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14.一番怖いのは
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「では、どの部署にお勤めかお教え願えますか?」
「え?」
「大変申し訳ないのですが、商会員全員の顔と名前が一致していないだけだとは思いますが、お客様をお見かけしたことがありませんので⋯⋯所属や仕事内容をお聞かせくださいませ」
アリーシャは目の前の女性がサラかもしれないなど予想もしていないし、どんな仕事をしているのかも知らない。
「えーっと」
「もし⋯⋯サラ・モーガン様でないとしたら⋯⋯今のままでしたら『勝手に他人の名前を使った』だけですが、このままお話を進めた場合詐欺罪になると思われます。貴族でも重い罪ですし平民が高位貴族の名前を騙り金品を手に入れた場合極刑になるかも⋯⋯」
ノックの音が聞こえ助手が一人の女性を連れて帰ってきた。
「あの、サラ・モーガン様と同じ部署で働いている商会員を連れて⋯⋯」
「ぎゃあ! 違うから⋯⋯アタシはサラじゃないから! えーっと、そう。サラに頼まれたのよ。代わりにウエディングドレスを作ってきてくれって。
ほら、あの。サラって趣味が悪いって言うか鈍臭い⋯⋯年だしね⋯⋯だから、自信がないから選んできて欲しいって言われたのよ。は、はは⋯⋯だから支払いはモーガンだし、問題はないかなあって」
苦しい言い訳を捻り出したアリーシャは目を泳がせて逃げ道を探した。
「採寸するところだった筈ですが?」
「えーっと、採寸ね⋯⋯サラとアタシって体型が同じなの。だからアタシのサイズで作れば問題ないかなぁって」
「そうですか。ニーナ、ありがとう。仕事に戻って良さそうだわ。で、採寸はいかがされますか?」
「え、してくれんの?」
「はい、前金をお支払いいただくか支払い期日の記載された念書をいただけましたら可能でございます」
「ど、どうしようかなぁ」
慌てふためいていたアリーシャが小狡そうな顔になりニヤリと笑った。
「そうよね、ドレスを作りはじめなきゃ間に合わなくなるもん。サインするからサッサと準備してくれる?」
「おー、凄え! 流石サラだよな。証言だの証人だのを取り揃えた上に証拠まで。やっぱ一番怖えのはサラだぜ」
「しかし『サラでーす』なんてよく言えたわよね、図々しいったら」
以前一度でも取引があったなら決済の問題は丸め込める⋯⋯解消できると予想して乗り込んできたアリーシャだったが詐欺の証拠を残して帰る事になった。
「で、採寸したんだ」
「ええ、前金を支払ってもらったら作る予定。それ用の安い布とか中古のレースとか仕入れておかなきゃね」
「こ、この書類凄いですね。『サラ・モーガンの代理』とか注意書きがあります。こ、この一枚で詐欺罪が確定だ」
「へへっ、そこんとこは抜かりなく? どんな手口で来るのか楽しみにしてはいたけど、名前を騙られたのはちょっとねえ」
「正解だと思う。あの女はバカのくせに狡賢いとこもあるから、最後にはイーサンに丸投げして逃げそうだからな。
これがあればその手は使えない。
ようやく俺の番だな」
「なんかライリーってば、すご~く悪そうな顔になってる」
「今回成功したからすぐに来るかも」
タイラーの予想通り、イーサン達がライリーの店にやってきたのは僅か3日後のことだった。
「へえ、いいお店じゃん。高級感って言うの?」
「静かだし、もっとごちゃごちゃしてる倉庫みたいなとこかと思ってた」
「きゃ、このベッド最高!」
「こいつは凄くいい感じだな」
はしたなくベッドに転がったりソファに座ってテーブルに足を乗せたりと、好き放題にしているイーサン達のそばに和かなライリーがやってきた。
「お気に召していただけたようで恐縮でございます」
「わあ、超いい男~」
「おい、アリーシャ!」
「言っただけじゃん、アタシはイーサンが大好きなんだからね~。この、ヤキモチ焼きぃ」
「このソファの色違いはないのか?」
「どう言ったお色がよろしいでしょうか?」
「赤! ぜーったいに赤がいいわぁ。赤と金の家具で揃えたーい。それとぉ、天蓋付きのベッドってないのかなぁ?」
イーサンが別のソファを見ている間にライリーに近付いたアリーシャは上目遣いで見見ながらライリーの胸に手を置いた。
「天蓋付きのベッドってどう?」
「大人の魅力を感じさせる気が致します」
「ふふっ、試してみたくない?」
「少し遠いところになりますがここより品数を揃えた店がございます。そちらには金で縁取り赤い布を張ったソファも」
「え?」
「大変申し訳ないのですが、商会員全員の顔と名前が一致していないだけだとは思いますが、お客様をお見かけしたことがありませんので⋯⋯所属や仕事内容をお聞かせくださいませ」
アリーシャは目の前の女性がサラかもしれないなど予想もしていないし、どんな仕事をしているのかも知らない。
「えーっと」
「もし⋯⋯サラ・モーガン様でないとしたら⋯⋯今のままでしたら『勝手に他人の名前を使った』だけですが、このままお話を進めた場合詐欺罪になると思われます。貴族でも重い罪ですし平民が高位貴族の名前を騙り金品を手に入れた場合極刑になるかも⋯⋯」
ノックの音が聞こえ助手が一人の女性を連れて帰ってきた。
「あの、サラ・モーガン様と同じ部署で働いている商会員を連れて⋯⋯」
「ぎゃあ! 違うから⋯⋯アタシはサラじゃないから! えーっと、そう。サラに頼まれたのよ。代わりにウエディングドレスを作ってきてくれって。
ほら、あの。サラって趣味が悪いって言うか鈍臭い⋯⋯年だしね⋯⋯だから、自信がないから選んできて欲しいって言われたのよ。は、はは⋯⋯だから支払いはモーガンだし、問題はないかなあって」
苦しい言い訳を捻り出したアリーシャは目を泳がせて逃げ道を探した。
「採寸するところだった筈ですが?」
「えーっと、採寸ね⋯⋯サラとアタシって体型が同じなの。だからアタシのサイズで作れば問題ないかなぁって」
「そうですか。ニーナ、ありがとう。仕事に戻って良さそうだわ。で、採寸はいかがされますか?」
「え、してくれんの?」
「はい、前金をお支払いいただくか支払い期日の記載された念書をいただけましたら可能でございます」
「ど、どうしようかなぁ」
慌てふためいていたアリーシャが小狡そうな顔になりニヤリと笑った。
「そうよね、ドレスを作りはじめなきゃ間に合わなくなるもん。サインするからサッサと準備してくれる?」
「おー、凄え! 流石サラだよな。証言だの証人だのを取り揃えた上に証拠まで。やっぱ一番怖えのはサラだぜ」
「しかし『サラでーす』なんてよく言えたわよね、図々しいったら」
以前一度でも取引があったなら決済の問題は丸め込める⋯⋯解消できると予想して乗り込んできたアリーシャだったが詐欺の証拠を残して帰る事になった。
「で、採寸したんだ」
「ええ、前金を支払ってもらったら作る予定。それ用の安い布とか中古のレースとか仕入れておかなきゃね」
「こ、この書類凄いですね。『サラ・モーガンの代理』とか注意書きがあります。こ、この一枚で詐欺罪が確定だ」
「へへっ、そこんとこは抜かりなく? どんな手口で来るのか楽しみにしてはいたけど、名前を騙られたのはちょっとねえ」
「正解だと思う。あの女はバカのくせに狡賢いとこもあるから、最後にはイーサンに丸投げして逃げそうだからな。
これがあればその手は使えない。
ようやく俺の番だな」
「なんかライリーってば、すご~く悪そうな顔になってる」
「今回成功したからすぐに来るかも」
タイラーの予想通り、イーサン達がライリーの店にやってきたのは僅か3日後のことだった。
「へえ、いいお店じゃん。高級感って言うの?」
「静かだし、もっとごちゃごちゃしてる倉庫みたいなとこかと思ってた」
「きゃ、このベッド最高!」
「こいつは凄くいい感じだな」
はしたなくベッドに転がったりソファに座ってテーブルに足を乗せたりと、好き放題にしているイーサン達のそばに和かなライリーがやってきた。
「お気に召していただけたようで恐縮でございます」
「わあ、超いい男~」
「おい、アリーシャ!」
「言っただけじゃん、アタシはイーサンが大好きなんだからね~。この、ヤキモチ焼きぃ」
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「どう言ったお色がよろしいでしょうか?」
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