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しおりを挟むローランは涙の膜を張った瞳でじとりとルシアンを睨んだ。せめてもの抵抗のつもりである。
しかし、ルシアンはそんなのどこ吹く風。鼻歌でも歌い出しそうなほど上機嫌な様子で、ローランの方へと軽く身を乗り出してきた。
直後、ローランの後孔の縁に熱く硬いなにかが触れた。それがルシアンの雄だと気付いた瞬間、ローランの顔から血の気が引く。
「るっ、るっ、るしあん様っ!!」
「大丈夫。ゆっくりしよう。……まあ、あくまで私が我慢できたらの話だが」
「そういうことじゃなくてっ、婚前交渉はっ……!」
「もともと君が十八になった日に結婚する予定だったじゃないか。……君が、卒業まで待ってほしいなんて言わなければね」
「っ、う……!」
責めるように告げられた瞬間、後孔にグッと先端を押し付けられた。まだナカには入っていないが、それも時間の問題だろう。
とうとうローランの黒い瞳から、ぽとりと涙が零れ落ちた。
「やだ……なんで俺なんだよぉ……!」
「私に好かれてそんなことを言うのは、世界で君くらいだろうね」
「っ~~このクソナルシスト野郎ッ!」
時折頭に浮かんでいた罵倒を実際に声にだしたのは、今日が初めてだった。
ルシアンは目を丸くしたあと、吹き出すように声を上げて笑った。こんな子どもみたいに笑うルシアンを見るのは、ローランも初めてだ。
「っ……ああ、私にそんなことを言うのも君くらいだろうな。そんなところも好きなのかもしれない」
言いながら、ルシアンはローランの足を抱え直した。そして、にやりと口角をあげる。
「初めて会ったときからずっと君は変わらないね。私に本能的な恐怖心と嫌悪感を抱いている。最初はどこにでもいる普通の子どもだと思っていたけれど、今は君しか欲しくない。聡くて愚かで、決して私の思い通りにならない、私のかわいいローラン」
「…………」
──なに言ってんのかよくわかんないけど、こっっっわ……!!
ローランは本能的な恐怖に頬を引きつらせ、泣きじゃくるようにしゃくり声をあげた。やたらと重く感じる腕を持ち上げて振り回してみるが、殴られてもルシアンは平然としている。
「まったく……大人しくしてたと思ったらすぐこれだ」
「やだ……ルシアン様なんてきらいだっ……!」
「君が私を嫌いでも、私が君を好きだからいいんだよ。それに、結婚してからでも、君に好きになってもらうための時間はたっぷりあるからね」
「っ~~絶対にあなたのことすきになんてなりませんからっ……ひッ、あぁっ!」
話している最中にも関わらず、ぐぷり、とルシアンの先っぽがローランのナカに入ってきた。
とんでもない圧迫感にローランは目を見開き、背を弓なりにする。
「はっ、あ、あ……!」
「ッ……やっぱりきついな」
「ひ、ンッ……やだ、むり、ぬいて……っ!」
「君が体の力を抜いたら、ちゃんと奥まで入るよ」
ルシアンはローランの訴えを無視して、じりじりと腰を進めていく。なんて勝手な男だろう。
ローランはシーツをギュッと掴み、歯を食いしばった。
「っ~~……おっきい、むり……っ」
「無理じゃない」
「ん、ぐっ……いい子にする、これからはルシアン様の言う通りにするからっ……」
「信用できないな」
すげなくあしらわれ、ローランは絶望に打ちひしがれた。
そんなとき、あのとある一点をルシアンの雄がグリッと直に抉った。ローランの体がびくりと大きく跳ね、唇からは「あッ!」と甲高い嬌声があがる。
ルシアンはするりと目を細め、唇を歪めて笑った。獲物を見つけた肉食獣のような、ぎらついた笑みだ。
「っ、あ、ンッ……やっ、やめてっ!」
「どうして? ここが好きなんだろう?」
「んアッ、あッ、ああッ」
ぷっくりと膨らんだ前立腺を、小刻みにゆっくりと擦られる。ナカをみっちりと満たす性器が前後に動くたびに隆起したそれは押し潰され、ルシアンに抱えられた足がガクガクと震えた。
「っ~~う、うぅ、やっ、やだぁっ……」
「ああ、ナカが緩んできた……」
うっとりとした声色で呟かれた言葉の通り、ローランの後孔は先ほどよりも柔らかく綻びはじめていた。とろとろに濡れたそこはルシアンの雄を受け入れ、まるで奥に誘うように蠢いている。
こんなことは望んでいないのに、気持ちよくて堪らない。ルシアンがナカを埋めていくたび、ぞくぞくとした快感がローランの体を駆け巡るのだ。
「あ、あッ、んぅ……あッ、やぁッ!」
「ほら、力を抜いて。もうすぐ全部入るよ」
突き当たりの深いところを、先端でコツコツとノックされる。
ローランは泣きながら首を横に振った。
「やっ、だめ、だめっ……!」
「ローラン、いい子にするんじゃなかったのか?」
「ああっ、ンッ、あ、あッ!」
今までよりも荒々しく腰を押し付けられ、ローランの体が跳ねる。
怖くて苦しくて嫌なのに、腹のナカがとろとろにとけてしまいそうなくらい気持ちがよかった。
だらしなく惚けた顔で喘ぐローランを見下ろしながら、ルシアンは前髪をかき上げて笑う。いつもはきっちりとセットされた髪が乱れていて、初めて見るその姿に心臓のあたりがドキッとした。
「はっ、ア……あぁ、あ、ンッ!」
「ッ……ローラン!」
「ひ、ィッ……あッ、ああぁッ!」
腰を両手で掴まれ、ガンッと一際強く突き上げられた。その瞬間、ローランの最奥にルシアンの亀頭が捩じ込まれる。信じられないほどローランの奥深くまで満たしたそれは、別の生き物のようにドクドクと脈打っていた。
ルシアンはどこか悩ましげに眉を寄せながら、色っぽく笑う。
「ほら、ちゃんと入っただろう?」
「あ、ぁ……」
ルシアンの手のひらが、愛おしげにローランの下腹部を撫でた。
それを喜ぶようにナカがきゅうきゅうとルシアンの性器に吸い付くのが、ローランはひどく忌々しい。
そんなローランの心情を知ってか知らずか、ルシアンはローランを抱きしめて、顔中にキスを降らせてくる。
「かわいい私のローラン」
「っや……ンッ……!」
抱きしめられたまま、ゆっくりとナカを掻き回される。
ルシアンの亀頭が結腸口を行き来するたび、ローランの肢体は戦慄いた。ルシアンはそれを宥めるようにキスを落としながら、何度もローランの最奥を突き上げる。
「は、あっ、ん、ア、ああッ!」
「っ……!」
「ひぃっ、あ、あッ、~~~~ッ!」
息を呑んだルシアンがローランの首筋に額を押し付けた瞬間、最奥を突き上げた雄が一際大きく膨らんだ。直後、脈打つようにナカで跳ね、結腸の柔らかな壁に熱い飛沫を叩きつけられる。
ビュクッ、ビュクッと白濁が注がれるたび、ローランの体はびくりと震えた。気付かないうちに、ローランの性器もとろとろと精液を漏らしていた。
腹の奥が白く汚されていくのと同時に、頭の中がぐずぐずに溶けていく。
「愛しているよ、ローラン……これを外すのは、結婚式の夜にしようか」
砂糖菓子のような甘ったるい声で囁いて、ルシアンはローランの首のチョーカーに口付けた。熱を持った項が、ずくりと疼く。
──もう今はなにも考えたくない……
濡れた目をとろけさせたローランは、再びじゃれつくように擦り寄ってきたルシアンにされるがまま。
結局この日は、年明けに結婚するというルシアンの要求をローランが受け入れるまで、一晩中抱かれ続けた。
そうして夜明け前、『ひとり目は君に似た女の子がいいな』なんて末恐ろしいことを言うルシアンを無視して、ようやくローランは眠りについたのだ。
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