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しおりを挟む──も、もうやだ……もう無理だ……
心の中で子どもの泣き言のような弱音をあげながら、ローランはくしゃりと顔を歪める。正直、今にも泣き出してしまいそうだった。
発情期はまだ先のはずなのに、ルシアンの発情期に誘発されたのか、しっかり体は熱を帯びている。ルシアンの甘いフェロモンを吸い込むたび、くらくらと眩暈を覚えた。
「ルシアン様……本当にごめんなさい。俺が全部悪かったです。だから、許して……もうこんなことはやめてください……」
涙の代わりにこぼれたのは、弱々しい謝罪だった。
勘違いされている部分もあるが、こういうとき一切言い訳や反論をしない方が良いことは、ローランにだってわかっている。
とりあえずルシアンに許してもらって、この窮地を脱したい──そんな浅はかな考えでローランの頭の中はいっぱいだった。
しかし、皮肉っぽく笑ったルシアンから返ってきたのは、さらりとした残酷な答えだ。
「許す許さないの問題じゃないさ。許せないからこんなことをしているわけでもないからね。これはいわゆるお仕置きだよ」
「お、おしおき……?」
戸惑いながらローランが言葉を繰り返すと、ルシアンは愉快そうに笑みを深めた。
「ああ、そうだ。もう二度と君が馬鹿なことをしでかさないように、君の体に教え込むんだ。君が誰のオメガで、君のアルファが一体誰なのか──」
「ッン……!」
濡れそぼった後孔の縁に突如指が触れてきて、ローランは息を呑んだ。
身を硬くしたローランのことなど気に留めていないのか、ルシアンは楽しそうに片手の中指をローランのナカに埋めていく。
初めての感覚に、ローランは顔を真っ赤にして首を振った。
「ひ、ぁっ……だめっ、やめて……っ!」
「大丈夫だよ、よく濡れている。これなら、私のものもすぐに受け入れられそうだ」
「ッん……あッ、アッ、ああッ」
ナカに入ってきた長く硬い指が、ゆっくりと前後に動く。探るようなその動きに、腹の底がずくりと疼いた。
ローランは暴れようともがいたが、頭上で両手をひとまとめに押さえ付けられた状態ではどうしようもない。
「やだっ、やだっ! っ、ンッ……!」
「ここだな」
ルシアンの指がとある一点を掠めた瞬間、電撃のような快感が腹のナカで弾けた。ローランの体がのけ反るようにビクッと跳ねる。
──なんだ……っ?
ローランは目を見開いたまま、まつ毛を震わせた。
自分の体のことなのに、なにが起こったのかわからない。ただ、ルシアンの指がそこに触れるたび、どうしようもない悦楽の波がローランを襲う。
「ンッ……ぐ、っ……あッ、ああッ」
「前立腺って言うんだ。気持ちいいだろ。ナカから蜜があふれてきてる」
「っ……や、やだぁ……っ」
ルシアンが指を動かすと、ぐちゅ、ぐちゅっといやらしい水音がローランの耳に届く。羞恥と快感で、ローランは気が変になりそうだった。
ルシアンは楽しそうに目を眇めて笑い、執拗にローランの前立腺を責めてきた。そこを押し潰すように擦られると、徐々にローランの体から力が抜けていく。
感覚ははっきりしているのに、まるで頭の中に白い靄がかかったようだった。どうにかこの窮地を切り抜けなければいけないのに、なにも考えられない。
「あ、ンッ、あッ……ああッン」
「かわいいよ、ローラン」
甘い言葉とともに、指が増やされる。ルシアンの長い二本の指は、ゆっくりと前後に動きながらナカを押し広げていた。
内側がきゅうきゅうとルシアンの指に絡み付くのがわかって、ローランは羞恥にぎゅっと目を瞑る。自分の意思に反してアルファを受け入れる準備を進めるオメガの肉体が憎らしかった。
「ッ……は、あぁ、はぁッ……!」
後孔を解していた指が、静かに抜き取られた。同時に頭上で拘束されていた両手も自由にされ、ローランの体はくたりとベッドに沈む。
茹だったように全身が熱くて、呼吸をするだけで精一杯だった。ようやく両腕が自由になったのに、もう指一本動かすことすらできそうにない。
その間に、ルシアンは自身の服を荒々しく脱ぎ捨てていく。鍛えられた肉体は彫刻のようで、それでいてしっとりと汗ばんだその肌からは匂い立つような男の色気を感じた。
しかし、羨ましくあれどそそられはしない。発情期状態の今でさえも、ローランは女の子が好きなローラン・アルスターのままだった。
ルシアンはローランの足を掴むと、折り畳むように膝を曲げさせて、ベッドに押し付けた。大きく開かれた足の間から覗く萎えた性器と濡れそぼった後孔が、ルシアンの目にさらされる。
恥ずかしくてたまらないのに、もう抵抗する力もない。
されるがままのローランを見て、ルシアンは場違いにもくすりと笑った。
「もう『やだ』って言わなくていいのか?」
「……言ったら、やめてくれますか……?」
「いいや、まさか」
「…………」
──……ほんっっとこのひと嫌い!!
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