クラス転移した世界で使えない僕は追い出されました。(仮題)

kashizaki

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第3章ーー五国VS魔王軍ーー

第23話〜魔族ノラスチアVS勇者アツヤ

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「邪魔だーーー!!!」

「くおぉぉぉ!!」

ミルデロフが張ったマザープロテクション。それは、エルフ軍全体を覆う程の巨大な光の壁。それを、ゴゴは振り下ろした一撃で確実に壁にヒビを入れていく。

「み、ミルデロフさん!?」

先程まで余裕を振り撒いていた勇者たちも、初めて自身の命が脅かされそうになり焦りだした。

「ゆ、勇者殿ぉ!ここは、私と残ったエルフが全力で抑える。どうか行ってくれ!魔族を・・・あの魔族を倒してくれ!」

その表情は苦悶に満ちており、勇者の一人である加藤敦也は、一瞬喉まで言葉が出そうになった。
だが、はっきりと勇者へ指示を伝えるミルデロフを見た時、敦也の出かかった言葉は、ミルデロフの望んでいた言葉へ変わる。

「俺たちが・・・いえ、我ら勇者が、必ずあの魔族共を倒してみせます!どうかご無事で!」

「・・・あぁ!行ってくれ!!」

「「「「「はい!!」」」」」

その言葉とともに、敦也たちは走り出した。
その後ろ姿を見て、どこか安心したような表情をするミルデロフは、後ろへ控えたエルフたちに伝える。

「同胞よ。・・・敵は思ったよりも数倍強大だ。」

「・・・。」

それを聞いたことで、倒れていないエルフたちの顔は辛い表情へ変わった。同時に壁にも更にヒビが入る。

「ぐぅ・・・!・・・だが、君たちも覚えているだろう。200年前の屈辱を!我らの敵は今目の前にいる。そして、我らはあの時とは違う。私は一人の王として、君たちに問おう。もう一度、あの悪夢を続けたいか!?」

王の訴え。それは彼の心からの叫びだった。もう一度なんて許せるわけが無い。二度と繰り返してはいけないのだと、指揮が落ちたエルフ軍に訴えたのだ。それに、心動かされないなど、無理ではないか。

「ふざけるな!俺はあいつに親父が殺された!」

そして、一人が立ち上がる。そして波紋が広がる。

「私は祖母を!」「俺は母を!」
「俺も妻と子が殺された!!」

波紋は大きな波に、そしてその後陸へ溢れ出るように・・・!

「ならば、戦え!!大丈夫。君たちは守られている!あと数秒でこの壁は割れるだろう!だが、それは新たな開戦の合図だ!!エルフの誇りを見せろ!!!」

「「「「「「おぉ!!!!」」」」」」

そして、壁は崩れる。


△▽


壁が壊れる頃、その同時刻に、勇者たちも魔族たちと対面していた。

「お前が魔族ってやつか!」

空中へと叫ぶ敦也に気付くと、それを聞いてゆっくりと降りてくる。

「あなたは・・・そうですか。ノラスチアです。あなたが・・・いえ、あなた達が勇者なのですね。」

「そうだ!俺は敦也!お前は俺が速攻で討伐してやる!」

速攻と聞き、僅かに震え出すノラスチア。それを見て他の魔族も集まり始めた。

「愛さん、美希さん。二人は左からやってくる魔族を。優と和志は右のを。俺はノラスチアっていうのをやる。」

「「「「おっけー!」」」」

四人は一気に割れた。この五人の司令塔は敦也。彼の能力的にも、彼らはそれを最善策だと素直に従った。
だが、それはノラスチアにとっては挑発だと思われたようで。

「二度も私を愚弄するとは・・・魔族を舐め過ぎですよ、勇者アツヤ。五人で戦っていた方がまだ勝機はあったでしょうに。」

「そっちも舐めんなよ?俺は五人の中で一番強いんだ。一瞬で死なないように足掻いてくれや。」

魔族が力や魔力が高いのなら人間は口が強いと言うだろうか。饒舌戦は敦也に軍配が上がった。

「この下等生物がぁ!!「ほらよ。」あ゛ぁ!?」


ノラスチアに飛んできたのは、やけに物騒な黒い球体で。それはピンが外れており、中から光が発する頃には、遅かった。

「現代の兵器をくらいな。」

バァァン!!!


△▽


同時刻、王国から数百キロ離れた遥か上空。
そこには一匹の黒き竜がいた。そして、更にその上、そこには一人の姿があり。

「ねぇねぇドルフ?勇者たちはどうなると思うかな?」

「どうなっても良いでしょう。四天王が負けても、勇者が勝っても。結局は貴方様のお力で全て終わらせることが出来ます。」

「それは面白くないなぁ。せめて、少しだけでも・・・足掻いてくれないと。」

その者から凄まじい黒きオーラが溢れ出る。それは周辺の雲を暗黒へ染め、空を飛ぶ鳥は下へと落下していった。

「あぁ!!面白くないなぁ!いっその事王国にダイブしちゃおうか!」

「それはいけません。貴方様は高貴な御方。貴方様が出る時は、全てが終わる時。そうでしょう?」

「それじゃどう?もし、また四天王がやられるような事があったら、私が全て滅ぼしちゃうのは!」

黒き竜は考える。確かにそれなら良いのではないかと。あの森で起こったことは恐らくあの三王者たちだ。それ以外に四天王が負けることは無いにしても、この方の機嫌を損ねるわけにはいかない。

「そうですね。それなら、確かに良いかもしれません。」

「ヒュー分かってるぅ!さすがドルフ!私の可愛いペット!」

恐らくこの竜をペットというものがいるという者なんて居ないだろう。それは彼女自信が・・・
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