聖女の秘密

水田 みる

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元王子アール

700年前⑬

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 マズイマズイマズイマズイマズイ!!!

ウィッグがないので今は金髪の地毛が露わになっている。

この姿を見られたら、ボクはまた不当に迫害されてしまう!

どうしよう、どうしよう!?

路地裏の先は行き止まりになっており、逃げるにはメイがいる入り口から出るしかない。

メイの呼びかけで人が続々と集まってきている気配を感じる。

これ以上集まってきたら、バカバッカ城での迫害の再現になってしまう!

あの時の恐怖を思い出して思わず生唾を飲み込む。

…すごく怖いけれど覚悟を決めるしかない!


「ウォォォーーー!!!」


ボクは気合いの雄叫びを上げながら、路地裏から大通りに向けて全力ダッシュをした!

だが通りに出た瞬間、"何か"に引っかかって思いっきり顔面からコケる。

その"何か"はメイのスラリとした右脚だった。

メイは冷たい目でボクを見下ろす。

メイだけじゃない、その場に集まっていた多くの目が同じ様に見下ろしている。


…コワイコワイコワイコワイコワイ

ここから一刻も早く逃げなければ!

ボクは尻餅をつきながら先程買った護身用の剣を抜いた。

丸腰の人々は剣の登場に、慌ててボクの間合いの外まで距離をとる。 


「ウワァァァー!」


ボクは立ち上がり剣を振り回しながら、オースコ街の出入り口の門まで逃げた。

ひたすら走って走って走って、どれぐらい走っただろうか?

追っ手が来ていないのは良かったが、また街道から外れて林の中にボクはいた。

走りすぎて肺が痛い。

近くの木に寄りかかり、深呼吸を何度もして呼吸を落ち着かせる。

息が整ってきたので、その木の幹に座りしばらく休憩した。

休憩しながら先程のメイの台詞を思い出す。


ーー『ボクのせいでツバキは絶望した』

ーー『ボクがツバキを追い詰めた』


ボクはツバキを世界一愛しているのに、彼女を追い詰める訳ないじゃないか!

あのクソメイドの勘違いだ!

ボクはあのメイドに嵌められたんだ!

悔しいがアイツのせいで、ボクは世界各地で謀反人扱いだ。

こうなったら少しでも早くツバキと再会して、彼女の口から事実を語ってもらおう!

我ながら名案だ、ボクは愛するツバキに会えて更に謀反人の誤解も解けて一石二鳥だ!

フードを目深に被り、ボクは改めてツバキとの再会を決意する。

こうして世界一周の旅が始まった。


ーー探し始めてどれ程の時が経ったのだろう?

ツバキの姿はおろか、一片の噂すら聞かない。

あと探していない場所は、なぜかまた瘴気で溢れている北の大地だ。

魔王討伐後は瘴気が無くなったはずなのに、いつの間にかまた人が近寄れない土地になっている。

だから魔王は討伐されていないとデマが流れていたのかと納得した。

ボクは勇気を出して北の大地へと向かった。














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