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てゆうか、色々目につき始める。
社長がふと窓のカーテンを開け「あ、見て駒越くん」と言うのもそう。
めちゃくちゃ良い部屋…とってる、多分。
自分は数回しかラブホテルに来たことがないが、なんたるセレブリティだ、こんな…よくわからない広さの部屋、シックで、でもふわふわしてそうなベッドとか…あの然り気無さでよく選んだものだ。
いや、自分が完全に呑まれ流されてしまっているのか?うん、そうだろうけど…。
圧倒される。
「ねぇ、あれ」
あぁ、そうだったと、「はい?」と外を眺めれば、社長は夜景を眺め「こうして見ると、綺麗なんだよねぇ」と染々と言った。
ごちゃごちゃしているけれど、どこか統一性のある街の光、まるで星空を足下に敷いたような。
太陽も溶けてしまったんだろうかと、「そうですね」と返した。
こんな時に、こんな小さな事を言われたのは初めてだった。
今度は自分から、自然と社長にキスをしてみた。
絡み合う吐息が暖かい、確かに気持ちいいと、少し夢中になったところで腰に逞しい腕が回った。
社長の網膜がギラギラになって、だからそう、「すみません、ご飯、食べましょ」と目を反らしてしまう。
何も始まっていないうちに、いや、始まってないからこそ、どうしてか寂莫が胸に広がる。
「…いじらしいなぁ」
自分のセンチメンタルをこの人は知らない。
いっそそれなら、もうこの心にとどめを刺して貰おう、この人に。
無垢に、純粋に、ただの事象として。そうすればもう、息を吹き返さなくて良い。
こんなことを考えているなんて、どこまでも自分勝手で、自意識過剰だ。でも、相手がそれを知らないのならもう、いいか。
社長と、お洒落な夕飯を食べた。料理名はわからなかったが、女の子が好きそうなどこかの国の料理。葉っぱが多かった。
それからシャワーを浴びてさっぱりとした。
だが、死ぬ前の恐怖のようなものを感じるくらいには、まだ自分は人の形をしていたんだなと、それから俯瞰になる。
髪は乾かすべきなのかと洗面所に立ったとき、バシャバシャと浴槽にお湯を張る音までした。
盛り上がっているようで、すみません……。ガラス張りを見れずに俯く。
それからソファで待って、出てきた社長はやはり「はー!さっぱりさっぱり!」と、自分とは裏腹なテンションなようだった。
トン、と当たり前にベッドに座った社長は「さて、」と、律を射抜くように見てくる。
「…………」
社長の佇まいは力を抜いていてフラットだ。何も身構えていない余裕そうな態度も器を感じる。
社長が「どうぞ、おいで」と言うのにドキドキした。
これはよくわからない恐怖もあるけど、興味もある。
「…社長、」
観念し律はソファから立ち上がる。
「心の準備は出来たかい?」
「…はい、」
さあ来い、と構える社長に「社長、」と、声が消え入りそうになった。
「…ん?」
「……社長、覚えているかはわかりませんが、俺は男なんですよ」
「…ん?」
何言ってんの?と怪訝に言う社長を前にして、律は一つ息を吐き、バスローブの結びをほどいた。
「…………!」
…凄く驚いてる。目が真ん丸だ…。
てか、え?待って、確かにわかってたけど、そんな驚く?傷付くなぁ…。
社長は口元を緩くおさえ、「うーん……」と、喉の底から唸るような声を漏らした。
律の爪先から頭のてっぺんを眺めた社長はふと、驚いていたそれから少しだけ表情筋を緩め「綺麗だね」と言った。
…ん?
………え?
変な間になってしまったその空間で「あれぇ?」と社長の表情筋はさらに緩まる。
…いや、もしかしてパンツ履いてるからなの?
我ながら的外れなことを考えて、つまりは面食らってしまった状態で言葉が出なかったのだが、社長はまるで、耐えきれないとばかりに「ふはっ、」と吹き出して顔を背けた。
「…意外と積極的でビックリしたんだけど…っ、なんで今君が面食らってんのさ、」
「……え、」
わぁ…。
意味がわかるとじわじわ、じわじわと羞恥が中火になり「いや、」と取り繕い方がわからなくなってゆき。
「あー、ごめんごめん」と言った彼は、笑うのではない穏やかな顔をして「ほら、」と、声とは裏腹に逞しく腕を伸ばし腰に絡めてきて、ぎゅっと引き寄せてくる。
転びそうになり、最早律が社長を押し倒した状態になってしまった。
「あっ、」
無礼講かも、と過る間に社長は「くっくっく、」と、自分もバスローブを開いて前をはだけ、何を思う間もなく律の手を股間に宛がう。
それは、驚くことに若干反応していた。
てゆうか、あぁやっぱり見えてなかったけど社長、ちょっと良い体格してる…。
だなんて観察をし始めれば、宛がわれた手がぐりぐりと動かされた。
「俺も充分男ですが、何か?」
「あ、はぁ……、」
「大丈夫だよ」
穏やかな口調なのに。
ギラギラしてる。
あぁ、この目、好きだ。純粋さの裏にある熱を感じて。
どの情動か、心が壊されそうで痛い、泣きそうになることに驚いている。
社長は何も言わない律の股間に、膝でちょっかいを出してくる。
律が色々追い付かないうちに「はーぁよいしょ、」と、ベッドに引っ張り、社長はそのまま眼前に帰って来た、目が合ってぐいっと引き寄せられまたキスをする。
社長がふと窓のカーテンを開け「あ、見て駒越くん」と言うのもそう。
めちゃくちゃ良い部屋…とってる、多分。
自分は数回しかラブホテルに来たことがないが、なんたるセレブリティだ、こんな…よくわからない広さの部屋、シックで、でもふわふわしてそうなベッドとか…あの然り気無さでよく選んだものだ。
いや、自分が完全に呑まれ流されてしまっているのか?うん、そうだろうけど…。
圧倒される。
「ねぇ、あれ」
あぁ、そうだったと、「はい?」と外を眺めれば、社長は夜景を眺め「こうして見ると、綺麗なんだよねぇ」と染々と言った。
ごちゃごちゃしているけれど、どこか統一性のある街の光、まるで星空を足下に敷いたような。
太陽も溶けてしまったんだろうかと、「そうですね」と返した。
こんな時に、こんな小さな事を言われたのは初めてだった。
今度は自分から、自然と社長にキスをしてみた。
絡み合う吐息が暖かい、確かに気持ちいいと、少し夢中になったところで腰に逞しい腕が回った。
社長の網膜がギラギラになって、だからそう、「すみません、ご飯、食べましょ」と目を反らしてしまう。
何も始まっていないうちに、いや、始まってないからこそ、どうしてか寂莫が胸に広がる。
「…いじらしいなぁ」
自分のセンチメンタルをこの人は知らない。
いっそそれなら、もうこの心にとどめを刺して貰おう、この人に。
無垢に、純粋に、ただの事象として。そうすればもう、息を吹き返さなくて良い。
こんなことを考えているなんて、どこまでも自分勝手で、自意識過剰だ。でも、相手がそれを知らないのならもう、いいか。
社長と、お洒落な夕飯を食べた。料理名はわからなかったが、女の子が好きそうなどこかの国の料理。葉っぱが多かった。
それからシャワーを浴びてさっぱりとした。
だが、死ぬ前の恐怖のようなものを感じるくらいには、まだ自分は人の形をしていたんだなと、それから俯瞰になる。
髪は乾かすべきなのかと洗面所に立ったとき、バシャバシャと浴槽にお湯を張る音までした。
盛り上がっているようで、すみません……。ガラス張りを見れずに俯く。
それからソファで待って、出てきた社長はやはり「はー!さっぱりさっぱり!」と、自分とは裏腹なテンションなようだった。
トン、と当たり前にベッドに座った社長は「さて、」と、律を射抜くように見てくる。
「…………」
社長の佇まいは力を抜いていてフラットだ。何も身構えていない余裕そうな態度も器を感じる。
社長が「どうぞ、おいで」と言うのにドキドキした。
これはよくわからない恐怖もあるけど、興味もある。
「…社長、」
観念し律はソファから立ち上がる。
「心の準備は出来たかい?」
「…はい、」
さあ来い、と構える社長に「社長、」と、声が消え入りそうになった。
「…ん?」
「……社長、覚えているかはわかりませんが、俺は男なんですよ」
「…ん?」
何言ってんの?と怪訝に言う社長を前にして、律は一つ息を吐き、バスローブの結びをほどいた。
「…………!」
…凄く驚いてる。目が真ん丸だ…。
てか、え?待って、確かにわかってたけど、そんな驚く?傷付くなぁ…。
社長は口元を緩くおさえ、「うーん……」と、喉の底から唸るような声を漏らした。
律の爪先から頭のてっぺんを眺めた社長はふと、驚いていたそれから少しだけ表情筋を緩め「綺麗だね」と言った。
…ん?
………え?
変な間になってしまったその空間で「あれぇ?」と社長の表情筋はさらに緩まる。
…いや、もしかしてパンツ履いてるからなの?
我ながら的外れなことを考えて、つまりは面食らってしまった状態で言葉が出なかったのだが、社長はまるで、耐えきれないとばかりに「ふはっ、」と吹き出して顔を背けた。
「…意外と積極的でビックリしたんだけど…っ、なんで今君が面食らってんのさ、」
「……え、」
わぁ…。
意味がわかるとじわじわ、じわじわと羞恥が中火になり「いや、」と取り繕い方がわからなくなってゆき。
「あー、ごめんごめん」と言った彼は、笑うのではない穏やかな顔をして「ほら、」と、声とは裏腹に逞しく腕を伸ばし腰に絡めてきて、ぎゅっと引き寄せてくる。
転びそうになり、最早律が社長を押し倒した状態になってしまった。
「あっ、」
無礼講かも、と過る間に社長は「くっくっく、」と、自分もバスローブを開いて前をはだけ、何を思う間もなく律の手を股間に宛がう。
それは、驚くことに若干反応していた。
てゆうか、あぁやっぱり見えてなかったけど社長、ちょっと良い体格してる…。
だなんて観察をし始めれば、宛がわれた手がぐりぐりと動かされた。
「俺も充分男ですが、何か?」
「あ、はぁ……、」
「大丈夫だよ」
穏やかな口調なのに。
ギラギラしてる。
あぁ、この目、好きだ。純粋さの裏にある熱を感じて。
どの情動か、心が壊されそうで痛い、泣きそうになることに驚いている。
社長は何も言わない律の股間に、膝でちょっかいを出してくる。
律が色々追い付かないうちに「はーぁよいしょ、」と、ベッドに引っ張り、社長はそのまま眼前に帰って来た、目が合ってぐいっと引き寄せられまたキスをする。
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