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第二章 普通の女の子の筈でした……

3本目

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「あいつって自分が邪魔者だって気付いてないんかね?」

「気付いて邪魔してんじゃね? 性格悪そうだもん」

「ありえるー! 幼馴染だってだけで自分のレベルが高いとか勘違いしてそー!」

 委員会の仕事が長引いて教室に入ろとしたら聞こえてしまった。あの3人はよく噂しているって聞いたことがあったけど本当だったんだ。

 わたしは胸の真ん中がすごくズキンって痛くなった。

 わかってるよ、言われなくっても。わたしが一番わかってるよ。わたしがあきらめきれないから離れられない。
 でもせめて二人から付き合うって言われる日くらいまで一緒にいさせてよ。


 気づいたら下駄箱で靴を履き替えていた。鞄は……明日でいっか。あーあ、まーくんとなーちゃんに黙って来ちゃった。明日何か言われちゃうな。


わたしはとぼとぼと通学路を歩いている。このまま帰ってもやる事無いし、もしかしたら二人が来ちゃうかも……なんだか今日は顔を合わせ辛い。

 わたしはちょっと気まぐれていつもと違う道を歩き出していた。

「あれ? こんな所に神社なんてあったんだ」

 いつもと違う道でいつもと違う物を発見。わたしは何となくそこに立ち寄る事にした。

 鳥居を潜ると境内は無人……だけど手入れは行き届いていて綺麗だった。わたしは何となく社務所だっけ? ……御守りとか売ってそうな建物だけど今は空いていない……の前にあるベンチに座ると、何となくスマホを見た。

「あ、WEB小説が更新されてる」

 わたしはいまWEB小説にハマっている。放課後、いろんなお店に寄りすぎてお小遣いがピンチの時も退屈を紛らわせてくれる心強い味方なのだ。

 今、わたしのお気に入りなのは……

『転移したら異世界ではじまる黒幕ライフ~反動でゲーム知識よりも万能魔力を選んだ俺は現実世界をもねじ伏せる~』

 ……っていうの。

 もうすぐアニメがやるみたいだからすっごく楽しみ。
 単行本の方にWEB小説にはない書き下ろしがあるから、読みたいんだけどお小遣いが足りないから読めないんだ。

 わたしはお気に入りの小説を夢中になって読み始めた。

「あーおもしろかった」

 更新されていたお気に入り小説だけじゃなくて、ついつい新しい小説を開拓してたらあっという間に時間が過ぎちゃった……もう夕方になっちゃうね。

 既に周りはオレンジ色の光が差し込んで夜の訪れを予告している。

「明日はまた笑って二人に会えるかな?」

 口に出したけれど不安になってしまった……ふと、わたしの視界に拝殿が目に入った……参拝していこうかな?

 特に信仰深いわけでもないけれど、わたしはそこへ向かうとお財布から100円を取り出して賽銭箱に入れた。そして鈴をガラガラ鳴らすと手を合わせて目を閉じた。

 きっと作法とかあるんだろうけど大丈夫だよね? きっと神様は心が広いに違いないよ。さて……えーと、何をお願いしようかな?

 本当はお願いしたい気持ちは分かっているのに何となく気持ちを誤魔化してしまう。ふと、さっき見た小説が思い浮かんだ。

 どうか異世界に転生出来ますように……なんてね、今のは無しです。

 頭の中で冗談を思い浮かべたわたしに突然声が聞こえた。

『その願い叶えてしんぜよう』

「え?」

 周りを見渡したけれど誰もいなかった……確かに聞こえたよね? なんだか怖くなってきちゃったよ。
 わたしは念の為にもう一度お賽銭を入れ「さっきのは無しです」とお祈りし直したけれど、今度は何も聞こえなかった。


 神社を後にして家に向かっていると後ろから足音が聞こえてくる。

「あーちゃん!!」

 ほんとうは聞きたいけれど、聞きたくなかった声に振り返ると……



 ……そこには息を切らせて走ってくるまーくんがいた。
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