【加筆修正済】貴方に幸せの花束を

かかし

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中編

難しいことを言う

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12歳になりましたー!
たたーん!
学園の中等部に通うことが決まりましたー!
たたたたーん!

え?話の展開が早いって?
仕方ない。
ここまでの間、特に山も谷も無いんだから。
そこそこお勉強しながらのんびり暮らしてました、それだけ。

以前の僕はそうじゃなかった。
ご学友候補の子達は、王都にある学園に初等部から通うことになる。
王子様が通うからだ。
でも候補にも挙がれない子達は深く仲良くなる必要がないから、各々の家庭の事情に合わせる。
なので大体は中等部から、場合によっては高等部から通う子が殆どだ。
勿論初等部から通う子も居るが、それは兄さまみたいな家を継ぐ立場の子供が殆どだね。

でもやっぱり学ぶってことはとても大事なことだと思う。
6年間、家庭学習はしたけど以前学園で学んだのとはレベルが全然違うなと思った。
中等部から入って追い付けるのか不安だから、自主学習の量を増やしてみたけどちょっと不安は残る。
勿論、ご学友候補の子達が居るクラスと候補ですらない子達の居るクラスではそもそも学習レベルが違うんだけどさ。

あー!でもやっぱり勉強嫌い!運動も嫌い!

友達が出来るかも不安。
新しい学園生活は、不安がいっぱいだ。
なんていったって、以前の僕はから。

何の才能も無いし顔も良くないクセに、候補の立場を利用してドミニク様や王子様に近寄る奴って。

顔も良くないクセにって、関係無くない????
兎に角、僕はあまりというか全然好かれてなかった。
頭も悪かったし。
運良くドミニク様の婚約者になれたものだから、更に嫌われたしね。
そういえば僕、なんで選ばれたんだろうか?

「ちい兄さま、元気無いわね。大丈夫?無理して学園に行かなくて良いのでは?行くにしても、高等部からで良いのでは?」
「あ、ありがとうカノンノ。でもね、学園はちゃんと行くよ!」

ソファに座ってふわふわと考えていると、妹が心配そうにそういってテーブルの上に紅茶を並べた。
最初はいくら田舎貴族とはいえ貴族は貴族なんだからそんな使用人みたいなことしちゃダメって怒ってたんだけど、ちい兄さまを甘やかすのが私の仕事!なんて謎なこと言って聞かないからもう言わないことにした。
勿論、お礼は沢山言うけど。
それにしても妹も兄さまも、僕が学園に行くの反対してくるの何なんだろう。

「私と離れ離れになるのよ?」
「でも一年位だよ。」
「学年が違うんですもの、一年どころの話じゃありませんわ。」

妹は隣に座りながらキッパリとそう言うけど、そんなもんなのかしら。
そもそも入学まであと数週間、なんなら荷解きや僕がしなきゃいけない書類手続きの関係上、明日の朝に出発だっていうタイミングでやっぱやめたは出来ないよ。
荷造りの方はほぼほぼ終わってしまいさっぱりとした部屋の中でそう告げれば、妹は頬をぷっくりと膨らませる。
可愛い。
指でちょんと触ればふぅっと空気を抜くのも、最高にあざとくて可愛い。

「心配なの。兄さまも私も居ないわ。誰も彼もがちい兄さまのお身体を慮ってくれる訳ではないのよ?」
「そうだね。でも、僕みたいな持病持ちな子も居るよ。学園は平等だ。」
「平等こそ不平等よ。」

難しいことを言う。
兄さまも妹も、頭が良い。
僕とは大違いだからちょっと悲しくなっちゃうけど、二人が優秀なのは鼻高々でもあるから複雑ちゃん。
そう思っていると、妹がギュッと僕に抱き着いて僕の頭を撫でて来た。

「絶対に、絶対に無理はしないで。」

一体どっちが年上だかだか。
以前の僕を混ぜればそれこそずっとずっと年上なんだけど、でも妹の腕の中が心地好いから黙っておく。
明日からは、もうこういうことも出来なくなるし。

「うん。」
「約束よ。」
「うん、約束。」

小指を絡める。
実際、無理しないなんてことは約束出来ない。
学園は平等だ。
妹もそれをちゃんと理解している。
だからこそ、あえてこうして約束をねだるんだろう。

「ちい兄さまのことを、みんな愛しているんだもの。」
「僕もみんなを愛しているよ。」

だからどうか、長生きして欲しい。
出来ればずっと、僕よりも長く。
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