クラス転移した世界で使えない僕は追い出されました。(仮題)

kashizaki

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第1章ーーお人好し追放されるーー

第10話〜お人好しは悟り、自ら消える〜

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バーランド、貴様何をしておる!?お主その者は誰じゃ!!?

「この者こそが勇者の記憶を操っているものに違いありません!私は勇者の中に犯人がいると目をつけ、今回は犯人を出す為にわざとこの者をそのままにしておきました。さぁ、話せ!」

「お、俺は確かにコトハ・ミカドと昨晩、異世界の物を譲ってもらう代わりに、勇者たちを操るようにという依頼を受けた。そして、今も勇者たちを操っている。・・・ほら、言ったから俺を殺さないでくでぇ・・・。」

「外道が・・・。」

「「「「「キャァァ!!!」」」」」

首が飛んだ。急に現れた名も知らぬ者が。だが、首を飛ばした張本人は何も無かったかのように腰の剣の血をはらった。

「ふぅ。お見苦しい所をお見せしました。ですが、これで分かったでしょう。この者が昨晩一人で行動した時があります。その時にこの男と接触し、交渉を行ったのでしょう。」

バーランド・・・お主はここまで。

「これを許せますか皆さん!!!」

「国王様が与えたチャンスを棒に振るなど言語道断!!即刻死刑だ!!!」

「死して償うべきだ!これは国家反逆罪だ!!」

明らかに先程から出しゃばる貴族共が何人か。

(金かバーランドよ。)

!?ナミ殿がもう我慢ならないような状態に入ってるのに気がつく。ただ、儂は嫌な予感がして

「止め」

「そんなことする訳「【スリープ】」」

「な!?バーランド!!」

気付いた時には、静止するには遅すぎた。確実にバーランドはコトハを殺そうとしていた。

「国王様。どうやら術者が死んでもしばらくの間洗脳の魔法は続くようです。どうぞお許しを。」

「貴様、今すぐ殺してやっても」

「僕がやりました。国王様、申し訳ございませんでした。」

!!?・・・お主は、お主はまたその目をするのか。今度は儂を守るために。

「国王様、・・・僕がこの事件の犯人です。僕はその男と昨日、打ち合わせをして、勇者を騙しました。」

「やはりか・・・。」

「許せぬ、許せぬぞ貴様ァ!!」

「殺せ!こやつを殺せ!!」

「ま、」

「どうぞ!このようなことをした僕に裁きを。」

・・・もはや良いか。許せ、コトハよ。じゃが、儂はお主を死なせない!

「大罪人コトハよ。お主はもはや死は免れない。恐らくこの中の全員はどんな状態で殺してやろうかと考えておるじゃろう。じゃが、その最後の弁明を免じ儂は唯一生き残る手段を用意してやる。」

「そんなの許されません!国王様がいかに優しくとも、それだけは」

「お主には生きて生き地獄を味わってもらおう。国外追放という名のもとに。」

「「「「「!!?」」」」」

「いや、しかしこの者は死罪で・・・」

「バーランド、今は停戦しているが、直ぐ外では魔王の部下、魔物たちが潜んでおる。その者らの中に捨てるのだ。才能がないこの者がどうなるか、お主も分かるじゃろう?」

「お、おおぅ!分かっていただけましたか王よ!皆、王が最高の罪を用意してくださった。コトハ・ミカドは国外追放で良いのではないか!?」

「そうだな。」

「それでいいだろう!」

「よし、それがいい!!」

だんだん雑になってきたな、マト家長男ノボリ、クロ家次男オントル、アンコ家四男ネフラトオルマよ。やっと思い出せたのぅ。

「コトハよ。最後に言い残す言葉は?」

「ありがとうございました、国王様。」

・・・

「何処へなりとも行くが良い。お主は勇者ではない」

そして、コトハは振り返った。恐らく、本当に国外へ出るだろう。

・・・

そう、お主は勇者ではない。決してそんなモノでは収まらない。仲間を、自分が守りたい存在を身を呈して守った英雄だ。今から儂がすることは、本来お主にとっては不本意じゃろうが、それでも

「あとは儂に任せてくれ。」

「どうしたのですか国王様!?」

儂は椅子から崩れ落ちる。一瞬、コトハが儂に振り返るが、視線で行けと指示する。

老後のは疲れるのぅ。

「どうやら、儂にも洗脳があったようじゃ。」

ピクッ!

・・・気付いたじゃろう?お主が一番分かっておるだろうからな。

「何とかあの場では抗ったが、いつ暴走するか分からぬ。もし、あやつが死んだと知ったら埋葬するかもしれぬ。友として。」

「そ、それは・・・。」

「皆の者、その時儂は死因を調べるだろう。その時にこの中の誰かが関わっていると思っただけで、その一族を根絶やしにしてしまうかもしれぬ。あの者はそのまま国外で死ぬだろうから良いだろうが、もし誰か手を加えていたら・・・分かるじゃろう?この国の王、儂の恐ろしさを。」

国外追放とは、本当ならこのように罪人を自由にさせることなど無い。普通なら、兵士の誰かが国に出るまで身柄を拘束し、外へ放り出すのだ。そして、実際に兵士の一人が御門に駆け寄ろうとした瞬間にこの発言。

国王の発言は兵士にも勿論聞こえていた。そして、兵士は無言で御門から何歩か下がる。

これは国王がこの判決を認めていないと言っていることに等しかった。

儂の言葉にこの場の貴族全員が汗を垂らした。王の覇気を久しぶりに使ったが、ここまで臆するとは・・・やはり上は廃れているか。

じゃが、せめてあの者が少しでも生存する確率を増やす。そのためなら厭わない。

「そして、バーランド。もしかしたら、いつか気まぐれでお主を殺すかもしれぬ。後ろは気を付けておけ?」

「・・・わ、わか、分かりました。」

お主は絶対に許さぬ。本当に生き地獄を与えるのはお主じゃ。
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