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【後日譚】幸せ貞操危機生活 〜ちゃすてぃてぃくらいしす・らいふ!〜
Days4「乳首開発の話です」
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この平穏な生活を始めてから、もうすぐ一年が経つ。
オレは“喪われた十八年間“――《一周目》の記憶のほとんどを夢の中で取り戻した。
今日は、最難関だった死の間際の記憶をついに取り戻したわけですが……うん。
◇
「結構精神的にくる……」
「グレンくんに直接言いなよ」
スピカの腹に顔を埋めながらぼやくと、至極真っ当なことを言われた。
そうだね、グレンくん隣に座ってるもんね。
……てか、オレこの一年……このソファーとベッドで大半の時間過ごしてるな。怠惰~。
「だってほら……グレンもオレの、その……ね? 地雷でしょ??」
「地雷ですけど……いいですよ、吐き出してもらって」
そんな覚悟決めた顔されると言いづらいよ。
「いや……うん。終わったことだし……でもちょっと抱きしめてもらっていいですか……」
イケメン彼氏に抱きしめてもらいつつ、猫を撫でるアニマルセラピーで心を癒やす。
実情は魔王と次期魔王に囲まれてる形だから癒やし要素ゼロだけど。
◇◇◇
その夜――。
グレンよりもひと足先にベッドに潜り込むと、頭の中でスピカに話しかけた。
……スピカさん。
――なぁに?
オレ、多分これで全部記憶戻ったんだよね。
――うん。おめでとう……で、いいのかな?
まあ、多分。それでさ……オレの身体って、グレンに抱かれる前まで処女だったよな??!!
そう――。
“《一周目》のオレ非処女説“。これが怖くて記憶を取り戻すのをしぶっていた側面も結構あったのだ。
一番あやしかったクラウスとも、ベネトナッシュ公爵ともなにもなかったし、その他ともなにもなかった。
グレンともキスすらしてなくてびっくりした。
――そうだよ。童貞処女。蓮くんと同じ。
童貞は言わなくていい。でさぁ……本題なんだけど、オレの乳首ってなんなの??
沈黙が流れた。
スピカ……??
――いや、ごめん。哲学?? って思って……。
こっちこそごめん。説明不足だった……いやさ、乳首は……開発してないと、感じないはずじゃんか。
――うん。
でも、この身体は初めてのときから乳首で感じた……。
――はい。
スピカ……オレの身体になんかした??
――してないよ。単に君の身体が天性の受けの素質を持っていただけ。
「なんだその素質……!! 欲しくねぇ~……」
思わず声に出してしまった。
何やら書類仕事――ロニーの仕事を手伝っているらしい――をしていたグレンがこっちを見る。
「ベル、またスピカと話してるんですか」
「あー……うん。ごめんうるさかった?」
「もう終わるので大丈夫ですよ。……なんの話をしてたんですか」
魔法でパジャマに着替えたグレンがベッドに入ってくる。
「えっと……」
乳首開発の話です。――うん、言えないな。
「…………グレン、触って」
口頭で言うよりも触らせながらの方が流れで言える気がする!!
そう思って袖を引いて、グレンの手を胸元に導いた――ら、なんか怖い顔された。
…………あー……あ~~!!
オレはまた鈍感系ヒロイン……いや、誘い受けをしてしまった……!!!
「違う、いや違わないけど!!」
「……なんですか」
グレンくんはずっとキレ気味だけどオレはもう学習した。
これは怒ってるんじゃなくて限界オタク特有の“は? 可愛すぎるんだが!?“なので問題ありません。
いや、あるけど。
「その……ね? 前に、乳首触るのしばらくやめるって話……したじゃんか。でもその……スピカが言うには、オレの乳首は先天的に開発済みなだけでお前のせいで敏感になったわけじゃないらしいから! だから!! もう触っても大丈夫です!!!」
よーし。言えた……!! 言えたぞ~!!
達成感に浸っていると、グレンが大きくため息をついた。
「グレン……?」
「俺……その、記憶のことで深刻な話してたのかなって……思ってたんですよ」
ああ……まあ昼間の会話的にそう思うよね。
「ごめん、ぜんぜん関係ないです」
「よかったです……あ、別に貴方の乳首がどうでもいいとは思ってませんからね??」
いや、死の間際の記憶に比べたらどうでもいいよ。そんなフォローいらないです。
オレは“喪われた十八年間“――《一周目》の記憶のほとんどを夢の中で取り戻した。
今日は、最難関だった死の間際の記憶をついに取り戻したわけですが……うん。
◇
「結構精神的にくる……」
「グレンくんに直接言いなよ」
スピカの腹に顔を埋めながらぼやくと、至極真っ当なことを言われた。
そうだね、グレンくん隣に座ってるもんね。
……てか、オレこの一年……このソファーとベッドで大半の時間過ごしてるな。怠惰~。
「だってほら……グレンもオレの、その……ね? 地雷でしょ??」
「地雷ですけど……いいですよ、吐き出してもらって」
そんな覚悟決めた顔されると言いづらいよ。
「いや……うん。終わったことだし……でもちょっと抱きしめてもらっていいですか……」
イケメン彼氏に抱きしめてもらいつつ、猫を撫でるアニマルセラピーで心を癒やす。
実情は魔王と次期魔王に囲まれてる形だから癒やし要素ゼロだけど。
◇◇◇
その夜――。
グレンよりもひと足先にベッドに潜り込むと、頭の中でスピカに話しかけた。
……スピカさん。
――なぁに?
オレ、多分これで全部記憶戻ったんだよね。
――うん。おめでとう……で、いいのかな?
まあ、多分。それでさ……オレの身体って、グレンに抱かれる前まで処女だったよな??!!
そう――。
“《一周目》のオレ非処女説“。これが怖くて記憶を取り戻すのをしぶっていた側面も結構あったのだ。
一番あやしかったクラウスとも、ベネトナッシュ公爵ともなにもなかったし、その他ともなにもなかった。
グレンともキスすらしてなくてびっくりした。
――そうだよ。童貞処女。蓮くんと同じ。
童貞は言わなくていい。でさぁ……本題なんだけど、オレの乳首ってなんなの??
沈黙が流れた。
スピカ……??
――いや、ごめん。哲学?? って思って……。
こっちこそごめん。説明不足だった……いやさ、乳首は……開発してないと、感じないはずじゃんか。
――うん。
でも、この身体は初めてのときから乳首で感じた……。
――はい。
スピカ……オレの身体になんかした??
――してないよ。単に君の身体が天性の受けの素質を持っていただけ。
「なんだその素質……!! 欲しくねぇ~……」
思わず声に出してしまった。
何やら書類仕事――ロニーの仕事を手伝っているらしい――をしていたグレンがこっちを見る。
「ベル、またスピカと話してるんですか」
「あー……うん。ごめんうるさかった?」
「もう終わるので大丈夫ですよ。……なんの話をしてたんですか」
魔法でパジャマに着替えたグレンがベッドに入ってくる。
「えっと……」
乳首開発の話です。――うん、言えないな。
「…………グレン、触って」
口頭で言うよりも触らせながらの方が流れで言える気がする!!
そう思って袖を引いて、グレンの手を胸元に導いた――ら、なんか怖い顔された。
…………あー……あ~~!!
オレはまた鈍感系ヒロイン……いや、誘い受けをしてしまった……!!!
「違う、いや違わないけど!!」
「……なんですか」
グレンくんはずっとキレ気味だけどオレはもう学習した。
これは怒ってるんじゃなくて限界オタク特有の“は? 可愛すぎるんだが!?“なので問題ありません。
いや、あるけど。
「その……ね? 前に、乳首触るのしばらくやめるって話……したじゃんか。でもその……スピカが言うには、オレの乳首は先天的に開発済みなだけでお前のせいで敏感になったわけじゃないらしいから! だから!! もう触っても大丈夫です!!!」
よーし。言えた……!! 言えたぞ~!!
達成感に浸っていると、グレンが大きくため息をついた。
「グレン……?」
「俺……その、記憶のことで深刻な話してたのかなって……思ってたんですよ」
ああ……まあ昼間の会話的にそう思うよね。
「ごめん、ぜんぜん関係ないです」
「よかったです……あ、別に貴方の乳首がどうでもいいとは思ってませんからね??」
いや、死の間際の記憶に比べたらどうでもいいよ。そんなフォローいらないです。
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