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前編
だからバチが当たったんだ
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結局泣き疲れて眠ってしまった僕は、翌日の朝食の席でちょっとだけ事情が分かった。
まず今の僕は、六歳になりたてほやほやらしい。
六歳の誕生日パーティーが終わって、さあ開けきれなかった誕生日プレゼントを開けようかと家族みんなでわくわくしていたら、何の前触れもなくパタンと倒れてしまったらしい。
あまりにも自然に倒れたものだから、一つ下の妹ははしゃぎ疲れて眠ってしまったのかと思ったらしい。
開いてないプレゼントの中身が気になるから起きて欲しくて揺すったし、他の家族も微笑ましく見ていたのだけれども、ちっとも起きなくて大騒動になったらしい。
「ちいにいさまがなんどゆすってもおきないから、わたし、こわかったのよ。」
僕にコアラのようにぎゅうぎゅうと抱き着きながら、妹は僕にそう言った。
うーん、こればかりは確かに僕が悪い。
今の僕が倒れた原因も、時間が逆行した理由も分からない。
けれども一歩間違えればトラウマになってしまう所だった。
前の僕のように。
そう思っていたら、スッと前髪を優しく指で梳かれる。
妹は抱き着いてるのに一体誰が?って思うでしょ?
その指は僕の五歳上の兄さまだ。
兄さまも妹も、父様似でとても美しい顔をしている。
母様は可愛らしい顔だとは思うけど、特に一番って訳じゃないどっちかといえばちょっと地味めだ。
そんな母様に似た僕も本当に父や兄妹と血が繋がってるのかと疑われる位には地味な顔してるけど、でも僕はこの顔が好きだ。
顔のパーツは母様とお揃いで、唇の端にあるホクロは父様とお揃いなんだもん。
「そうだよ。僕も凄く怖くなった。お願いだから、体調が優れない時は我慢しないで言ってね?」
約束だよ、と兄さまは僕の額にキスをしてくれる。
愛しい家族。
僕は妹をギュッと抱き締めながら頷いて、そしてグラグラと心の中の天秤を揺らす。
六歳の誕生日を迎えたばかり。
つまり僕はあと三か月程で、王子様………後の王太子殿下の学友として宮殿に招かれ、そして出会う。
愛しいあの人に。
でもそれはあの人にとって不幸の始まりで、僕にとっては家族との別れへのカウントダウンの始まりだ。
会いたい、でも、会いたくない。
会ったら家族と二度と会えなくなって、あの人を不幸にしてしまう。
あの人とあの人の大好きな彼女とを、引き離すことになってしまう。
誰も、僕以外幸せにはならない長い時間の幕開けになってしまう。
「うん………にいさま、あのね………」
一度だけ固く目を閉じ、覚悟を決める。
僕の幸せと、あの人の幸せ。
僕はあの人の幸せを壊すんだと分かってて、僕の幸せを選んでしまった。
だからバチが当たったんだ。
「じつはね、あのひからむねがいたいの………」
嘘じゃない。
でも、嘘でもある。
持病のある子は、感染するリスクの有無に関わらず王家の子供の学友になることは出来ない。
つまり、僕がこの嘘を頑張れば少なくともあの日あの場所であの人と出会うことが避けられる。
アレは確かに僕に幸せを与えてくれたけど、皆には不幸しか与えてくれなかったから。
「ちいにいさま、いたいの!?」
「嗚呼、可愛い子。お医者様を呼んでくるから、じっとしてるんだよ!」
胸は確かに痛い。
あの人を不幸にした罪悪感で、嘘を吐き続けなければというプレッシャーで。
でもこうすることで、今度はきっとみんなを幸せに出来る。
みんなが死ななくて、済むんだ。
まず今の僕は、六歳になりたてほやほやらしい。
六歳の誕生日パーティーが終わって、さあ開けきれなかった誕生日プレゼントを開けようかと家族みんなでわくわくしていたら、何の前触れもなくパタンと倒れてしまったらしい。
あまりにも自然に倒れたものだから、一つ下の妹ははしゃぎ疲れて眠ってしまったのかと思ったらしい。
開いてないプレゼントの中身が気になるから起きて欲しくて揺すったし、他の家族も微笑ましく見ていたのだけれども、ちっとも起きなくて大騒動になったらしい。
「ちいにいさまがなんどゆすってもおきないから、わたし、こわかったのよ。」
僕にコアラのようにぎゅうぎゅうと抱き着きながら、妹は僕にそう言った。
うーん、こればかりは確かに僕が悪い。
今の僕が倒れた原因も、時間が逆行した理由も分からない。
けれども一歩間違えればトラウマになってしまう所だった。
前の僕のように。
そう思っていたら、スッと前髪を優しく指で梳かれる。
妹は抱き着いてるのに一体誰が?って思うでしょ?
その指は僕の五歳上の兄さまだ。
兄さまも妹も、父様似でとても美しい顔をしている。
母様は可愛らしい顔だとは思うけど、特に一番って訳じゃないどっちかといえばちょっと地味めだ。
そんな母様に似た僕も本当に父や兄妹と血が繋がってるのかと疑われる位には地味な顔してるけど、でも僕はこの顔が好きだ。
顔のパーツは母様とお揃いで、唇の端にあるホクロは父様とお揃いなんだもん。
「そうだよ。僕も凄く怖くなった。お願いだから、体調が優れない時は我慢しないで言ってね?」
約束だよ、と兄さまは僕の額にキスをしてくれる。
愛しい家族。
僕は妹をギュッと抱き締めながら頷いて、そしてグラグラと心の中の天秤を揺らす。
六歳の誕生日を迎えたばかり。
つまり僕はあと三か月程で、王子様………後の王太子殿下の学友として宮殿に招かれ、そして出会う。
愛しいあの人に。
でもそれはあの人にとって不幸の始まりで、僕にとっては家族との別れへのカウントダウンの始まりだ。
会いたい、でも、会いたくない。
会ったら家族と二度と会えなくなって、あの人を不幸にしてしまう。
あの人とあの人の大好きな彼女とを、引き離すことになってしまう。
誰も、僕以外幸せにはならない長い時間の幕開けになってしまう。
「うん………にいさま、あのね………」
一度だけ固く目を閉じ、覚悟を決める。
僕の幸せと、あの人の幸せ。
僕はあの人の幸せを壊すんだと分かってて、僕の幸せを選んでしまった。
だからバチが当たったんだ。
「じつはね、あのひからむねがいたいの………」
嘘じゃない。
でも、嘘でもある。
持病のある子は、感染するリスクの有無に関わらず王家の子供の学友になることは出来ない。
つまり、僕がこの嘘を頑張れば少なくともあの日あの場所であの人と出会うことが避けられる。
アレは確かに僕に幸せを与えてくれたけど、皆には不幸しか与えてくれなかったから。
「ちいにいさま、いたいの!?」
「嗚呼、可愛い子。お医者様を呼んでくるから、じっとしてるんだよ!」
胸は確かに痛い。
あの人を不幸にした罪悪感で、嘘を吐き続けなければというプレッシャーで。
でもこうすることで、今度はきっとみんなを幸せに出来る。
みんなが死ななくて、済むんだ。
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