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34.その瞬間を目撃! 回避された決闘
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結局その日はリリスティーナの部屋で3人だけで食事をすることにした。
「ウォルデン侯爵家が凄い資産家だとは聞いていたけどこれは⋯⋯」
「これがレミリアス王国の侯爵家の標準って事はないわよね」
「どうしよう、持ってきたドレスでは貧相すぎて失礼にあたるかしら?」
予定では暫くウォルデン侯爵家に滞在してから貸家を探すつもりだったが3人は少し尻込みしていた。
出迎えてくれたルーナは手紙の文面で予想していた通り上品で穏やかな女性で、隣に並んでいた夫のマシューも役職以外はまともそうな紳士だったがこの豪華さと女傑の評判を加味すると見かけ通りではない可能性が高い。
「すぐに貸家に移るのは失礼にあたるし何日かはここに滞在するべきよね」
「王宮より緊張しそう」
「明日早速オリバー様に話を聞いてみません? エアリアスよろしくね」
エアリアスがゲンナリした顔で頷いた。食事の後はそれぞれの部屋に戻り早めに就寝した。緊張で眠れないかと心配したが旅の疲れと美味しい料理とふかふかのベッドでぐっすりと朝まで爆睡した。
「おはようございます。よく眠れたかしら?」
3人が揃って食堂に行くとルーナは既に椅子に座っておりマシューが朝のコーヒーを淹れていた。
「マシュー、座って。皆様が驚いてらっしゃるわ」
「申し訳ありません。長年の癖でして、朝のコーヒーだけはどうしても自分で淹れたくなるのです。どうかご容赦下さい」
戸惑いながらも椅子に腰掛けた3人とルーナ達の前に朝食が運ばれ、マシューの淹れたコーヒーもメイドの手でそれぞれに運ばれた。マシューも漸く席に座り5人揃って食事をはじめた。
「一度わたくしが淹れてみたのですけどとんでもない味になってしまって、それからは諦めてマシューの自由にしてもらってるの。
ところで今日は何か予定はおありになるかしら?」
「いえ、特には決めておりませんの。オリバー様が王都を案内してくださると仰っておいでだったのですがお忙しいようですし、3人で少し散歩でもできればと思っております」
「そう、もし良ければ誰か案内をお付けしますわ。王都が物騒だと言うわけではないのですけれど、これほど美しい方が3人も揃っておられたら何が起きるかわかりませんもの」
「オリバーは当分使い物にならないと思いますし、アイツより詳しい者をお連れ下さい」
「ありがとうございます。その時は是非よろしくお願いします」
「お聞きになられてないかもしれないのですがマシューはオリバーの兄ですの」
「「「えっ? (でも)」」」
オリバーがナーガルザリア王国の王弟の末息子だと聞いていたリリスティーナ達。
(って事は、ルーナ様は他国の王子を執事や護衛扱いしておられるって事?)
「ルーナ。わざと誤解されるような説明しちゃ駄目じゃないか。皆様が混乱しておられる」
「ふふ、マシューはわたくしを監視しようと単独で乗り込んできた押しかけ執事ですの。マシューとオリバーは変わり者兄弟ですわね」
「それは酷い言い方だよ。オリバーと一緒にされるのは心外だな」
「もう一人のマシュー達の弟がそろそろ来るんじゃないかしら」
「セドリックが? ああ、確かに。
セドリックは弟と言っても血が繋がってなくて私達の父の養い子みたいな感じなんです。末っ子のオリバーは初めて会った日から弟ができたと大騒ぎしておりまして」
オリバーが漸く自分以外に関心を持ってくれたと喜んでいるセドリックは数日前からソワソワしていた。
『その令嬢に是非ともお会いして感謝の気持ちを伝えたいんです。オリバーの事は大好きだけどあのままではずっと独り身のままになりそうで心配してたんです』
穏やかな会話のお陰で緊張することなく食事が終わり、食後の紅茶が出された頃来客の知らせが来た。
ルーナとマシューは『ほらね』と言わんばかりに苦笑いを浮かべながら全員を応接室に案内した。
応接室にはリリスティーナ達と歳の近い青年が一人で待っていたがリリスティーナを見た途端目を輝かせた。
ルーナが『ご紹介は後程にいたしましょう』と言いつつソファを勧め、紅茶を淹れ終わったメイドが退出する間セドリックの目はリリスティーナに釘付けになっていた。
(あら、セドリックがこんな顔をするなんて)
「おはようございます。今日は朝早くからいかがなされましたの?」
来客があるはずだと言っていたルーナとマシューは少し笑いを堪えながらセドリックに話しかけた。
「ん? あ、おはようございます。えーっと、そう、そうです。オリバーが一目惚れしたと言う方に是非お会いしたくて失礼を承知で伺いました」
漸くリリスティーナから目を離したセドリックが少し顔を赤らめてルーナに返事をしたが少し前まで本来の目的を忘れていたらしい。
「あら、ではここで当ててご覧になられてはいかがですか? 因みにわたくし達もまだ聞いておりませんの」
ルーナとマシューは既に笑いを誤魔化しきれていない。リリスティーナ達は何が起きているのかもわからず緊張して座っていた。
「左端の方がでオリバーの思い人です」
「なぜそう思われましたの?」
「えーっと、オリバーから聞いていた通りの方でした。それ以上はご容赦下さい」
「まあ、残念。そこが一番聞きたかったのに。ふふ、正解ですわ。でも安心なさったでしょう?」
「えっ? あ!」
謎の会話が続きセドリックが顔を真っ赤にした。
「はい、良かったです」
漸くルーナがリリスティーナ達とセドリックの紹介をしたがセドリックの名前を聞いてリリスティーナ達は驚いた。
「レミリアス国王陛下でいらっしゃいますか!? 大変ご無礼致しました」
慌てて立ち上がるリリスティーナ達に対して腰を浮かせたセドリックが言葉をかけた。
「ウォルデン侯爵家が凄い資産家だとは聞いていたけどこれは⋯⋯」
「これがレミリアス王国の侯爵家の標準って事はないわよね」
「どうしよう、持ってきたドレスでは貧相すぎて失礼にあたるかしら?」
予定では暫くウォルデン侯爵家に滞在してから貸家を探すつもりだったが3人は少し尻込みしていた。
出迎えてくれたルーナは手紙の文面で予想していた通り上品で穏やかな女性で、隣に並んでいた夫のマシューも役職以外はまともそうな紳士だったがこの豪華さと女傑の評判を加味すると見かけ通りではない可能性が高い。
「すぐに貸家に移るのは失礼にあたるし何日かはここに滞在するべきよね」
「王宮より緊張しそう」
「明日早速オリバー様に話を聞いてみません? エアリアスよろしくね」
エアリアスがゲンナリした顔で頷いた。食事の後はそれぞれの部屋に戻り早めに就寝した。緊張で眠れないかと心配したが旅の疲れと美味しい料理とふかふかのベッドでぐっすりと朝まで爆睡した。
「おはようございます。よく眠れたかしら?」
3人が揃って食堂に行くとルーナは既に椅子に座っておりマシューが朝のコーヒーを淹れていた。
「マシュー、座って。皆様が驚いてらっしゃるわ」
「申し訳ありません。長年の癖でして、朝のコーヒーだけはどうしても自分で淹れたくなるのです。どうかご容赦下さい」
戸惑いながらも椅子に腰掛けた3人とルーナ達の前に朝食が運ばれ、マシューの淹れたコーヒーもメイドの手でそれぞれに運ばれた。マシューも漸く席に座り5人揃って食事をはじめた。
「一度わたくしが淹れてみたのですけどとんでもない味になってしまって、それからは諦めてマシューの自由にしてもらってるの。
ところで今日は何か予定はおありになるかしら?」
「いえ、特には決めておりませんの。オリバー様が王都を案内してくださると仰っておいでだったのですがお忙しいようですし、3人で少し散歩でもできればと思っております」
「そう、もし良ければ誰か案内をお付けしますわ。王都が物騒だと言うわけではないのですけれど、これほど美しい方が3人も揃っておられたら何が起きるかわかりませんもの」
「オリバーは当分使い物にならないと思いますし、アイツより詳しい者をお連れ下さい」
「ありがとうございます。その時は是非よろしくお願いします」
「お聞きになられてないかもしれないのですがマシューはオリバーの兄ですの」
「「「えっ? (でも)」」」
オリバーがナーガルザリア王国の王弟の末息子だと聞いていたリリスティーナ達。
(って事は、ルーナ様は他国の王子を執事や護衛扱いしておられるって事?)
「ルーナ。わざと誤解されるような説明しちゃ駄目じゃないか。皆様が混乱しておられる」
「ふふ、マシューはわたくしを監視しようと単独で乗り込んできた押しかけ執事ですの。マシューとオリバーは変わり者兄弟ですわね」
「それは酷い言い方だよ。オリバーと一緒にされるのは心外だな」
「もう一人のマシュー達の弟がそろそろ来るんじゃないかしら」
「セドリックが? ああ、確かに。
セドリックは弟と言っても血が繋がってなくて私達の父の養い子みたいな感じなんです。末っ子のオリバーは初めて会った日から弟ができたと大騒ぎしておりまして」
オリバーが漸く自分以外に関心を持ってくれたと喜んでいるセドリックは数日前からソワソワしていた。
『その令嬢に是非ともお会いして感謝の気持ちを伝えたいんです。オリバーの事は大好きだけどあのままではずっと独り身のままになりそうで心配してたんです』
穏やかな会話のお陰で緊張することなく食事が終わり、食後の紅茶が出された頃来客の知らせが来た。
ルーナとマシューは『ほらね』と言わんばかりに苦笑いを浮かべながら全員を応接室に案内した。
応接室にはリリスティーナ達と歳の近い青年が一人で待っていたがリリスティーナを見た途端目を輝かせた。
ルーナが『ご紹介は後程にいたしましょう』と言いつつソファを勧め、紅茶を淹れ終わったメイドが退出する間セドリックの目はリリスティーナに釘付けになっていた。
(あら、セドリックがこんな顔をするなんて)
「おはようございます。今日は朝早くからいかがなされましたの?」
来客があるはずだと言っていたルーナとマシューは少し笑いを堪えながらセドリックに話しかけた。
「ん? あ、おはようございます。えーっと、そう、そうです。オリバーが一目惚れしたと言う方に是非お会いしたくて失礼を承知で伺いました」
漸くリリスティーナから目を離したセドリックが少し顔を赤らめてルーナに返事をしたが少し前まで本来の目的を忘れていたらしい。
「あら、ではここで当ててご覧になられてはいかがですか? 因みにわたくし達もまだ聞いておりませんの」
ルーナとマシューは既に笑いを誤魔化しきれていない。リリスティーナ達は何が起きているのかもわからず緊張して座っていた。
「左端の方がでオリバーの思い人です」
「なぜそう思われましたの?」
「えーっと、オリバーから聞いていた通りの方でした。それ以上はご容赦下さい」
「まあ、残念。そこが一番聞きたかったのに。ふふ、正解ですわ。でも安心なさったでしょう?」
「えっ? あ!」
謎の会話が続きセドリックが顔を真っ赤にした。
「はい、良かったです」
漸くルーナがリリスティーナ達とセドリックの紹介をしたがセドリックの名前を聞いてリリスティーナ達は驚いた。
「レミリアス国王陛下でいらっしゃいますか!? 大変ご無礼致しました」
慌てて立ち上がるリリスティーナ達に対して腰を浮かせたセドリックが言葉をかけた。
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