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13.真打登場
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「ウエディングドレスを作りにきたの。期間は5ヶ月あるから生地から選んで作るわ」
「5ヶ月ですとあまり凝った刺繍などは出来かねると思いますが、ご希望のスタイルなどございますでしょうか?」
今まで既成のドレスしか買ったことのないアリーシャはウエディングドレスを仕立てるのにそれほど時間がかかるとは思っておらず、商会員の言葉にムッとしたが『ここは一度譲歩してあげよう』と決めて話を続けた。
「デザイン画を見せてくれる?」
「畏まりました、こちらへどうぞ」
何着ものドレスがトルソーにかけられている部屋に入り、ソファに腰掛けてデザイン画をパラパラとめくっていく。
因みにこの部屋はアリーシャの為にサラが準備した安物だけが並べられた部屋。
「なんだか地味ね。もっと大胆なのはないの?」
「ではこちらなどいかがでしょうか?」
商会員が見せたのは胸元と背中が大きく開き足首が見えるフィッシュテールスタイルのデザイン画だった。
「おみ足に自信のある方なら⋯⋯」
「うん、これが良いわ。ドレスの上のこれはレース? なら、最高級のレースを使ってね」
「ボビンレースの事ですと、ホニトン・レースかリバーレースでしょう」
「ならそれにするわ、どっちの方が高級なのかしら」
アリーシャの狙いはあの雑貨屋で見かけたレースより高価な物。『たかが雑貨屋なんかに恥をかかされた』と思っているアリーシャだが、あの店のランプ一つとっても平民の2ヶ月分の平均月収以上の金額がする。
「今でしたらリバーレースの方が珍しいと思います」
「そうなの? じゃあそれにするわ」
「ではサイズを計らせていただく前に⋯⋯大変失礼になりますが、お名前などお聞かせ願えますでしょうか?」
「名前はサラ・モーガン。モーガン侯爵家の長女なの」
「ではお品物などのご連絡はモーガン侯爵家にお送りしてよろしいでしょうか?」
「ええ、それでよろしく」
簡単に話が進んだとほくそ笑んだアリーシャはサイズを測ってもらおうとしてソファから腰を浮かせた時、部屋の奥の扉が開いてサラが顔を覗かせた。
「アンタ、毎回なんなの?」
「お忙しい所恐れ入りますが、身分証明などお持ちでしょうか?」
「は?」
サラの言葉にアリーシャがポカンと口を開けた。
「左様でした。採寸の前にご本人確認やお支払いの手続きなどをさせていただかなくてはなりませんでしたのに、大変申し訳ございません」
頭を下げたのはデザイン画を持ってきたりレースの説明をしてくれたりしていた親切な商会員。
「カーラ、モーガン侯爵家とのお取引の履歴を調べてくれるかしら?」
「はい、直ぐに」
カーラが助手に声をかけると、小さく頷いた助手の一人が部屋を小走りで出て行った。
「ま、待って! なんでそんなことしなくちゃいけないの?」
指輪を買おうとした時と同じ話の流れになってきたアリーシャは慌てて身を乗り出した。
「モーガン侯爵家のビクトリア様のウエディングドレスは当方では仕立てさせていただいた記憶がございます」
「でしょ? なら問題ないじゃない。確か二回目からはツケで大丈夫だって」
「はい、その通りでございます。ビクトリア様であれば二回目のお仕立てとなりますから問題ございません」
「⋯⋯同じモーガン侯爵家の娘なのよ? 支払いとか問題ないでしょ?」
「はい、モーガン侯爵家令嬢だと確認できればなんの問題もございません」
穏やかな笑顔を浮かべたままのサラは青ざめていくアリーシャににっこりと微笑みかけた。
「サラ様だと仰られましたのですが私の記憶ではモーガン侯爵家の奥様とビクトリア様しかお取引をした覚えがなく⋯⋯お一人でのご来店でございますし⋯⋯」
高位貴族の令嬢は侍女や護衛もつけず街を歩くことはないが元低位貴族のアリーシャは気付けずにいた。
(イーサンがいればこんな女達なんて黙らせてくれた? でも、サラだって名乗っちゃったし⋯⋯なんとかしなくちゃ)
「一人だと問題があるなら婚約者のイーサンを連れてくるわ。それならいいんでしょう? イーサンはボクス公爵家の後継だもん」
「申し訳ありませんが、ボクス公爵家と当店はお取引がございません。
今回の場合ですと、最低でも前金で半額お納めいただかなくてはお話を進めることは致しかねます」
「⋯⋯そうだ! 私はここの商会員なの。だから身元はハッキリしてる。台帳みたいなのがあるんでしょう? 調べたらサラ・モーガンがほんとにいるって分かるから」
「では、どの部署にお勤めかお教え願えますか?」
「え?」
「5ヶ月ですとあまり凝った刺繍などは出来かねると思いますが、ご希望のスタイルなどございますでしょうか?」
今まで既成のドレスしか買ったことのないアリーシャはウエディングドレスを仕立てるのにそれほど時間がかかるとは思っておらず、商会員の言葉にムッとしたが『ここは一度譲歩してあげよう』と決めて話を続けた。
「デザイン画を見せてくれる?」
「畏まりました、こちらへどうぞ」
何着ものドレスがトルソーにかけられている部屋に入り、ソファに腰掛けてデザイン画をパラパラとめくっていく。
因みにこの部屋はアリーシャの為にサラが準備した安物だけが並べられた部屋。
「なんだか地味ね。もっと大胆なのはないの?」
「ではこちらなどいかがでしょうか?」
商会員が見せたのは胸元と背中が大きく開き足首が見えるフィッシュテールスタイルのデザイン画だった。
「おみ足に自信のある方なら⋯⋯」
「うん、これが良いわ。ドレスの上のこれはレース? なら、最高級のレースを使ってね」
「ボビンレースの事ですと、ホニトン・レースかリバーレースでしょう」
「ならそれにするわ、どっちの方が高級なのかしら」
アリーシャの狙いはあの雑貨屋で見かけたレースより高価な物。『たかが雑貨屋なんかに恥をかかされた』と思っているアリーシャだが、あの店のランプ一つとっても平民の2ヶ月分の平均月収以上の金額がする。
「今でしたらリバーレースの方が珍しいと思います」
「そうなの? じゃあそれにするわ」
「ではサイズを計らせていただく前に⋯⋯大変失礼になりますが、お名前などお聞かせ願えますでしょうか?」
「名前はサラ・モーガン。モーガン侯爵家の長女なの」
「ではお品物などのご連絡はモーガン侯爵家にお送りしてよろしいでしょうか?」
「ええ、それでよろしく」
簡単に話が進んだとほくそ笑んだアリーシャはサイズを測ってもらおうとしてソファから腰を浮かせた時、部屋の奥の扉が開いてサラが顔を覗かせた。
「アンタ、毎回なんなの?」
「お忙しい所恐れ入りますが、身分証明などお持ちでしょうか?」
「は?」
サラの言葉にアリーシャがポカンと口を開けた。
「左様でした。採寸の前にご本人確認やお支払いの手続きなどをさせていただかなくてはなりませんでしたのに、大変申し訳ございません」
頭を下げたのはデザイン画を持ってきたりレースの説明をしてくれたりしていた親切な商会員。
「カーラ、モーガン侯爵家とのお取引の履歴を調べてくれるかしら?」
「はい、直ぐに」
カーラが助手に声をかけると、小さく頷いた助手の一人が部屋を小走りで出て行った。
「ま、待って! なんでそんなことしなくちゃいけないの?」
指輪を買おうとした時と同じ話の流れになってきたアリーシャは慌てて身を乗り出した。
「モーガン侯爵家のビクトリア様のウエディングドレスは当方では仕立てさせていただいた記憶がございます」
「でしょ? なら問題ないじゃない。確か二回目からはツケで大丈夫だって」
「はい、その通りでございます。ビクトリア様であれば二回目のお仕立てとなりますから問題ございません」
「⋯⋯同じモーガン侯爵家の娘なのよ? 支払いとか問題ないでしょ?」
「はい、モーガン侯爵家令嬢だと確認できればなんの問題もございません」
穏やかな笑顔を浮かべたままのサラは青ざめていくアリーシャににっこりと微笑みかけた。
「サラ様だと仰られましたのですが私の記憶ではモーガン侯爵家の奥様とビクトリア様しかお取引をした覚えがなく⋯⋯お一人でのご来店でございますし⋯⋯」
高位貴族の令嬢は侍女や護衛もつけず街を歩くことはないが元低位貴族のアリーシャは気付けずにいた。
(イーサンがいればこんな女達なんて黙らせてくれた? でも、サラだって名乗っちゃったし⋯⋯なんとかしなくちゃ)
「一人だと問題があるなら婚約者のイーサンを連れてくるわ。それならいいんでしょう? イーサンはボクス公爵家の後継だもん」
「申し訳ありませんが、ボクス公爵家と当店はお取引がございません。
今回の場合ですと、最低でも前金で半額お納めいただかなくてはお話を進めることは致しかねます」
「⋯⋯そうだ! 私はここの商会員なの。だから身元はハッキリしてる。台帳みたいなのがあるんでしょう? 調べたらサラ・モーガンがほんとにいるって分かるから」
「では、どの部署にお勤めかお教え願えますか?」
「え?」
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