【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく

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14.ラーンードールーフー、貴様のせいかあ! え?わしも?

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「はい、ほとんどと申しますか旦那様からは一通も届いておりません。代理の⋯⋯ゴニョゴニョ⋯⋯様からは何度かお手紙をいただきました」

「アンジー・ケレイブか?」

 チラッとケイン達の顔を伺ったセドリックが小さく頷いてから頭を下げた。

「どんな内容じゃった?」

 アンジーの手紙によるとライルは各地を回り特産品の調査や新しい販路の開拓に忙しくまだ当分帰る予定はないと書かれていた。

「領地の差配は代官に任せてあり、会社の運営については⋯⋯ゴニョゴニョ⋯⋯なので大丈夫。その為に⋯⋯ゴニョゴニョ⋯⋯」

「はっきりと話さんか! 誰も怒りゃせん」

 ランドルフの大きな声で腹を括ったセドリックが大きく息を吸って説明しはじめた。

「⋯⋯かい、会社の運営はローゼンタール家に任せてあるので大丈夫! その為に一時的に社長職を譲ってあげたのだから、ほんの数ヶ月くらいは真面目に給料分働いてもらう予定だと仰っておられたと書いてありました!」

「いやはや、本人の意見なのかケレイブ殿の意見なのか分からんが非常に興味深い話で⋯⋯デイビッドがあのようなことをしたり言ったりするのは当然の結果と言うことですなあ」

「やはりケレイブの女狐と再婚するつもりなのかもしれんな。それについては聞いておらんのか?」

「ハッキリしたことは何も仰いませんでした。この関係をローゼンタール家にはまだ知らせたくないからと仰ったのと、旦那様がお帰りになられるまでキャサリン様が不安にならないようデイビッド様とふたりでお世話をするように申しつけられただけでございます」

「なんとなんと⋯⋯デイビッドは世話をしすぎておるようじゃな」

「なんと! 大旦那様はそれもご存知でしたか。何度も注意させていただきましたが聞き入れていただけず⋯⋯旦那様がお戻りになられる前に助産婦を探すハメになりはしないかとハラハラし⋯⋯」

「ま、待て待て! つまりデイビッドはその娘とそう言う関係になっておると言うのじゃな!」

「ええ! ご存知なかったのですか!? では、先ほどのお話は⋯⋯あぁ、なんてこった! 散財の件だけだったのですね。デイビッド様は旦那様から当主代理に任命されたと仰って何ひとつお話を聞いてくださらないので、ローゼンタール家に請求を回す以外にも予算額を大幅に超えた散財をしておられるのです」

 キャンストル伯爵家にはデイビッドの指示でキャサリンの部屋が準備され、床板から天井まで全面改装し高級家具がなどが揃えられている。

「それに合わせてデイビッド様のお部屋も改装されましたし、家具もキャサリン様のお見立てで一新されました。クローゼットに入りきらないキャサリン様のドレスや小物は衣装部屋に変更した客室に納められています」

「奴はバカなのか?」

「バカだからそこまでできるんじゃろうなあ。突出したバカ⋯⋯ある意味大物かもしれんな」

 ランドルフの呟きを拾ったエマーソンが情け容赦なく断言した。



「ライルの元妻について何か聞いて⋯⋯はおらんじゃろうな」

「サリナ様の事でしょうか? 見習いでお屋敷に上がった頃にはまだいらっしゃいましたから少しなら存じております」

「浮気相手が誰なのかとか子供の話とかは噂になっておらんかったのか?」

「お相手の方は複数で貴族から平民まで色々だったとメイド達が言っておりました。あと、デイビッド様を置いていかれたのは酷すぎると」

 元妻のサリナが出て行った後しばらくの間デイビッドは離れに移され、ザッカリーが離れで一緒に暮らすと言ってライルと喧嘩をしていたと聞いたランドルフが頭を抱えた。

「ザックとライルの不仲はそれが原因か」

「ザッカリー様がアーシェ様と結婚したかったからではないのですか?」

「まあ、それもあったかもしれんが⋯⋯その前から揉めておったと言う事じゃろうな」



「ちと尋ねるんじゃがのう⋯⋯ キャンストル家の借金について家で話は出ておらんかったのか?」

 エマーソンが身を乗り出してセドリックに問いただした。

「キャンストル家には借入等はないと認識しております⋯⋯そう言えば古くからいる使用人の中には『長い間キャンストル家はローゼンタール家に多額の支援をしていた』と言う者がおりまして⋯⋯旦那様もそのように思っておられるようでしたので気になって古い帳簿を調べさせていただいたことがございます」

「なんでそんな間違った認識が⋯⋯」

「大旦那様が『ローゼンタールに金は送ったか?』とか『ローゼンタールに早く金を送ってやれ』と仰っておられたせいでは? 使用人達に間違いを正すと全員からそのように言い返されました」

「ラーンードールーフー、貴様のせいかあ! 長年のローゼンタール家の醜聞は貴様の無責任な言葉遣いのせいかあぁぁぁ!」

 エマーソンがランドルフの頭を思いっきり叩いた。

「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」

「父上も人前で『早く金をよこせ』とか怪しげな言葉を吐いておられたと聞いていますからお互い様ですね。あれほど仲が良いと借金する時も遠慮しないのですなあと揶揄われました」

「わしが⋯⋯わしが噂を補強しとった?」

「はい、間違いないですねえ」

 エマーソンを睨んでいたケインがリリベルと顔を見合わせて頷いた。



「おおよその見当はついたようなので女狐親子と親玉を誘き出しましょう。恐らく全体の台本を書いたのはケレイブ子爵か親女狐との合作のどちらかで、実際に舞台に上がったのが女狐親子」

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