼かれる。

ボクは不老不死だけど痛覚はあるから、熱いし痛い!!

叫ぶ間もなくキレイに復活していた。

きっとツバキはボクの愛に混乱しているだけだ。

これ以上刺激してはいけないから、ボクは軽く彼女に声をかける。

ツバキはそんなボクを無視して、今度は広間全体に強力な雷の魔法を放った。


「うわぁぁぁ!!!」


あまりの痛みに悲鳴が出た!

体全体がビリビリと感電して熱い!

すぐに復活してツバキを探すと、彼女は何とボクを置いて広間を出て行ってしまった。

慌てん坊のツバキも可愛い…!

うっとりしていると、今度は広間全体を包む強力な炎が上がる。

熱い!!!

痛い!!!

焼かれるのと復活を何回か繰り返して、何とか扉の前に来た。

取っ手に触れようとした瞬間


バッシーーーン!!!


広間の中心まで飛ばされて炎の海にダイブする。

結界魔法が張られているのか!?

どこまで恥ずかしがり屋さんなんだ、ツバキは!

ボクだから何とかなっているんだ、限度というものがあるんだよ!


「あぁぁぁああ!!!」


焼かれる→復活の地獄のループが始まった。

ループが終わった後には文字通り何も残っていなかった。

父上の遺体もキーノの遺体もジーマの遺体も家臣達の遺体も、骨まで焼かれて灰になっており誰が誰の灰なのか分からない。

ループが終わったのは、もう燃えるものが無くなったからだった。

瓦礫の山から何とか這い出して、城だった物から出る。  

瓦礫の周りに民衆達が取り囲んでいた。

その内の一人の男がボクに気づく。


「おい、生き残りがいたぞ!!

…って、あれはアール殿下いや謀反人アールだぞ!!!」


謀反人だって!?

誰の事を言っている!?

王子であるボクに向かって不敬が過ぎるぞ!!

成敗してくれる!!


「貴っ様ぁぁ…」


男に殴りかかろうとした瞬間、男とは別の方角から拳大の大きさの石が飛んできた。

幸いにも頭には当たらず左肩に当たる。


「誰だっ!?」


飛んできた方角を見やると、10才ぐらいの少年が涙目でボクを睨みつけている。


「お前のせいだ!

お前のせいで、デース陛下もキーノ騎士団長も魔法使いジーマ様も亡くなって勇者様も消えちゃったんだ!!」


そう言い放ち手に持っていた石をボクに投げつけた。

今度は左側頭部に当たってしまったが、石が小さかったおかげで致命傷にはならない。

少年が投げたのをきっかけに、周りにいた民衆が口々にボクを罵りながら石を投げつけてきた。

ふざけるなと言い返したいしやり返したいが、多勢に無勢だ。

不死身ではあるが痛いものは痛い。

屈辱感でいっぱいになりながらも、その場を逃げることにする。

…いつかコイツらに復讐することを誓いながら。









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