【加筆修正済】貴方に幸せの花束を

かかし

文字の大きさ
46 / 51
後編

信じれるものが何一つなかった!(※残虐描写有)

しおりを挟む
「今からいう話は、到底信じられないかもしれないけれど………」

その前置きでドミニク様が話しだした内容は、確かに信じられないものだった。
それは、ドミニク様が僕と同じで巻き戻っていたから………というのも勿論あったのだけど、それ以上に信じられないと思ったのは、ドミニク様が語る僕への感情だ。
僕が出した手紙が処分されているんだろうなということは、何となく察してはいた。
普通に考えて恋人のストーカーのクセに伴侶の座に収まっているような図々しい男が送った手紙を、恋人に渡したくなんかないよねって思ってた。

『私が留守を任されているの。メイド長も家令も皆知ってるわ。』
『どんな手を使ったのか知らないけど、私は学生の頃からドムの恋人だったのよ!?なんでアンタみたいな奴が………!』

あの人は美しい顔を歪ませて、僕を何度も何度も箒で叩いた。
それを使用人の人達は、楽しそうに見ていた。
誰も僕に手を差し伸べてくれなかった。
同情の瞳すら、向けてくれなかった。

やがて箒が折れてしまったタイミングで、僕は王令を持った兵士達に連れ去れた。

そして訳も分からないまま、僕の目の前では僕の家族を、そして家族同然に優しく接してくれていた使用人達を全員殺していった。
王は何かを言っていたけれど、何を言っていたのかは分からなかった。
分かりたくも、なかった。
ただ潰えていく命を見ていられなくて抵抗すれば、兵士に殴られ、王の目の前で嬲られた。
は、そんな僕を見て楽しそうに笑った。

―――嗚呼、僕は皆から嫌われていたんだな。

心が折れてしまった僕がそう思うには、十分過ぎた。
ドミニク様が、僕じゃない人を愛していたのが苦しかった。
学友になれていたと思っていたレオナルド王が、僕を笑って楽しんでいるのが悲しかった。
何より、顔も名前も知らないドミニク様じゃない人に、家族達の死体の前で僕の身体が好きにされていることが、死にたくなる位に嫌だった。
それなのに、それなのに………!

「そんなの信じない………」
「ルイ、私は………」
「それじゃあ僕の家族は、そして僕は、!?」

レオナルド王が言ってたことは覚えてないけど、でもきっと、ドミニク様の為だと思っていた。
友人の恋の為に、邪魔な僕を排除する。
先王の命令で結ばれた結婚なのだから、何もおかしくない話だ。
でもドミニク様が僕を好きだったのだとしたら、何もかも前提が崩れてしまう。

「彼女が来た日、誰も僕を助けてくれなかった。皆僕を笑っていた!」
「まさか、お前も………」
「彼女と貴方は愛し合っているのだと、誰も彼もが言っていた!」
「違う!俺はずっと、ルイ、君だけを………」
「知らない!だって、のだから、じゃないか!」

加害されながら言われた言葉は、僕の心に深く沁み込んでいく。
傍に居ない、言葉も聞けない貴方に助けを求めることもできない。
否、助けを求めて送った手紙はあった。
しかし貴方に届かなかった。
でも僕は届くことすらなかったことを知らなかったのだから、無視されたのだとしか思えないじゃないか。
信じたかったけど、信じれるものが何一つなかった!

「すまない。本当に、申し訳ないと思ってる。俺を恨んでも仕方ないと、分かってる。今でも、君の死に顔を思い出しては後悔している。君に頼られたい、格好良い所を見せたい。そんな子供のような理由で出陣要請を受けたことを、本当に後悔している………君に相応しい雄になりたいと、君に初めて会った時からずっと思っていたのに………」

そんなのは知らない。
聞きたくないと首を横に振る。

「俺という存在そのものが君に相応しくないと理解して、時間が巻き戻った今世で関わることすら出来なくなって。それでも我慢すべきだと。そうすることで君は幸せになれるからと。でも、でもどうしても………」

ドミニク様が涙を流す。
僕も泣いていた。
ずるずると、力を失ったようにドミニク様はしゃがみ込んだ。

「君に俺の手紙を、受け取って欲しかった………!」

僕だって、受け取りたかった。
僕だって、受け取って欲しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

処理中です...