83 / 149
新しいパーティー
81.私はちょっと小柄なだけです
しおりを挟む
「なんだ? もう用はねえだろ?」
異変を感じた冒険者や職員がギルドからわらわらと出てきた。
「ああ、貴様にはない。俺が待ってたのはそいつだ」
団長がミリアをビシッと指さすと全員戦闘モードに入った。
ギルマスの結界、ウォーカーのバリバリ・・。
「申し訳ない。任務だったとは言え、あんたには悪いことをした」
ガバッと頭を下げた団長。
「こんなちびっこを追い回して、幼児虐待で訴えられ「あのー、私十八歳ですけど?」」
「へっ?」
一瞬の後、ギルド前は大爆笑の渦になった。
「ミリア、機嫌なおせよ」
全員で街で一番人気の食堂に入り料理を注文した後になっても、まだニヤニヤ笑いが止まらないウォーカー達で店はほぼ貸切状態になっている。
「兄さん笑い過ぎ! 何でみんな私の事を・・あっ、わかった。ギルマスのせいね!」
「へっ、何で俺?」
「ちびすけは今後禁止します! アレを聞いた人がみんな勘違いしてるんだわ」
「だって、ちびはチビだし・・嘘は言ってねえぞ」
「ギルマスが大き過ぎるだけ。私はちょっと小柄なだけです!」
しんと静まり返り全員がミリアから目を逸らす。
「ミリア、ほんとにちっちゃいじゃん」
「「「アータル!」」」
ディーが木の枝でポカポカとアータルを叩きながら、
「ミリアはち○ぱいなのを気にしてるんだから言わないであげるのー」
「・・ディー、私特定の部分に特化して話してないから」
「・・」
「おっ、料理が来たぜ。今日は祝いだ、ミリアも元気出せ」
「ありがとう、ガンツさん」
山盛りの料理と大量の飲み物が消費された。
ディエチミーラの冒険譚や今後・リンドの希望や目標・ガンツの夢と計画・・。
それぞれが過去から抱えているものには触れず、楽しい夜が更けていった。
ガンツ達は工房に帰り、ミリアとディエチミーラとリンド・カノンの七人とヴァン達は宿を取る事にした。
ギルマスはギルドの近くに借りている部屋に、ソフィアは家族が待つ家にそれぞれ帰って行った。
騎士団の無用な警戒がなくなった夜の街には明るい笑い声や話し声が溢れていた。
せかせかと家路を急ぐ人や店の中を覗きながら歩く人達も心なしか楽しげに見えて、ミリアは『本当に終わったんだ』と実感していた。
「緊張するなって言う方が無理だってわかってるんだけど、絶対に大丈夫だから」
ウォーカーの言葉にロビンが相槌を打った。
「俺達がいれば手出しなんてさせないから」
「ありがとうございます。頭では分かってるつもりなんですが」
カノンと手を繋いでいるリンドの肩に力が入っている。
「どんどん人混みに出ていれば直に慣れるでしょう」
宿は街の大通りの中程にある広場を抜け公園の前を過ぎた所にあった。
四つ並んだ部屋は階段を上った二階にあり、二部屋ずつが向かい合わせになっている。
ミリアの部屋は左奥でシングルベッドが二つとテーブル・椅子が二脚。シンプルだが風呂があるのが嬉しかった。
ケット・シーとヨルムガンドとアータルは自身の住処に帰り、残っているのはヴァンとディーだけ。
風呂を出て寝巻きに着替えベッドに入ろうとしていると、ノックの音がしてウォーカーの声が聞こえた。
ウォーカーも風呂を済ませてきたらしく少し髪が濡れている。
「兄さん、髪乾かさないと」
「う、あー大丈夫。すぐ乾くから」
ウォーカーは自身のことに関しては結構ズボラで整理整頓は大の苦手。
ウォーカーの部屋は嵐が過ぎ去った後のようだとミリアは思っているが、本人はどこに何があるのか全部覚えているから問題ないらしい。
(その割にはしょっちゅう物を探してるけどね)
料理の苦手なミリアと掃除洗濯の苦手なウォーカーはいいコンビだった。
「漸くゆっくりできるね」
「うん、皇帝のアレで何だかおかしな気分になっちゃった」
ミリアはお茶のセットを出して湯を沸かしはじめた。
「炎のコントロール上手になったね」
「うん、ワンドのお陰もあるしギルマスがずっとつきっきりで教えてくれたし」
「ルカか、医者と画家の守護聖人だよね」
「えっ、ああ。ギルマスは聖人とは程遠い感じだけどね」
ミリアは淹れたてのお茶をウォーカーの前に置きながらふふっと笑った。
「アスカリオル帝国からの依頼を受けたことはあるけど皇帝には初めて会ったから吃驚したよ」
「宰相がいなくなったら大変だね。近衛騎士団長も団員もだし」
「膿が出せたってことで良いんじゃないかな?」
「だね」
「あー、ミリアに会ったら話したい事が一杯あったはずなのになぁ」
「いいじゃん、これからはいつでも会えるし」
「だな。・・ほんとに薬草採取するの?」
「うん、私は薬師だし。カノンちゃんを守れるようにってリンドは急いで強くなりたいんだと思うの。
昔の兄さんみたいだよね」
「俺もあんな風に見えてたのかな?」
ウォーカーが眉間に皺を寄せている。
「多分ね、兄さん凄く過保護だったもん」
「ミリアは俺達と一緒には行動しないって事?」
「うん。カノンちゃん次第だけどディエチミーラの活動にカノンちゃんを連れ回すのは危険すぎるでしょ?」
「だが、ミリア一人でカノンを守れるのか? ハーフエルフはエルフより高く売れるんだぞ」
「知ってる。ソフィアさんとテスタロッサさんに教えてもらったの」
「ヴァンとディーはこれからどうするのかな?」
「あたしはミリアと一緒にいるよー。カノンの事も守るし」
「ヴァンは?」
『我はミリアと共に行く』
「そっか、ヴァンとディーがいてくれるなら大丈夫だね」
「最強の二人だもん」
「明日の朝話そうと思ってたんだけど」
ウォーカーが真剣な顔をして話しはじめた。
異変を感じた冒険者や職員がギルドからわらわらと出てきた。
「ああ、貴様にはない。俺が待ってたのはそいつだ」
団長がミリアをビシッと指さすと全員戦闘モードに入った。
ギルマスの結界、ウォーカーのバリバリ・・。
「申し訳ない。任務だったとは言え、あんたには悪いことをした」
ガバッと頭を下げた団長。
「こんなちびっこを追い回して、幼児虐待で訴えられ「あのー、私十八歳ですけど?」」
「へっ?」
一瞬の後、ギルド前は大爆笑の渦になった。
「ミリア、機嫌なおせよ」
全員で街で一番人気の食堂に入り料理を注文した後になっても、まだニヤニヤ笑いが止まらないウォーカー達で店はほぼ貸切状態になっている。
「兄さん笑い過ぎ! 何でみんな私の事を・・あっ、わかった。ギルマスのせいね!」
「へっ、何で俺?」
「ちびすけは今後禁止します! アレを聞いた人がみんな勘違いしてるんだわ」
「だって、ちびはチビだし・・嘘は言ってねえぞ」
「ギルマスが大き過ぎるだけ。私はちょっと小柄なだけです!」
しんと静まり返り全員がミリアから目を逸らす。
「ミリア、ほんとにちっちゃいじゃん」
「「「アータル!」」」
ディーが木の枝でポカポカとアータルを叩きながら、
「ミリアはち○ぱいなのを気にしてるんだから言わないであげるのー」
「・・ディー、私特定の部分に特化して話してないから」
「・・」
「おっ、料理が来たぜ。今日は祝いだ、ミリアも元気出せ」
「ありがとう、ガンツさん」
山盛りの料理と大量の飲み物が消費された。
ディエチミーラの冒険譚や今後・リンドの希望や目標・ガンツの夢と計画・・。
それぞれが過去から抱えているものには触れず、楽しい夜が更けていった。
ガンツ達は工房に帰り、ミリアとディエチミーラとリンド・カノンの七人とヴァン達は宿を取る事にした。
ギルマスはギルドの近くに借りている部屋に、ソフィアは家族が待つ家にそれぞれ帰って行った。
騎士団の無用な警戒がなくなった夜の街には明るい笑い声や話し声が溢れていた。
せかせかと家路を急ぐ人や店の中を覗きながら歩く人達も心なしか楽しげに見えて、ミリアは『本当に終わったんだ』と実感していた。
「緊張するなって言う方が無理だってわかってるんだけど、絶対に大丈夫だから」
ウォーカーの言葉にロビンが相槌を打った。
「俺達がいれば手出しなんてさせないから」
「ありがとうございます。頭では分かってるつもりなんですが」
カノンと手を繋いでいるリンドの肩に力が入っている。
「どんどん人混みに出ていれば直に慣れるでしょう」
宿は街の大通りの中程にある広場を抜け公園の前を過ぎた所にあった。
四つ並んだ部屋は階段を上った二階にあり、二部屋ずつが向かい合わせになっている。
ミリアの部屋は左奥でシングルベッドが二つとテーブル・椅子が二脚。シンプルだが風呂があるのが嬉しかった。
ケット・シーとヨルムガンドとアータルは自身の住処に帰り、残っているのはヴァンとディーだけ。
風呂を出て寝巻きに着替えベッドに入ろうとしていると、ノックの音がしてウォーカーの声が聞こえた。
ウォーカーも風呂を済ませてきたらしく少し髪が濡れている。
「兄さん、髪乾かさないと」
「う、あー大丈夫。すぐ乾くから」
ウォーカーは自身のことに関しては結構ズボラで整理整頓は大の苦手。
ウォーカーの部屋は嵐が過ぎ去った後のようだとミリアは思っているが、本人はどこに何があるのか全部覚えているから問題ないらしい。
(その割にはしょっちゅう物を探してるけどね)
料理の苦手なミリアと掃除洗濯の苦手なウォーカーはいいコンビだった。
「漸くゆっくりできるね」
「うん、皇帝のアレで何だかおかしな気分になっちゃった」
ミリアはお茶のセットを出して湯を沸かしはじめた。
「炎のコントロール上手になったね」
「うん、ワンドのお陰もあるしギルマスがずっとつきっきりで教えてくれたし」
「ルカか、医者と画家の守護聖人だよね」
「えっ、ああ。ギルマスは聖人とは程遠い感じだけどね」
ミリアは淹れたてのお茶をウォーカーの前に置きながらふふっと笑った。
「アスカリオル帝国からの依頼を受けたことはあるけど皇帝には初めて会ったから吃驚したよ」
「宰相がいなくなったら大変だね。近衛騎士団長も団員もだし」
「膿が出せたってことで良いんじゃないかな?」
「だね」
「あー、ミリアに会ったら話したい事が一杯あったはずなのになぁ」
「いいじゃん、これからはいつでも会えるし」
「だな。・・ほんとに薬草採取するの?」
「うん、私は薬師だし。カノンちゃんを守れるようにってリンドは急いで強くなりたいんだと思うの。
昔の兄さんみたいだよね」
「俺もあんな風に見えてたのかな?」
ウォーカーが眉間に皺を寄せている。
「多分ね、兄さん凄く過保護だったもん」
「ミリアは俺達と一緒には行動しないって事?」
「うん。カノンちゃん次第だけどディエチミーラの活動にカノンちゃんを連れ回すのは危険すぎるでしょ?」
「だが、ミリア一人でカノンを守れるのか? ハーフエルフはエルフより高く売れるんだぞ」
「知ってる。ソフィアさんとテスタロッサさんに教えてもらったの」
「ヴァンとディーはこれからどうするのかな?」
「あたしはミリアと一緒にいるよー。カノンの事も守るし」
「ヴァンは?」
『我はミリアと共に行く』
「そっか、ヴァンとディーがいてくれるなら大丈夫だね」
「最強の二人だもん」
「明日の朝話そうと思ってたんだけど」
ウォーカーが真剣な顔をして話しはじめた。
6
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?
中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。
殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。
入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。
そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが……
※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です
※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
弟が悪役令嬢に怪我をさせられたのに、こっちが罰金を払うだなんて、そんなおかしな話があるの? このまま泣き寝入りなんてしないから……!
冬吹せいら
恋愛
キリア・モルバレスが、令嬢のセレノー・ブレッザに、顔面をナイフで切り付けられ、傷を負った。
しかし、セレノーは謝るどころか、自分も怪我をしたので、モルバレス家に罰金を科すと言い始める。
話を聞いた、キリアの姉のスズカは、この件を、親友のネイトルに相談した。
スズカとネイトルは、お互いの身分を知らず、会話する仲だったが、この件を聞いたネイトルが、ついに自分の身分を明かすことに。
そこから、話しは急展開を迎える……。
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる