【完結】大切にするってお約束しましたよね。忘れた人には⋯⋯お仕置きしたい人が大集合しました

との

文字の大きさ
35 / 37

35.最強ルーナと気付かないリリスティーナ

しおりを挟む
「どうかお座り下さい。国王と言ってもまだ名ばかりですし、ルーナの悪戯で名乗れなかっただけなので。
それにプライベートでは普通にして欲しいとルーナ達にもお願いしてあるんです。国王ではなく弟として対応して欲しいと。
皆様とは、できればそのお友達からはじめさせていただきたいと。で、いえ、はい」

 セドリックはリリスティーナの名前を知ることができただけで幸せいっぱいで最後の辺りから本音がダダ漏れになっている。

(リリスティーナ嬢⋯⋯)


「とても面白いものを見せていただいたものですから」

「セドリック、俺も楽しませてもらったぞ。紹介を後回しにすることまでは思いつかなかったがな。何はともあれ兄弟で決闘騒ぎにならなくて良かった」

「マシュー!」

「さあ、御用がお済みになられたらお仕事にお戻りになられませ。オリバーが匂いを嗅ぎつけると面倒なことになりますわよ」

「そうですね。コレット様、リリスティーナ様、エアリアス様。お会いできてとても嬉しかったです。今度是非王宮に遊びに来ていただけませんか?」

 名残惜しげにリリスティーナを見つめるセドリックはルーナとマシューが笑いを堪えていることにも、コレットが寂しそうな顔をしていることにも気づいていなかった。
 オリバーのお相手認定されてる気配を察知したエアリアスは苦虫を噛み潰したような顔で俯き、リリスティーナはエアリアスの様子が心配でセドリックの視線にもその他の人達の様子も目に入っていなかった。


 エアリアスに夢中になっているのはナーガルザリアのオリバー、リリスティーナを蕩けるような目で見つめているのはレミリアスのセドリック⋯⋯。

(わたくしはグレーニア公爵家を継がなくちゃならないし。みんな別の国になっちゃうの?)


「お心遣いありがとうございます。暫くはレミリアス王国に滞在する予定ですので機会がありましたら」

「はい、予定を調べてご連絡させていただいてよろしいでしょうか? できればその「陛下、迎えの馬車が参りました」」

「はあ、ルーナが陛下と呼ぶ時は問答無用の時なのです。それでは、お騒がせしました。是非お時間を」

 勢い込んで前のめりで話していたセドリックがルーナの言葉で溜息をつき、しゅんっと小さくなって尻尾を丸めた。

(オリバーに感化されたのか、セドリックにも最近尻尾が生えてる気がする)


 オリバーの尻尾は対セドリック用だったが最近はエアリアスにも同じくらい反応している。昨日初対面の時にオリバーがブンブンと尻尾を振りながらキラッキラの目線でエアリアスを見つめているのを見たルーナはオリバーの思い人が誰なのか直ぐに気がついた。

 その直後オリバーの後ろからウォルデン侯爵家の護衛が近づいていったが、オリバーはエアリアスを見つめるのに忙しすぎて自分が拉致されて連れ去られようとしていることに気づいていたのかどうかわからない。

(あれでは王子として失格ですわ。危険予知できなくては危なくて外には出せないとお義父様が心配されるのは当然ですわね)


「陛下、皆様が書類を手にお待ちですよ」

 セドリックは名残惜しげにリリスティーナを見つめながらドナドナされて行った。




 王都見学や流行りのカフェ巡り。リリスティーナ達はウォルデン侯爵家の護衛に守られながらレミリアスを堪能していた。

 侯爵家に滞在して1週間が経ち久しぶりにオリバーが夕食に現れた。

「お久しぶりです。とてもお元気そうで⋯⋯?」

 エアリアスの言葉が思わず止まってしまうほどオリバーの様子は激変していた。白く手入れの行き届いていた頬はこけ日焼けして精悍な面持ちになり、すらっと細身だったのが一回り大きくなり筋肉で肩や腕の辺りがパツパツになっている。

「今までの服はサイズが合わなくなってしまって借り物の服なんです」

 お見苦しくて申し訳ないと恥ずかしそうにするオリバーだが明日には洋服が一式届く予定らしい。

「明日まで待てと言ったのですがオリバーがもう待てないと駄々をこねて仕方なく私のを貸しました。本当に困った奴です」

 動きにくそうにしているオリバーを見るマシューの目は言葉とは裏腹に優しい。

 オリバーの訓練の担当をしたのはウォルデン侯爵家でトップクラスの腕を持つ護衛のガストン。マシューもガストンのブートキャンプには何度か放り込まれたことがある。

「10日の予定を1週間で終わらせてやっと訓練が終わったんです。もうエアリアス様が不足して死にそうなんです!」

「あら、それはまあ⋯⋯大変でしたわね」

 エアリアスは咄嗟に扇子で顔を隠したが耳がほんのり赤くなっているのは隠せなかった。

「ガストンの奴。二言目には『いつまで滞在して下さるのかなあ?』ってニヤニヤしながら私の恐怖を煽るし」

「ガストンの得意技だな。ガストンに弱みを握られないようにするのが唯一の対抗策だって覚えとくといいぞ。決して後ろを見せないとか、常にガストンの気配を探知するよう意識しておくとか」

「それではまるで戦場みたいだわ」

「ガストンのいるエリアはいつも戦場みたいなものです。しかもガストンの攻撃範囲は異常なほど広い」

 マシューの台詞にオリバーがうんうんと頷いている。ルーナの執事役をマシューに任せた後のガストンは訓練量を増やし今では使用人達から『災厄のガストン』と恐れられている。


『あんなちびっこに潜り込まれた! 俺の痛恨のミスだ』

 ルーナとマシューが出逢うきっかけになった事件⋯⋯。ナーガルザリアからやって来たマシューが屋敷を偵察するためにウォルデン侯爵家に潜り込んだ事があるのだが、その事がガストンのトラウマになっていて訓練の手が止められないらしい。



 夕食が終わり明日の遠出の約束をしてリリスティーナ達は其々の部屋に戻った。

(そろそろお部屋を借りるべきかしら)

 はじめはあまりにも豪華すぎて慌てたリリスティーナ達だったが予想以上の居心地の良さについそのまま居座ってしまっている。

 よく気のつくメイド達は居心地が良くなるように最新の注意を払いながらも目立たず世話をしてくれる。

 高級な食材をふんだんに使った食事は毎回目を見張るほど美しく調理され、しかも栄養過多にならないよう配慮されている。いつの間に調べたのかリリスティーナ達の好みや苦手も把握されている気がするが、とても自然に配慮してくれるので詮索されている不快感を感じる事なくいられる。

(こんな生活を続けてたら元の暮らしに戻れなくなってしまうわ)


 この国で仕事を見つけたいと思っているリリスティーナは近いうちに貸家を見つけ仕事探しをはじめようと心に決めた。

しおりを挟む
感想 257

あなたにおすすめの小説

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵令息から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

処理中です...