12 / 33
12.ベリー嫌いの苺好き
しおりを挟む
「凄い、凄いぞタイラー! さすが俺の弟分だな、うん。お前はやればできる男だってずーっとずーっと思ってたんだ」
ギルバートに頭を抱え込まれたタイラーが真っ赤な顔で逃げ出した。
「サ、サラのお陰だし。もう子供扱いはやめてくれ、僕だってやる時はやるに決まってる!」
「⋯⋯みんな、聞いたか? タイラーが、あの人見知りで引きこもりだったタイラーが長文を話してる」
感極まったギルバートが涙目になっている前で、ライリーはせっせとケーキを切り分けていた。
「ねえ、ほんとにみんなで食べていいの?」
「勿論よ、ホールケーキなんだもん」
「六つに切り分けてサラが2つだね」
ライリーが大きめに切ったケーキの乗った皿をメリッサとサラに手渡した。勿論、一番小さいのをギルバートに⋯⋯。
「なんであんなにお馬鹿なんだ? セドリックは凄く頭も良かったし性格もイーサンとは正反対だったのに」
ケーキに乗ったラズベリーをギルバートの皿にポイポイと乗せながらライリーがメリッサに問いただした。
因みにギルバートは大のベリー嫌いなので、ギルバートの涙が速攻で引っ込んだのはライリーのお陰かもしれない。
「母親のせいね。セドリックは後継として父親から厳しく育てられたけど、イーサンは母親にベッタリだったから。見ているのが気持ち悪いくらい甘々だったわ。
学園に入学する年になっても『あーん』してもらってたのを見た時は顎が落ちるかと思った」
「毎回毎回楽しませてくれるよな。俺の番が待ち遠しくて堪んないよ」
ニヤニヤと笑いを浮かべるライリーはギルバートの皿から苺を盗んでポイっと口に放り込んだ。
「あっ! てめえ、俺の苺ちゃんを食いやがったな」
「早いもん勝ち⋯⋯あっ!」
ドヤ顔をしていたライリーの皿の苺にギルバートのフォークが突き刺さった。
「早いもん勝ちだろ?」
「くそ! ベリー嫌いのくせしやがって」
「一ヶ月も待たされて⋯⋯ぼ、僕は今晩⋯⋯爆睡する予定なんで明日は休みをもらいました」
「目の下のクマが消えるまで休みを取るといいかもよ~。少々じゃ消えそうにないもん」
「次は間違いなくサラんとこだな」
「多分ね。ウエディングドレス作るって言うんだと思うけど⋯⋯気が重いなあ。行くのやめよっかな」
「そう言いながら準備してるくせに」
「まあね、商品を傷つけられたら困るもん。大切な一点ものとか手に入れにくい布とかは見せたくないのよね」
元々古着屋からはじまったローゼン商会だけに、衣類関係は特に充実している。
身分や種族に合わせた服はそれぞれの文化に合う素材を使ったこだわりの品も多く、フロアの総面積は大型家具も取り扱う店よりも広い。
「来るとしたら本店の3階かあ」
「ギルバートへの恐怖を乗り越えて来れるのかしら」
「あれから一ヶ月経ってるから、『喉元過ぎれば暑さを忘れる』ってやつじゃないかな」
本人は気づいていないようだが、吃らなくなったタイラーは少しずつ会話に参加することが増えはじめていた。
「鶏の三足だな。三歩歩いたら忘れるってやつ」
「毎回サラは顔を見せてるのに未だに気付かねえとか超ウケるぜ。いつ気がつくんだろうかって、すっげえ楽しみ~」
サラ達に楽しく『ざまぁ』されている事に気付いていないイーサンとアリーシャは、ソファの端と端に離れて座り顔を背けていた。
「お前、俺の前で男に媚び売るとか信じらんねえんだけど?」
「アンタだってチラチラ見かける銀髪女を気にしてるじゃん」
「俺は高位貴族の嫡男だぞ!? 平民に落ちたお前に文句を言われる筋合いなんかないからな!」
「⋯⋯偉そうにしないでよね。卒業パーティーの時結婚するって言ったのに、約束守ってくれなかったからこんな事になったんじゃん」
「それは、ママが⋯⋯兎に角、不貞は許さないからな! でないと捨てて他の女を連れてくる」
「⋯⋯分かってるってばぁ、アタシが大好きなのはイーサンだって知ってるでしょ?」
これからイーサンが自由にできるはずの資産を思い浮かべたアリーシャはイーサンの横ににじり寄り上目遣いでうっすらと涙を浮かべた。
「捨てるなんて酷い⋯⋯例え話でも悲しくなっちゃう」
大きな胸を両手で寄せてイーサンの腕にしがみつくと目に見えて鼻の下を伸ばしてアリーシャをソファに押し倒してきた。
「可愛く甘えるなら今回は許してやる」
「イーサンもぉ、あんな女なんか気にしないでね」
「うん」
イーサンが下半身に思考を奪われ本能だけの獣になっていくのをアリーシャは冷ややかな目で見つめながら頭を働かせた。
(毎回イーサンが邪魔なのよね。次はアタシ一人で話を進めてくるわ)
ギルバートに頭を抱え込まれたタイラーが真っ赤な顔で逃げ出した。
「サ、サラのお陰だし。もう子供扱いはやめてくれ、僕だってやる時はやるに決まってる!」
「⋯⋯みんな、聞いたか? タイラーが、あの人見知りで引きこもりだったタイラーが長文を話してる」
感極まったギルバートが涙目になっている前で、ライリーはせっせとケーキを切り分けていた。
「ねえ、ほんとにみんなで食べていいの?」
「勿論よ、ホールケーキなんだもん」
「六つに切り分けてサラが2つだね」
ライリーが大きめに切ったケーキの乗った皿をメリッサとサラに手渡した。勿論、一番小さいのをギルバートに⋯⋯。
「なんであんなにお馬鹿なんだ? セドリックは凄く頭も良かったし性格もイーサンとは正反対だったのに」
ケーキに乗ったラズベリーをギルバートの皿にポイポイと乗せながらライリーがメリッサに問いただした。
因みにギルバートは大のベリー嫌いなので、ギルバートの涙が速攻で引っ込んだのはライリーのお陰かもしれない。
「母親のせいね。セドリックは後継として父親から厳しく育てられたけど、イーサンは母親にベッタリだったから。見ているのが気持ち悪いくらい甘々だったわ。
学園に入学する年になっても『あーん』してもらってたのを見た時は顎が落ちるかと思った」
「毎回毎回楽しませてくれるよな。俺の番が待ち遠しくて堪んないよ」
ニヤニヤと笑いを浮かべるライリーはギルバートの皿から苺を盗んでポイっと口に放り込んだ。
「あっ! てめえ、俺の苺ちゃんを食いやがったな」
「早いもん勝ち⋯⋯あっ!」
ドヤ顔をしていたライリーの皿の苺にギルバートのフォークが突き刺さった。
「早いもん勝ちだろ?」
「くそ! ベリー嫌いのくせしやがって」
「一ヶ月も待たされて⋯⋯ぼ、僕は今晩⋯⋯爆睡する予定なんで明日は休みをもらいました」
「目の下のクマが消えるまで休みを取るといいかもよ~。少々じゃ消えそうにないもん」
「次は間違いなくサラんとこだな」
「多分ね。ウエディングドレス作るって言うんだと思うけど⋯⋯気が重いなあ。行くのやめよっかな」
「そう言いながら準備してるくせに」
「まあね、商品を傷つけられたら困るもん。大切な一点ものとか手に入れにくい布とかは見せたくないのよね」
元々古着屋からはじまったローゼン商会だけに、衣類関係は特に充実している。
身分や種族に合わせた服はそれぞれの文化に合う素材を使ったこだわりの品も多く、フロアの総面積は大型家具も取り扱う店よりも広い。
「来るとしたら本店の3階かあ」
「ギルバートへの恐怖を乗り越えて来れるのかしら」
「あれから一ヶ月経ってるから、『喉元過ぎれば暑さを忘れる』ってやつじゃないかな」
本人は気づいていないようだが、吃らなくなったタイラーは少しずつ会話に参加することが増えはじめていた。
「鶏の三足だな。三歩歩いたら忘れるってやつ」
「毎回サラは顔を見せてるのに未だに気付かねえとか超ウケるぜ。いつ気がつくんだろうかって、すっげえ楽しみ~」
サラ達に楽しく『ざまぁ』されている事に気付いていないイーサンとアリーシャは、ソファの端と端に離れて座り顔を背けていた。
「お前、俺の前で男に媚び売るとか信じらんねえんだけど?」
「アンタだってチラチラ見かける銀髪女を気にしてるじゃん」
「俺は高位貴族の嫡男だぞ!? 平民に落ちたお前に文句を言われる筋合いなんかないからな!」
「⋯⋯偉そうにしないでよね。卒業パーティーの時結婚するって言ったのに、約束守ってくれなかったからこんな事になったんじゃん」
「それは、ママが⋯⋯兎に角、不貞は許さないからな! でないと捨てて他の女を連れてくる」
「⋯⋯分かってるってばぁ、アタシが大好きなのはイーサンだって知ってるでしょ?」
これからイーサンが自由にできるはずの資産を思い浮かべたアリーシャはイーサンの横ににじり寄り上目遣いでうっすらと涙を浮かべた。
「捨てるなんて酷い⋯⋯例え話でも悲しくなっちゃう」
大きな胸を両手で寄せてイーサンの腕にしがみつくと目に見えて鼻の下を伸ばしてアリーシャをソファに押し倒してきた。
「可愛く甘えるなら今回は許してやる」
「イーサンもぉ、あんな女なんか気にしないでね」
「うん」
イーサンが下半身に思考を奪われ本能だけの獣になっていくのをアリーシャは冷ややかな目で見つめながら頭を働かせた。
(毎回イーサンが邪魔なのよね。次はアタシ一人で話を進めてくるわ)
500
あなたにおすすめの小説
[完結]思い出せませんので
シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」
父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。
同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。
直接会って訳を聞かねば
注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。
男性視点
四話完結済み。毎日、一話更新
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる