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エピローグ
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次にバタバタと行儀悪くマティアスの部屋に走りこんで、ぎこちない淑女の礼をとるのはハンザだ。
「マティさん!!! おっと・・マティアス様、お目覚めと伺いました」
「ハンザ! ドルマの世話をしにここまで来てくれたのだね。ありがとう」
懐かしい第六の友人の顔に、思わずマティアスから笑みがこぼれる。
ハンザはマティアスのベッドまで走り寄るとえへへ、と笑って、そしてまたぎこちない淑女の礼をとって、マティアスに向き合った。
「マティアス様、ご無沙汰しております。ご無事のご帰還をお祝い申し上げます。そして、この辺境、いえ王国を救って下さった事に、一人の臣民としてお礼を申し上げます。マティアス様。本当にありがとうございました」
そう神妙に淑女の礼をしていたかと思うと、ハンザは今度はいきなりくるりと後ろを振り返って、鬼の形相で後ろにひかえているカイルにバチン!と平手打ちをお見舞いした。
「ハンザ、おい!!」
急なハンザの狼藉に、マティアスは混乱して立ちあがろうとするが、後ろのカイルがいいから、と合図を送った。
ハンザは言った。
「でも!! マティさん、私の大事なドルマを第六から連れて行った事も、第六の嘆願書もあれだけ送ったのに全部無視した事については私一生許さないからね!! 世界を救ってくださって、あんなにも深くドルマを思っていらっしゃると世界に宣言したマティアス様にさすがに平手はお見舞いできないけど、カイル、あんたが身代わりに私の怒りの鉄拳を受けなさい!!」
「いってえなあ・・」
カイルは頬を抑えてブツブツと文句をいうが、辺境の最強の騎士であるカイルに、商家の一人娘のかわいらしい平手など、何も効いてはいない事など皆知っている。
そんな事よりハンザの左の薬指に収まっている新しい指輪がカイルの視界に入った様子で、カイルはニヤニヤしながらブツブツと文句をこぼして、実にみっともない有様だ。
(ああ、やっと腹を括ったんだな、・・よかった・・ん? 私が世界にドルマへの思いを宣言?)
少しハンザの言葉に引っかかる所があったが、それよりもハンザの指輪に気を取られていたマティアスは、あまり深く考えずまっすぐにハンザの目をみて、深く礼をした。
「本当にすまなかった。それでハンザの気が済むのなら、いくらでもカイルに鉄拳をぶつけてやってくれ。回復したら私がその鉄拳を甘んじて受けよう。そして、ドルマがメンダーだと知ってもずっとドルマの味方になってくれて、そして今回はドルマの世話をしにはるばると第六からやってきてくれてありがとう。私から心からの礼を言うよ」
ハンザはマティアスの言葉を受けて柔らかく微笑むと、
「お礼だなんて・・私こそ、ドルマのお世話に呼んで頂けて本当にうれしいです。ドルマの事は心配なさらず、この館の上の階のお部屋で元気に引きこもっていますよ。指を少し火傷してしまったので、繕い物を休ませるのが大変でしたけれど、今はいつも通りにみんなからの手紙に返事を書いたり、ローズ様からのお菓子を私と一緒に食べたり、ゆっくり過ごしています。でも、ドルマったら館の豪華なお部屋より、早く誰もいない元の塔に帰りたいのだそうですよ。幽閉されていた部屋に自分から帰りたいって、本当にドルマらしいわ」
「そ・・そうなのか」
「そうなのよ、マティさん。おかしいったらないわ。塔では一階の鉄の扉が分厚いのが本当によかったわ、って嘆くんだもの!! ドルマったら、人の気配が怖いのもそうだけど、マティさんのせいで、とてもではないけれど恥ずかしくって、もう誰の顔も見られないってさ!!」
折角の豪奢な部屋だというのに、塔に帰りたい、と嘆くドルマの姿を思い出したのか、もうこらえきれないとばかりにゲラゲラとハンザは笑った。そして、
「そうだ、私はお目覚めになったマティさんに会いに来たのもあるのだけれど、みなさんにこの部屋を出て行ってほしいと告げにきたんです。今からお館様がドルマをここに連れてくるんですけれど、ドルマは怖がりだし、マティさんのおかげで恥ずかしい思いをしたから、もうとてもじゃないけれど誰にも会えないって!! そういう訳でここのメイドの皆さんには部屋から廊下まで人払いしてもらってますので、この部屋の皆さんもマティアス様以外はしばらく退席していただけますか?」
(人が怖い上に、私のせいで恥ずかしい? ん? どういう事だ?)
マティアスの疑問はおいていかれて、ローズのメイドがてきぱきと荷物をまとめながら答えた。
「ああ、ハンザさんお知らせ下さってありがとう! そうですね、人が怖い上に、あれはさすがに恥ずかしいでしょうね。でしたら台所の連中にも急に出てこないように、大急ぎで伝えないと! 奥様、さあ早く出て行ってください」
でも私はマティアスの母だし、ちょっとくらいは挨拶しても、などとブツブツと居残ろうとするローズを、メイドとレナの二人で背中をぐいぐいと押して連れ出して、皆大急ぎで部屋を後にする。
「じゃあなマティアス様。しっかりやれよ!」
幸せそうにひらひらと手をふって部屋を後にするカイルのもう一方の手は、しっかりとハンザのそれと結ばれていた。
「ああ、わかってる・・」
なんだかニヤニヤとしながら部屋を退出する皆の背を見送りながら、マティアスは何か引っかかるものを感じていた。
「マティさん!!! おっと・・マティアス様、お目覚めと伺いました」
「ハンザ! ドルマの世話をしにここまで来てくれたのだね。ありがとう」
懐かしい第六の友人の顔に、思わずマティアスから笑みがこぼれる。
ハンザはマティアスのベッドまで走り寄るとえへへ、と笑って、そしてまたぎこちない淑女の礼をとって、マティアスに向き合った。
「マティアス様、ご無沙汰しております。ご無事のご帰還をお祝い申し上げます。そして、この辺境、いえ王国を救って下さった事に、一人の臣民としてお礼を申し上げます。マティアス様。本当にありがとうございました」
そう神妙に淑女の礼をしていたかと思うと、ハンザは今度はいきなりくるりと後ろを振り返って、鬼の形相で後ろにひかえているカイルにバチン!と平手打ちをお見舞いした。
「ハンザ、おい!!」
急なハンザの狼藉に、マティアスは混乱して立ちあがろうとするが、後ろのカイルがいいから、と合図を送った。
ハンザは言った。
「でも!! マティさん、私の大事なドルマを第六から連れて行った事も、第六の嘆願書もあれだけ送ったのに全部無視した事については私一生許さないからね!! 世界を救ってくださって、あんなにも深くドルマを思っていらっしゃると世界に宣言したマティアス様にさすがに平手はお見舞いできないけど、カイル、あんたが身代わりに私の怒りの鉄拳を受けなさい!!」
「いってえなあ・・」
カイルは頬を抑えてブツブツと文句をいうが、辺境の最強の騎士であるカイルに、商家の一人娘のかわいらしい平手など、何も効いてはいない事など皆知っている。
そんな事よりハンザの左の薬指に収まっている新しい指輪がカイルの視界に入った様子で、カイルはニヤニヤしながらブツブツと文句をこぼして、実にみっともない有様だ。
(ああ、やっと腹を括ったんだな、・・よかった・・ん? 私が世界にドルマへの思いを宣言?)
少しハンザの言葉に引っかかる所があったが、それよりもハンザの指輪に気を取られていたマティアスは、あまり深く考えずまっすぐにハンザの目をみて、深く礼をした。
「本当にすまなかった。それでハンザの気が済むのなら、いくらでもカイルに鉄拳をぶつけてやってくれ。回復したら私がその鉄拳を甘んじて受けよう。そして、ドルマがメンダーだと知ってもずっとドルマの味方になってくれて、そして今回はドルマの世話をしにはるばると第六からやってきてくれてありがとう。私から心からの礼を言うよ」
ハンザはマティアスの言葉を受けて柔らかく微笑むと、
「お礼だなんて・・私こそ、ドルマのお世話に呼んで頂けて本当にうれしいです。ドルマの事は心配なさらず、この館の上の階のお部屋で元気に引きこもっていますよ。指を少し火傷してしまったので、繕い物を休ませるのが大変でしたけれど、今はいつも通りにみんなからの手紙に返事を書いたり、ローズ様からのお菓子を私と一緒に食べたり、ゆっくり過ごしています。でも、ドルマったら館の豪華なお部屋より、早く誰もいない元の塔に帰りたいのだそうですよ。幽閉されていた部屋に自分から帰りたいって、本当にドルマらしいわ」
「そ・・そうなのか」
「そうなのよ、マティさん。おかしいったらないわ。塔では一階の鉄の扉が分厚いのが本当によかったわ、って嘆くんだもの!! ドルマったら、人の気配が怖いのもそうだけど、マティさんのせいで、とてもではないけれど恥ずかしくって、もう誰の顔も見られないってさ!!」
折角の豪奢な部屋だというのに、塔に帰りたい、と嘆くドルマの姿を思い出したのか、もうこらえきれないとばかりにゲラゲラとハンザは笑った。そして、
「そうだ、私はお目覚めになったマティさんに会いに来たのもあるのだけれど、みなさんにこの部屋を出て行ってほしいと告げにきたんです。今からお館様がドルマをここに連れてくるんですけれど、ドルマは怖がりだし、マティさんのおかげで恥ずかしい思いをしたから、もうとてもじゃないけれど誰にも会えないって!! そういう訳でここのメイドの皆さんには部屋から廊下まで人払いしてもらってますので、この部屋の皆さんもマティアス様以外はしばらく退席していただけますか?」
(人が怖い上に、私のせいで恥ずかしい? ん? どういう事だ?)
マティアスの疑問はおいていかれて、ローズのメイドがてきぱきと荷物をまとめながら答えた。
「ああ、ハンザさんお知らせ下さってありがとう! そうですね、人が怖い上に、あれはさすがに恥ずかしいでしょうね。でしたら台所の連中にも急に出てこないように、大急ぎで伝えないと! 奥様、さあ早く出て行ってください」
でも私はマティアスの母だし、ちょっとくらいは挨拶しても、などとブツブツと居残ろうとするローズを、メイドとレナの二人で背中をぐいぐいと押して連れ出して、皆大急ぎで部屋を後にする。
「じゃあなマティアス様。しっかりやれよ!」
幸せそうにひらひらと手をふって部屋を後にするカイルのもう一方の手は、しっかりとハンザのそれと結ばれていた。
「ああ、わかってる・・」
なんだかニヤニヤとしながら部屋を退出する皆の背を見送りながら、マティアスは何か引っかかるものを感じていた。
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