聖女の秘密

水田 みる

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元王子アール

200年前①

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 結論から言えば北の大地には入れなかった。

入ろうとした瞬間


バッシーーーン!!!


体感で10キロほど吹っ飛ばされたと思う。

あまりの衝撃で死んでしまったからだ。

…すぐに復活はしたけれど、あれは本当に痛かった。

結界魔法で確信した。

あれはツバキの魔法だ。

ツバキは北の大地にいてそのせいでボクとは会えないんだと。

どうすれば北の大地に入れるだろうか?

一生懸命に頭を捻る。


ーーそうだ!

もう一度、この世界に勇者を召喚して一緒に北の大地に向かえばいいんだ!

創造神ルールーから召喚術は教わっている。

それを思い出そうとした。


………???

何故か綺麗さっぱり思い出せない!

ほんの僅かな情報さえ思い出せない。

おかしいな、ツバキが召喚された後もしっかり覚えていたのに今は何も思い出せない!

…ボクに打つ手は無くなってしまい、500年の時が流れた。





この500年、ツバキに逢えないまま色んな事があった。

一番大きな出来事は200年前に『オローカ帝国』が建国された事だ。

バカバッカ王国が滅んだ原因が表向きは王子の謀反だったということで、平民達が絶対君主制を嫌い300年間地方自治でそれぞれ成り立っていた。

それを一つにまとめあげたのが、初代オローカ皇帝だ。

この200年間、大きな戦争もなく世界は一見平和だ。

歴代皇帝は国をまとめる事に力を注いでいたのだろう。

瘴気を放つ北の大地は500年間手付かずのままだった。

ボクは相変わらず一つの場所に長く留まらず、各地をあてもなく転々としていた。

そんなある日、滞在していた街の宿屋が大騒ぎになった。

なぜならそこには、黒髪黒目の勇者が現れたからである。

見た目はツバキと同年代の少年だ。 

だが、ただの少年じゃない事は彼の黒髪黒目見た目が物語っていた。

ボクが500年前に召喚しようとしてできなかった事を誰かが成し遂げたようだ。

この最初で最後のチャンスを逃してなるものか!


「勇者様!

ボクも魔王討伐の旅に連れて行って下さい!

どうかお願いです!お願いします!!」


自分より遥かに年下の少年に懇願する。

少年は驚いた顔をしていて、仲間であろう剣士と魔法使いは胡散くさげな顔をしていた。

ここで引き下がったら終わりだ!


「…ボクは不死身なんで旅の役に立ちますよ。」


少年の耳元で囁く。


「…本当に?」


やった、食いついたぞ!


「興味がありましたら、ここではない場所で証明してみせますよ。

ここは人が多すぎるので、あまり目立ちたくないんです。」


少年に更に畳み掛ける。

少年は仲間達に目線でどうする?と聞いていた。








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