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マッケンジー邸
6.公爵邸再び
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公爵邸に着くと庭のキョシュクに案内された。
壁に囲まれた庭の中央の噴水には聖母マリアが、近くにはユニコーンの彫刻が鎮座している。
夏の爽やかな風が吹き、盛りの時期を迎えた薔薇やダリアが花壇を華やかに彩っている。
もうすぐ終わりを迎える百合も一斉に花開き、白い花弁に鮮やかな黄色が目を楽しませてくれた。
この国ではまだ珍しい月下美人も、夜に一度目の花を咲かせているそうだ。
「ジプシーに会えたなんて羨ましいわ。彼らは本当に黒髪と黒い肌だったの?」
ジプシーは今はまだ数が少ないので、社交界で会ったことのある人は殆どいない。
「私が会った人は黒髪で明るい褐色の肌色でした。自分達は白ジプシーだからと」
「白ジプシー・・初めて聞いたわ。
それで、占いやジプシー舞踊も見たの?」
「踊りは見れなかったのですが、占いはすごい的中率でした」
「まぁ、そんなに?」
ジェシカは目を丸くしている。
「はい、びっくりする程に。同じ方達が来られるのかは分かりませんが、毎年夏の時期にオークリーにやって来るそうです」
「オークリーと言うとダーリントン侯爵の領地ね。今度会った時お聞きしてみるわ」
「私は時間がなくて会えませんでしたが、吟遊詩人も来ているそうです」
「吟遊詩人は随分と数が減って、なかなか呼べなくなってきたのに。
チャールズがこんな素敵な事を秘密にしているなんて」
「吟遊詩人はともかく、ジプシーには悪い噂が多いからなぁ。
チャールズが公にしていないのはそのせいかも」
「確かに、誰かに話して盗みでも働かれたら大変だもの。
お話を聞く時は、周りに用心しなくては迷惑をお掛けしそうね」
「ところで今日はレノンは出かけているのかな?」
「お父様・・」
リディアが慌てて目くばせするがライリーは気づかないふりをしている。
「今日はと言うより今日もセシリアが来てるの。
ジプシーの話を聞きたかったから、こちらにはこない様に言っておいたのよ」
「後で声をかけてもいいかな?」
「勿論、レノンはセシリアにうんざりしてるからきっと喜ぶわ。
息子はライリーとリディアに会いたがっていたの」
「レノンとセシリアは付き合ってはいなかったと思うんだが、本当のところはどうなんだい?」
「ライリーがそう言う噂を口にするなんて珍しいわね。
噂は本当よ。あの二人は兄妹みたいなものだから」
(やっぱり、ではセシリアは嘘を?)
「セシリアの方はレノンの事が好きみたいだけど、レノンは嫌がってるの。
ここの所特にセシリアが張り切ってて、レノンも私も正直困ってるのよね」
「それでレノンはリディアにあんな失礼な提案を」
「お父様! 駄目」
リディアがライリーの腕に手をかけたが、ライリーはその手を優しく叩き、
「先日リディアがここに泊まった際色々あった様でね。まずはレノンの従僕に話があるんだが呼んでもらえるかな?」
「アンリが何かしでかしたの?」
「ジェシカはなぜそう思うんだい?」
「この間からアンリの様子がおかしいの。
塞ぎ込んでいるかと思ったら、あちこちで暴言を吐いたりしてる様で」
リディアはメイドを呼び、アンリにすぐ来るよう指示を出した。
「何があったのか教えてくれるかしら」
壁に囲まれた庭の中央の噴水には聖母マリアが、近くにはユニコーンの彫刻が鎮座している。
夏の爽やかな風が吹き、盛りの時期を迎えた薔薇やダリアが花壇を華やかに彩っている。
もうすぐ終わりを迎える百合も一斉に花開き、白い花弁に鮮やかな黄色が目を楽しませてくれた。
この国ではまだ珍しい月下美人も、夜に一度目の花を咲かせているそうだ。
「ジプシーに会えたなんて羨ましいわ。彼らは本当に黒髪と黒い肌だったの?」
ジプシーは今はまだ数が少ないので、社交界で会ったことのある人は殆どいない。
「私が会った人は黒髪で明るい褐色の肌色でした。自分達は白ジプシーだからと」
「白ジプシー・・初めて聞いたわ。
それで、占いやジプシー舞踊も見たの?」
「踊りは見れなかったのですが、占いはすごい的中率でした」
「まぁ、そんなに?」
ジェシカは目を丸くしている。
「はい、びっくりする程に。同じ方達が来られるのかは分かりませんが、毎年夏の時期にオークリーにやって来るそうです」
「オークリーと言うとダーリントン侯爵の領地ね。今度会った時お聞きしてみるわ」
「私は時間がなくて会えませんでしたが、吟遊詩人も来ているそうです」
「吟遊詩人は随分と数が減って、なかなか呼べなくなってきたのに。
チャールズがこんな素敵な事を秘密にしているなんて」
「吟遊詩人はともかく、ジプシーには悪い噂が多いからなぁ。
チャールズが公にしていないのはそのせいかも」
「確かに、誰かに話して盗みでも働かれたら大変だもの。
お話を聞く時は、周りに用心しなくては迷惑をお掛けしそうね」
「ところで今日はレノンは出かけているのかな?」
「お父様・・」
リディアが慌てて目くばせするがライリーは気づかないふりをしている。
「今日はと言うより今日もセシリアが来てるの。
ジプシーの話を聞きたかったから、こちらにはこない様に言っておいたのよ」
「後で声をかけてもいいかな?」
「勿論、レノンはセシリアにうんざりしてるからきっと喜ぶわ。
息子はライリーとリディアに会いたがっていたの」
「レノンとセシリアは付き合ってはいなかったと思うんだが、本当のところはどうなんだい?」
「ライリーがそう言う噂を口にするなんて珍しいわね。
噂は本当よ。あの二人は兄妹みたいなものだから」
(やっぱり、ではセシリアは嘘を?)
「セシリアの方はレノンの事が好きみたいだけど、レノンは嫌がってるの。
ここの所特にセシリアが張り切ってて、レノンも私も正直困ってるのよね」
「それでレノンはリディアにあんな失礼な提案を」
「お父様! 駄目」
リディアがライリーの腕に手をかけたが、ライリーはその手を優しく叩き、
「先日リディアがここに泊まった際色々あった様でね。まずはレノンの従僕に話があるんだが呼んでもらえるかな?」
「アンリが何かしでかしたの?」
「ジェシカはなぜそう思うんだい?」
「この間からアンリの様子がおかしいの。
塞ぎ込んでいるかと思ったら、あちこちで暴言を吐いたりしてる様で」
リディアはメイドを呼び、アンリにすぐ来るよう指示を出した。
「何があったのか教えてくれるかしら」
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