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第2章ーーお人好しとラフォトンの森ーー
第16話〜お人好しは海王に救われる〜
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「・・・・・・あれ、ノラ・・・さん?す、すみません。魚、無くなっちゃって・・・。」
え?どういう事?ついこの前貰った時は、まだ余ってるって言ってた筈なのに。
「ミカド君、あなた私に嘘ついたの?」
私は何故か怒っていた。それは、海王である私に嘘をついていたという怒りではなく、何故教えてくれなかったのかというもので。自分でも、何でそれに怒っているのか分からなかった。でも、その怒りは、彼の次の言葉で、ひとつの答えになった。
「う、嘘ですか・・・。はは。すみません。何せ食べるものがそろそろ無くなるって言うと、困らせちゃうかなと思って。」
そうか、ミカド君は他人には優しくするけど、自分が他人の迷惑にはなりたくない人なんだ。
今思えば、いつかのミカド君は、当初より幾らか痩せていたのを思い出す。だけど、私は自分の供物の為にミカド君自身の事なんて一切考えていなかった。
「ごめんね。」
「え?」
私が謝ったなんていつぶりだろ。いや、初めてかもしれない。でも、それ程私は、ミカド君がここまでなってしまった原因だと、分かってしまった。
相手は人間、所詮人間なんだから、私よりも何千倍も弱い生物なんだから、強い私は利用して当たり前。今まではそう思っていたのに。
「君の優しさは、私たちには無いものだよ。ただ、暴力で全てを解決する私たちには。」
何百年か前、何処かの人間が書いた本の一節に、弱肉強食という言葉があった。弱いものは強いものに淘汰される。弱きものはただ、強きものに屈し、強きものは弱きものを喰らう。
私はその言葉に、激しく同意した。ただ、世界中の海を暴れ回っていた私が、人間に興味を抱いた時だった。
だけど、私は彼を見て思ってしまった。何も無いのに何かができる彼は、果たして本当に弱きものなのか。それなら彼は何なのか。
「私たち・・・って。僕は優しくなんて無いで・・・す・・・。」
そう言ってミカド君はまた気を失った。
「でも、これだけは言えるね。ミカド君、君は本当に強い人だ。・・・私は君に興味が湧いたよ。」
だから、少し記憶を見させてもらうね。
△▽
「で、結局お主が元凶という訳かの?」
「まぁそうだね。本当にミカド君には悪い事をしたよ。」
「「え!?」」
私は、その後ミカド君に森の木の実を何個か上げたあと、二人に祠でその話をしていた。
「あの海王、いや儂らの女王が素直に自分の非を認めただと・・・。」
「これは、何かあったのかな・・・。」
あ、いけない。そろそろミカド君が起きちゃう。
「じゃあそろそろ私は行くね!」
そう言って振り返ろうとすると、フェルに止められた。
「待て待て、お主、ミカドは飢餓状態なのだろ!?早く何か持っていかねば。」
「そうだよ!あの肉付き骨が貰えなくなっちゃうって。」
「大丈夫だよー、もうちゃんとミカド君には、フカツの実も食べてもらったし。」
「ま、待て!だから、今ミカドは寝ているのだろ!どうやって食べたって・・・まさか!?」
「え!?も、もしかしてノラ、君!」
っち!感のいい男どもめ。でも、別にいっか。
「ご想像にお任せしまーす!」
そう言って、私はスキップでまた巣へ向かった。
「あれがなぁ。ミカド、頑張るのだぞ。」
「ノラの変わった理由はこれかぁ。僕もいつか・・・。」
後に残された二人の王は、どちらも最初はミカドの無事を喜んだが、今は何とも言えない表情をしていた。
え?どういう事?ついこの前貰った時は、まだ余ってるって言ってた筈なのに。
「ミカド君、あなた私に嘘ついたの?」
私は何故か怒っていた。それは、海王である私に嘘をついていたという怒りではなく、何故教えてくれなかったのかというもので。自分でも、何でそれに怒っているのか分からなかった。でも、その怒りは、彼の次の言葉で、ひとつの答えになった。
「う、嘘ですか・・・。はは。すみません。何せ食べるものがそろそろ無くなるって言うと、困らせちゃうかなと思って。」
そうか、ミカド君は他人には優しくするけど、自分が他人の迷惑にはなりたくない人なんだ。
今思えば、いつかのミカド君は、当初より幾らか痩せていたのを思い出す。だけど、私は自分の供物の為にミカド君自身の事なんて一切考えていなかった。
「ごめんね。」
「え?」
私が謝ったなんていつぶりだろ。いや、初めてかもしれない。でも、それ程私は、ミカド君がここまでなってしまった原因だと、分かってしまった。
相手は人間、所詮人間なんだから、私よりも何千倍も弱い生物なんだから、強い私は利用して当たり前。今まではそう思っていたのに。
「君の優しさは、私たちには無いものだよ。ただ、暴力で全てを解決する私たちには。」
何百年か前、何処かの人間が書いた本の一節に、弱肉強食という言葉があった。弱いものは強いものに淘汰される。弱きものはただ、強きものに屈し、強きものは弱きものを喰らう。
私はその言葉に、激しく同意した。ただ、世界中の海を暴れ回っていた私が、人間に興味を抱いた時だった。
だけど、私は彼を見て思ってしまった。何も無いのに何かができる彼は、果たして本当に弱きものなのか。それなら彼は何なのか。
「私たち・・・って。僕は優しくなんて無いで・・・す・・・。」
そう言ってミカド君はまた気を失った。
「でも、これだけは言えるね。ミカド君、君は本当に強い人だ。・・・私は君に興味が湧いたよ。」
だから、少し記憶を見させてもらうね。
△▽
「で、結局お主が元凶という訳かの?」
「まぁそうだね。本当にミカド君には悪い事をしたよ。」
「「え!?」」
私は、その後ミカド君に森の木の実を何個か上げたあと、二人に祠でその話をしていた。
「あの海王、いや儂らの女王が素直に自分の非を認めただと・・・。」
「これは、何かあったのかな・・・。」
あ、いけない。そろそろミカド君が起きちゃう。
「じゃあそろそろ私は行くね!」
そう言って振り返ろうとすると、フェルに止められた。
「待て待て、お主、ミカドは飢餓状態なのだろ!?早く何か持っていかねば。」
「そうだよ!あの肉付き骨が貰えなくなっちゃうって。」
「大丈夫だよー、もうちゃんとミカド君には、フカツの実も食べてもらったし。」
「ま、待て!だから、今ミカドは寝ているのだろ!どうやって食べたって・・・まさか!?」
「え!?も、もしかしてノラ、君!」
っち!感のいい男どもめ。でも、別にいっか。
「ご想像にお任せしまーす!」
そう言って、私はスキップでまた巣へ向かった。
「あれがなぁ。ミカド、頑張るのだぞ。」
「ノラの変わった理由はこれかぁ。僕もいつか・・・。」
後に残された二人の王は、どちらも最初はミカドの無事を喜んだが、今は何とも言えない表情をしていた。
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