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「ムカつくって……」
「ヘラヘラしちゃってなんなの、君無理なんじゃなかったっけっ、」
ん?そういう感じ?
「無理ですよ。ただ…ある程度のコミュニケーションはハプバーで学ん」
「伏せろよ全く」
おいおい、昨日あんなヤバイことしたヤツがよく言うよ。
「はい、すみません」
かなり不機嫌にそっぽを向いた社長。
てか、学んでも実際に役に立てられたことなんてなかったよ、目的以外で発揮。あそこでは俺なんて最早空気ってくらい場が濃厚だもんね、こっちがいじけそうだ。
しかし、改めて噛み締めても良いんじゃないか、日常ではどうやらかなりいけるよ、と切り替える。
本当はそんなに上手く出来た訳じゃないだろうに。
平原さんが「あれ~?」と、呑気に商品を運んできた。
「お仕事するんですか?」
「…ごめんね、忙しくて。ちょっと社長に報告を」
「そうなんですね~」
「報告?」とこちらに向き直った社長の間に入った平原さんに、むしろ空気は読めるタイプかもしれないなと思ったが、社長はついに舌打ちをした。
が、雑踏に紛れたらしい。平原さんはいたくマイペースにハンバーガーの包みを開け、「見ても大丈夫ですか?」と律に確認を取ってくる。
「うん。今後だと思うから、むしろ聞いて欲しいかな」
「はぁい」
「報告って?」
「はい。昨日のセミナーの中で、いくつかコンタクトがあったんですが、」
流石に社長は平原さんに「こっち、」と自分の席を立ち促したが、平原さんもわりと良いタイミングで座り直してくれた。
ふふ、多分この新人ちゃんに社長は今後もやきもきするだろうと、少しだけ良い気分になりつつも、律は至極淡々と「この5社が申し出てきまして、」と続ける。
「私的には3社、一応絞りました。こことこことここです。如何でしょう?」
「ふむ…」
社長はペースを戻し「まず外した2社から資料見せてよ。りっちゃん的理由も」と指示してくる。
一気に集中してりっちゃんに気付いてないなこの人。チラッと平原さんと目が合った…ような。
「はい。
こちらの後藤製造さん、ですが、昨日のスポーツ用品店と被るし、業績が安定していません。
中堅ですし買収は簡単でしょうが、この不安定さ、どうやら社長の後藤氏は社員に凄く投げっぱなしなタイプみたいなんですよ。
経理も追い付いてないからこうなる、というのが私の印象で…我が社の方針にも合わないかな…と」
「…OK。次は?」
「逆にササハラフーズさん。
ざっと調べたら業績も安定しているし結託は固い。しかし、拘りが年々強くなりコスパがあまり良くない。
こういうコアなところもいいとは思いますが、そのわりに…私には正直…社訓がよく見えてきませんでした。
健康志向からジャンクフードから…打っている広告がこちらで…なんというか」
「あ、出た、テレビで紹介されたシリーズ。なのにタレントの顔にモザイク掛けるやつね。怪し~よねこれ」
「実際調べたところ、ちゃんとはしていました。ただ、PRにコストを掛けないのか…良さがわからない」
「なるほど言いたいことはわかった。いいよ、りっちゃんに任せる。3社で詰めちゃって。最終は予算を考えて1社絞りかなぁ、ウチ的に」
「あ、そうですか…」
社長もはっ、と気付いたらしく、平原さんを見やる。
当の平原さんは、まずは大人しく聞いている、というスタイルを見せていた。
「…詰める前に、簡単な説明をお願い出来るかな」
「はい、わかりました…。
こちらのエレクトリックコジマ。この会社は創設したばかりでした。
レーザープリント等、光学系の…グッズ屋さんですね。新しい会社ですし、1,2件仕事を頼んで判断しても良いかなと思いました。製品を頂いたので、帰ったらお見せ致します。個人事業主なので、ちょっとした依頼が多いらしく、頑丈でしたよ。
例えばこれ。ライブTシャツなんですが、…ライブTシャツって結構、量産型って薄いらしいんですけどね、」
「あ!それ、結構わかります!」
お、好感触だな。平原さんが自ら入ってきた。
「あれですよね。インディーズバンドで少量、例えば100枚くらいとかを限定で作るアーティストのTシャツって、結構生地が厚くてなんか安心するけど、量産するアーティストって薄くて…透けて見えちゃいそう!とかよくあります」
「…なるほど、そんなことがあるのか」
「はい。あぁ、月曜日で良いですか?どっちのタイプも持ってるんで、参考になるなら持ってきます。こちらの会社さんじゃないかもだけど…」
「うん、わかった」
…こんな感じ?
と目線で訴える新人ちゃんに「ありがとう平原さん」と褒める。初めてにしては良い。
「利用者がいると凄く説得力があるよ。
思ったことがあったら言ってね。全部説明するけど、後に1社まで詰めるのは平原さんだからさ。社長も、平原さんの意見を大事に参考にして、最終決定するから」
それには社長もちゃんと、平原さんに向けうん、と頷いていた。
「ヘラヘラしちゃってなんなの、君無理なんじゃなかったっけっ、」
ん?そういう感じ?
「無理ですよ。ただ…ある程度のコミュニケーションはハプバーで学ん」
「伏せろよ全く」
おいおい、昨日あんなヤバイことしたヤツがよく言うよ。
「はい、すみません」
かなり不機嫌にそっぽを向いた社長。
てか、学んでも実際に役に立てられたことなんてなかったよ、目的以外で発揮。あそこでは俺なんて最早空気ってくらい場が濃厚だもんね、こっちがいじけそうだ。
しかし、改めて噛み締めても良いんじゃないか、日常ではどうやらかなりいけるよ、と切り替える。
本当はそんなに上手く出来た訳じゃないだろうに。
平原さんが「あれ~?」と、呑気に商品を運んできた。
「お仕事するんですか?」
「…ごめんね、忙しくて。ちょっと社長に報告を」
「そうなんですね~」
「報告?」とこちらに向き直った社長の間に入った平原さんに、むしろ空気は読めるタイプかもしれないなと思ったが、社長はついに舌打ちをした。
が、雑踏に紛れたらしい。平原さんはいたくマイペースにハンバーガーの包みを開け、「見ても大丈夫ですか?」と律に確認を取ってくる。
「うん。今後だと思うから、むしろ聞いて欲しいかな」
「はぁい」
「報告って?」
「はい。昨日のセミナーの中で、いくつかコンタクトがあったんですが、」
流石に社長は平原さんに「こっち、」と自分の席を立ち促したが、平原さんもわりと良いタイミングで座り直してくれた。
ふふ、多分この新人ちゃんに社長は今後もやきもきするだろうと、少しだけ良い気分になりつつも、律は至極淡々と「この5社が申し出てきまして、」と続ける。
「私的には3社、一応絞りました。こことこことここです。如何でしょう?」
「ふむ…」
社長はペースを戻し「まず外した2社から資料見せてよ。りっちゃん的理由も」と指示してくる。
一気に集中してりっちゃんに気付いてないなこの人。チラッと平原さんと目が合った…ような。
「はい。
こちらの後藤製造さん、ですが、昨日のスポーツ用品店と被るし、業績が安定していません。
中堅ですし買収は簡単でしょうが、この不安定さ、どうやら社長の後藤氏は社員に凄く投げっぱなしなタイプみたいなんですよ。
経理も追い付いてないからこうなる、というのが私の印象で…我が社の方針にも合わないかな…と」
「…OK。次は?」
「逆にササハラフーズさん。
ざっと調べたら業績も安定しているし結託は固い。しかし、拘りが年々強くなりコスパがあまり良くない。
こういうコアなところもいいとは思いますが、そのわりに…私には正直…社訓がよく見えてきませんでした。
健康志向からジャンクフードから…打っている広告がこちらで…なんというか」
「あ、出た、テレビで紹介されたシリーズ。なのにタレントの顔にモザイク掛けるやつね。怪し~よねこれ」
「実際調べたところ、ちゃんとはしていました。ただ、PRにコストを掛けないのか…良さがわからない」
「なるほど言いたいことはわかった。いいよ、りっちゃんに任せる。3社で詰めちゃって。最終は予算を考えて1社絞りかなぁ、ウチ的に」
「あ、そうですか…」
社長もはっ、と気付いたらしく、平原さんを見やる。
当の平原さんは、まずは大人しく聞いている、というスタイルを見せていた。
「…詰める前に、簡単な説明をお願い出来るかな」
「はい、わかりました…。
こちらのエレクトリックコジマ。この会社は創設したばかりでした。
レーザープリント等、光学系の…グッズ屋さんですね。新しい会社ですし、1,2件仕事を頼んで判断しても良いかなと思いました。製品を頂いたので、帰ったらお見せ致します。個人事業主なので、ちょっとした依頼が多いらしく、頑丈でしたよ。
例えばこれ。ライブTシャツなんですが、…ライブTシャツって結構、量産型って薄いらしいんですけどね、」
「あ!それ、結構わかります!」
お、好感触だな。平原さんが自ら入ってきた。
「あれですよね。インディーズバンドで少量、例えば100枚くらいとかを限定で作るアーティストのTシャツって、結構生地が厚くてなんか安心するけど、量産するアーティストって薄くて…透けて見えちゃいそう!とかよくあります」
「…なるほど、そんなことがあるのか」
「はい。あぁ、月曜日で良いですか?どっちのタイプも持ってるんで、参考になるなら持ってきます。こちらの会社さんじゃないかもだけど…」
「うん、わかった」
…こんな感じ?
と目線で訴える新人ちゃんに「ありがとう平原さん」と褒める。初めてにしては良い。
「利用者がいると凄く説得力があるよ。
思ったことがあったら言ってね。全部説明するけど、後に1社まで詰めるのは平原さんだからさ。社長も、平原さんの意見を大事に参考にして、最終決定するから」
それには社長もちゃんと、平原さんに向けうん、と頷いていた。
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