✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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新しい地、カリーニン

94.恥ずかしすぎて無理

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「薬とかを何種類か。マモンに買って貰う物が何もないと取り次いでもらえないと思って」

「おー、ちびすけ意外に頭いいじゃねえか」

「意外は余計、後ちびすけ禁止!」

 ミリアはビシッとルカを指を刺したが薄ら笑いを浮かべたルカが、

「分かった! なら今日からお前は《ちび》だ。なんか犬みたいで悪いかなーと思ったんだけどよー。本人の希望じゃしょうがねえな」

「ミ・リ・ア!」

 腕を組んでプンプンしながら歩くミリアとゲラゲラ笑うルカの二人には、これからマモンと対峙する緊迫感は微塵も感じられなかった。


「ミリ・・ミリ・・ちび」

(恥ずかしすぎて無理、ちびで良いにしようぜ)

「ミリって、ちびよりちっちゃくなってるし」


 関所の長い行列に並んだ時にもミリアとルカはくだらないやり取りを楽しんでいた。



 関所の役人がテキパキと仕事を進めてくれたおかげでミリア達は思ったよりも早く順番がやって来た。


「Aランク冒険者とCランク冒険者ね、通って良いよ」

(ん? Cランク)


 関所から少し離れた場所でルカがミリアの前に仁王立ちした。

「ちび、てめえギルドカード返さずネコババしやがったな」

「えー、してません。これは返し忘れただけです」

「ならなんで使ってんだよ」

「だってSランクなんて言ったら長くなりそうですし、目立ちたくないし。
有効活用って言うんですよ、知りませんでした? 元ギルマス」


「かー、ったく口の減らねえちびすけだぜ。しかも緊張感のかけらもねえ」

「当然じゃないですか、だって・・」

(二人きりって初めてで、なんか喋ってないと心臓バクバクです)

「ん? だってなんだよ」


「別に。屋敷行ってみます?」

「おう、さっさと片付けて飯でも食うか」

「ギルマス、いつもそればっかり」

 ふふっと笑いながら、パーティーって良いなと幸せを感じていた。



 街の東方向に向かって歩いていると道の向こうに大きな屋敷が見えて来た。

「なあ、なんか臭くね?」

「ここは男爵の屋敷の丁度風下だから」

「そう言うことか。使用人は全部アレなんだろ? どーりで昔懐かしい臭いだぜ」

「?」

「初級冒険者といやあゴブリン退治だろ?」

「あ」

「てめえ、ズルしやがったな! ゴブリンはな臭くてズルくてしかも安い。依頼料がめちゃくそ安いんだ。あれじゃ飯も食えねえ。
ちびすけの初討伐はなんだ?」

 眉間に皺を寄せたルカがズンズンとミリアに迫ってくる。


「えーっと、依頼?」

 少しずつ後ろに下がりながらあちこちと目を泳がせるミリア。


「両方だ、吐け」

「初めての討伐はオーク・・ジェネラル」

「ほー、んで?」

「初めて倒したのは良く分からないと言うか」

 ルカがミリアを壁際に追い詰め見下ろした。ミリアはルカの胸の辺りを見つめて冷や汗をかいていた。

(近い、近いって)


「なんでだ?」

「いやー、ちっちゃすぎて」

「ちっちゃい? スライムか?」

「三歳だったんで覚えてないです」

 テヘッと笑って誤魔化したミリアだったが、腕を組んで首を傾けたルカが更に追加で聞いて来た。

「三歳児がどーやって倒した?」

「バスって火の玉が出て、黒焦げみたいな? ちょっとパニックだったんでマルコげにしちゃったから何だったかなーって」


「・・行こう、ここは臭くてかなわん」

 ルカは現実逃避することに決めた。



 男爵の屋敷の前まで行ってみると門の前は品物を売りたい人で溢れかえっていた。
 屋敷の商人らしき男が品名を聞いては二つの列に分けていた。

「あれ、何してるんですかね?」

「品物によって分けてるみてえだな。右は高額か珍しい物か、左はそれ以外だ」


「じゃあもっと人が減ったら右に並べることを祈って行きましょう」

「だな、ちびすけが持ってきたもんだ。どうせ珍しいもんだろうよ」

「とっても普通です。なんでそう思うんですか?」

「お前の中には普通とか常識とかはねえからな」



 一旦その場所を離れ街を散策することにしたが、道を歩く人のせかせかイライラした様子にミリア達は気分が萎えてきた。

「大聖堂覗いてみるか?」

「そうですね。その方が良さそう」


 大聖堂は門が閉ざされ建物には足場が組まれていた。

「なんか思った以上に大掛かりな事やってんな」

「ですね、中に入れなくて残念です」



 他に行くところを思いつかなかった二人は、中央広場のベンチに腰掛け時間をつぶすことに。

「アイテムバックは便利だよな」

 アイテムバックから出したおやつを食べながら辺りを見回した。

「鳥が全然いねえ」

「餌ですから」

「捕まえて売ってるとか」

「可能性ありますね、新鮮だと高そうです」



 夕方近くに屋敷へ行ってみると殆ど人がいなくなっていた。

「すみません、ここでいろんな物を買ってくれると聞いて来たんですか?」


「物は何?」

 無愛想な男が聞いてきた。

「ちょっと珍しいお茶やオイルです」

 右に並ぶように言われ順番を待っていると広間に入るよう指示された。

 目の前には痩せた小柄な男が古びた椅子に座っていた。やや面長な顔で落ち着きのないギョロ目、手足が妙に長く掌が異常に大きかった。
 その男とミリアの間には大きなテーブルが置かれている。


「何を持ってきたのかね?」

 男の卑屈な声は背筋を虫が這うような不気味で不快なダミ声だった。


「グリード男爵様でいらっしゃいます?」

 男がやや目を眇めてミリアに頷いた。



 ミリアが肩にかけていた鞄から厳重に梱包された両手くらいの大きさの包みを取り出しテーブルの上に乗せた。
 その包みを縛っていた紐を外すと小分けにされた包みが幾つも入っており、ミリアは端からどんどんその包みを開いていった。


 広間の中にやや苦味のある爽やかな香りが広がりはじめると男爵の顔が凍りついた。

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