【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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ゆうとの再会

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アズサは、カインが出発する日の朝にもらった紙を読んでいた。

そこには、馬のお世話に関する注意事項やお世話リストとなるものがあった。

そして小さなメモ用紙に、俺がいない間よろしく頼む。無理はしないでくれ。と

走り書きで書かれていた。急ぎの仕事で、忙しかっただろうに、

私へのメッセージをくれるなんて。私はうれしくなった。

さてと、馬のお世話を始めよう。まずは、馬糞の片付けからか。

その前にお馬ちゃんたちに挨拶をしよう。おはよう。これから君たちのご主人が

帰ってくるまで、よろくね。と話すと馬は、「ヒヒーン」と鳴いた。

人の話す言葉がわかるのかしら。二頭のうち、一頭はカインが乗っていった。

この子は女の子かしら。名前はあるのかなと考えていると、その馬は私の手に

鼻を擦り付けてきた。栗色の毛をした、目がクリっとしていて、かわいい。

思わず、マロンと呼んでしまった。すると、「ヒヒーン」とまた鳴いた。

私がお世話するときだけでも、マロンって呼ぼう。名前があったほうがいいもんね。

そして、馬糞やわらの掃除をして、えさをあげ、馬小屋のお世話を終えると、

すでに三時になっていた。私は汗だくになっていた。

腰が痛い。普段はOLしていたから、デスクワークばかりで、立って作業すること

なんかなかったから辛い。ゆっくりお風呂に入りたいな。ゆうと行った温泉

気持ちよかったな。ゆう・・・また、ゆうのことを考えてしまっていた。

なかなか忘れられそうにないなと自己嫌悪になる。汗もかいたし、シャワーでも

浴びよう。久しぶりのシャワーは気持ちよかったし、少し心もスッキリした

ようだった。

何もわからないまま、馬小屋でイケメンに発見され、剣を突き付けられ、倒れて、

魔法使いとかいうセクハラおじさんに目にキスをされと慌ただしい日を過ぎて、

やっと一人の時間ができた。カインがいくら優しくても私にとっては知らない人には

変わりがない。やっぱり、今更ながら気を張っていたのだと気づく。気分転換する

ために、少し外の空気を吸いに行こう。私は、扉を開け、外に出て、たくさんの

空気を吸い込み、深呼吸した。

「もしかして、梓なのか?」

とよく聞き慣れた、私が大好きだった人の声がする。

私は、とうとう幻聴まで聞こえるなんて重症だなと思い、振り返ってみると、

そこにはゆうがいた。

「なんで。なんでゆうがいるの。」

私は、聞くのと同時に、ゆうに抱き着いていた。知らない土地で自分を知って

いる人がいるという事実がうれしくて仕方なかった。本当は、辛くて、寂しかった。

ゆうに抱き着くと、色々な感情が生まれてくる。冷静に考えれば、ゆうに振られて

いるのでこんな状況はおかしい。

けれど、抱き着くしかなかった。ゆうは、昔のように優しく頭を撫でてくれた。

私は落ち着きを取り戻した。

「梓まで、なぜここにいる?俺だけじゃなかったのか。」

ゆうは、今までの状況を話し出した。
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