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アルスター侯爵家
100.弱くて強い
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「連絡事項って何処から?」
「ギルド本部からだ。Sランクおめでとう、マモン退治でランクアップだ」
「はあ、あれはな色々イカサマしてたんだよ。じゃなきゃ悪魔相手に俺の結界が通用するとか有り得ねえだろ」
ルカが酒飲みチームに弄られている頃、ミリアはみんなで車座になってお菓子パーティを開いていた。
「山が吹っ飛んだんだろ? 俺様も見たかったなー」
ケット・シーが「ドガーン」と言いながら両手を上げた。
「悪魔がミリアにタジタジだったんだって? デーウの次はマモンか。次は俺も連れてってー、ミスラには適当に言っとくからさあ」
「次はない・・はずだよ。流石に」
あっちゃ困ると思いながら苦笑いのミリアはチラッとウォーカーを見た。
「ミリアちゃんは引き寄せる何かを持ってるのかしら。ルカをガンガン働かせてね」
「もう、十分助けてもらってますし」
「次こそのんびりしたいなぁ、ディー温泉っていうのに行ってみたいんだ。
あったかいお湯と湯気がホワホワ~」
「あっ、それ私も行ってみたい。兄ちゃんは?」
「そうだね、いつか行ってみたいかな?」
「アルフヘイムにはないの?」
ミリアが興味津々で聞き、みんなが目をキラキラさせてリンドを見つめている。
「うん、ないと思う」
「そっか、エルフってみんな美形だから絵になると思ったんだけどな」
大人のソフィアはみんなと違う妄想が膨らんでいたらしい。
ずるをしていたと大声で喚くルカに全員の注目が集まった。
「そう、ミリアから借りたペンダントで威力マシマシにしてエリクサー飲み続けて・・あっ」
「気にするな、本部にもテスタロッサにも言ってないがミリアがたっぷりエリクサー持ってるのは予想がついてた」
セオドラが得意げに笑った。
「威力マシマシの何が問題なんだい?」
ウォーカーが冷ややかな目でルカを睨みつけた。
「それがずるだって言うならディエチミーラもミリアもズルをしてるし、錬金術師を馬鹿にしてる事にもなる」
ウォーカーからバリバリといつもの放電がはじまった。
「確かにそうだな。ルカの理屈が正しいとしたら武器を使ったりスキルを使った者はみんなズルしてる事になる」
セオドラがしたり顔で頷いた横でウリエルも頷いていた。
「私が錬金術を人間界に広めたのだが、私は詐欺師という事になるな。
より強くより豊かになる為の錬金術だからね」
「いや、あの。そう言うつもりじゃあねえんだけど、なんか納得いかねえなあと」
「いいじゃない、貰えるもんは貰っときゃ。アンタって変なとこで律儀なんだねえ。
どうせミリアと一緒にいりゃこの先まだまだ派手な事件に巻き込まれるんだからさ」
カラカラと笑うヘルが危険な予言を言い、ミリアとルカとウォーカーの三人が青褪めた。
「いえ、薬師なんでもう穏やかな暮らしがしたいと」
ミリアの言葉に意外なところから声がかかった。
「それはあり得ねえ、ミリアがこれからもやらかしまくるのは俺様にだってわかる!」
ケット・シーの堂々とした宣言にうんうんと一斉に頷かれ、いつもよりますます小さくなったミリアだった。
「そう言えば町の人って戻ってきたの?」
カリーニンの話をディーから聞いている最中だったアータルが聞いてきた。
「ええ、ターニャのお母さんが一番に戻ってきたわ」
捕らえられていたのは殆どがエリッソンとカリーニンの住人だった。
早い段階でグリード男爵の話を知り物を売った彼等は、手に入れた金や宝石が塵に変わり男爵邸に抗議に行った者達だった。
檻に入れられた後は僅かばかりの食事が定期的に運ばれてくるだけの毎日だった。
「この中に何が願いのある者はあるか?」
ある日食事を運んできた男が聞いてきた。勿論全員が口々に叫んだ。
「ここから出せ!」
「うちに帰りたい」
「金を返せ、あのゴミを金に戻せ」
毎日一人か二人、多い時には五人位が連れて行かれた。
残った者達は「次は俺だ」「いいえ私よ」と言い合っていたが、ふと助けが来ない事に気付いた者がいた。
「おかしくないか? 何で誰も助けに戻ってこないんだ?」
不審感と不安で疑心暗鬼になっていた頃ターニャの母親が連れてこられた。
男爵邸を探っていて捕まったと言い、男爵邸に抗議に行って帰ってきた者は一人も見ていないとも言った。
願いを言わないと全員で決めたものの、長い監禁生活に追い込まれ誘惑に駆られる者が出ることもあった。
ターニャの父親も同じように男爵邸を探っていて捕まったと言う。
ミリア達が鍵を壊した後も外に出る勇気が出なかったが、セリーナが手を挙げた。
「私が行ってみる。もし三日経っても帰って来なかったら罠だし、罠じゃなかったら人を連れて戻って来る」
エリッソンの街を早足で駆け抜けカリーニンに帰ってきたセリーナはみんなから話を聞き倉庫に戻って行った。
その時解放された者達は皆自宅でコツコツと仕事をしており、教会には行っていない。
「教会は酷えけどあんな儲け話に浮かれた自分にも非はあるしな。先ずは真面目に働くよ」
町民が減ったカリーニンは未だ閑散としており、生活していく為の物も仕事をしていく為の物もなくしてしまった人ばかりだった。
幸いな事に山に小動物達が戻ってきた。
男達は狩りで獲物を仕留め、女達はせっせと種を蒔き買ってきた僅かばかりの麦でパンを焼いた。少しずつだが昔の平穏を取り戻す為に協力しあって働いていた。
「そっかー、人間は弱くて強い・・だよね」
ルカがソフィアから受け取った手紙をポケットから出して開封した。
そこには、
『兄様、助けて』
「ギルド本部からだ。Sランクおめでとう、マモン退治でランクアップだ」
「はあ、あれはな色々イカサマしてたんだよ。じゃなきゃ悪魔相手に俺の結界が通用するとか有り得ねえだろ」
ルカが酒飲みチームに弄られている頃、ミリアはみんなで車座になってお菓子パーティを開いていた。
「山が吹っ飛んだんだろ? 俺様も見たかったなー」
ケット・シーが「ドガーン」と言いながら両手を上げた。
「悪魔がミリアにタジタジだったんだって? デーウの次はマモンか。次は俺も連れてってー、ミスラには適当に言っとくからさあ」
「次はない・・はずだよ。流石に」
あっちゃ困ると思いながら苦笑いのミリアはチラッとウォーカーを見た。
「ミリアちゃんは引き寄せる何かを持ってるのかしら。ルカをガンガン働かせてね」
「もう、十分助けてもらってますし」
「次こそのんびりしたいなぁ、ディー温泉っていうのに行ってみたいんだ。
あったかいお湯と湯気がホワホワ~」
「あっ、それ私も行ってみたい。兄ちゃんは?」
「そうだね、いつか行ってみたいかな?」
「アルフヘイムにはないの?」
ミリアが興味津々で聞き、みんなが目をキラキラさせてリンドを見つめている。
「うん、ないと思う」
「そっか、エルフってみんな美形だから絵になると思ったんだけどな」
大人のソフィアはみんなと違う妄想が膨らんでいたらしい。
ずるをしていたと大声で喚くルカに全員の注目が集まった。
「そう、ミリアから借りたペンダントで威力マシマシにしてエリクサー飲み続けて・・あっ」
「気にするな、本部にもテスタロッサにも言ってないがミリアがたっぷりエリクサー持ってるのは予想がついてた」
セオドラが得意げに笑った。
「威力マシマシの何が問題なんだい?」
ウォーカーが冷ややかな目でルカを睨みつけた。
「それがずるだって言うならディエチミーラもミリアもズルをしてるし、錬金術師を馬鹿にしてる事にもなる」
ウォーカーからバリバリといつもの放電がはじまった。
「確かにそうだな。ルカの理屈が正しいとしたら武器を使ったりスキルを使った者はみんなズルしてる事になる」
セオドラがしたり顔で頷いた横でウリエルも頷いていた。
「私が錬金術を人間界に広めたのだが、私は詐欺師という事になるな。
より強くより豊かになる為の錬金術だからね」
「いや、あの。そう言うつもりじゃあねえんだけど、なんか納得いかねえなあと」
「いいじゃない、貰えるもんは貰っときゃ。アンタって変なとこで律儀なんだねえ。
どうせミリアと一緒にいりゃこの先まだまだ派手な事件に巻き込まれるんだからさ」
カラカラと笑うヘルが危険な予言を言い、ミリアとルカとウォーカーの三人が青褪めた。
「いえ、薬師なんでもう穏やかな暮らしがしたいと」
ミリアの言葉に意外なところから声がかかった。
「それはあり得ねえ、ミリアがこれからもやらかしまくるのは俺様にだってわかる!」
ケット・シーの堂々とした宣言にうんうんと一斉に頷かれ、いつもよりますます小さくなったミリアだった。
「そう言えば町の人って戻ってきたの?」
カリーニンの話をディーから聞いている最中だったアータルが聞いてきた。
「ええ、ターニャのお母さんが一番に戻ってきたわ」
捕らえられていたのは殆どがエリッソンとカリーニンの住人だった。
早い段階でグリード男爵の話を知り物を売った彼等は、手に入れた金や宝石が塵に変わり男爵邸に抗議に行った者達だった。
檻に入れられた後は僅かばかりの食事が定期的に運ばれてくるだけの毎日だった。
「この中に何が願いのある者はあるか?」
ある日食事を運んできた男が聞いてきた。勿論全員が口々に叫んだ。
「ここから出せ!」
「うちに帰りたい」
「金を返せ、あのゴミを金に戻せ」
毎日一人か二人、多い時には五人位が連れて行かれた。
残った者達は「次は俺だ」「いいえ私よ」と言い合っていたが、ふと助けが来ない事に気付いた者がいた。
「おかしくないか? 何で誰も助けに戻ってこないんだ?」
不審感と不安で疑心暗鬼になっていた頃ターニャの母親が連れてこられた。
男爵邸を探っていて捕まったと言い、男爵邸に抗議に行って帰ってきた者は一人も見ていないとも言った。
願いを言わないと全員で決めたものの、長い監禁生活に追い込まれ誘惑に駆られる者が出ることもあった。
ターニャの父親も同じように男爵邸を探っていて捕まったと言う。
ミリア達が鍵を壊した後も外に出る勇気が出なかったが、セリーナが手を挙げた。
「私が行ってみる。もし三日経っても帰って来なかったら罠だし、罠じゃなかったら人を連れて戻って来る」
エリッソンの街を早足で駆け抜けカリーニンに帰ってきたセリーナはみんなから話を聞き倉庫に戻って行った。
その時解放された者達は皆自宅でコツコツと仕事をしており、教会には行っていない。
「教会は酷えけどあんな儲け話に浮かれた自分にも非はあるしな。先ずは真面目に働くよ」
町民が減ったカリーニンは未だ閑散としており、生活していく為の物も仕事をしていく為の物もなくしてしまった人ばかりだった。
幸いな事に山に小動物達が戻ってきた。
男達は狩りで獲物を仕留め、女達はせっせと種を蒔き買ってきた僅かばかりの麦でパンを焼いた。少しずつだが昔の平穏を取り戻す為に協力しあって働いていた。
「そっかー、人間は弱くて強い・・だよね」
ルカがソフィアから受け取った手紙をポケットから出して開封した。
そこには、
『兄様、助けて』
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