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社長は何故かニコッと、まるで子供のように笑い「そうなんだぁ!」と言った。
え、なんか、え?
いつもの、大人のクールな男、みたいなイメージが途端に崩壊した。
…なに?これ。
「え、不倫じゃなかったらいいんだよね?」
「は?」
「まぁそうだよね~なるほどやっぱりそういうことか…」
何かを一人で納得した社長は急にあの、仕事中のキリッとした顔をして「ちょっと着いて来てくれない?」と言った。
「は、」
「…こんなとこいても仕方ないでしょ。
君、彼氏は知ってるの?」
はっとした。
あっ。
この人いまなんか企んだ、多分。
そう納得すればその表情はただただ、ゲスな物に変わって見えてくる。
「…なんですか、」
「あの、病院のときにいた子。そうでしょ?」
違いますよ。
と言える余裕すらなく、ただただキョトンとしてしまえば、ふいに優しそうに「いやごめん、」と、社長は髪に触れてきた。
「そーゆーわけでも、ないわけね…」
「……別れたのでっ、」
あっ。
…もー、いーや、なんか…。
「あ、そう?まぁ、そうだよね、浮気はよくないし」
社長は満足そうに踵を返し「いつまでいるの」と煽ってくる。
なんなの、なんなのこの人!と不信でいれば「俺もそーだよ」と、社長は爽やかに告げてきた。
「離婚した」
…それを聞いたら、何故だかふらっと。
とにかく確かにと、社長に従いついつい、着いて行ってしまったのだ。
「あぁ、駒越くん」
「…はい、」
多分自分はいま、狼に狙われた子羊のようだろう…。
「飯食った?」
「…いえ、」
「何か食いたいもんある?」
…なんだ?その質問。
「いや…」
「あっそう。じゃあいいか。現地で」
現地で?
社長は側のラブホテルの前で外装を一眺めし、「さ、行こ」とそのまま躊躇いもなく人目も憚らず入ってしまった。
……確かに。
同級生もそうだ、別にゲイではないけれど、最終的にペニスは咥えていた。
そしてそれからも特に変わらずゲイではなかった。
そう、確かにあの空気はそれがある。自分はそれすらも呑まれて乗れないけれども。
尚更あの空気にやり場がなくなる、というところまで行けば流し、相手を絞ることが出来るほど排他的になれる、ただそれだけのことではあるが。
まず、何をトチ狂ってしまったのかと「社長、」エレベーターで聞いてみることにした。
真相が全くもって、わからない。
「ん?何?」
「…なんでこうなってるんです?」
「なんでって、流れでしょ普通に」
いや。
なんだかそれには引っかかる。
「…流れで俺を抱こうだなんてなりますか?普通」
「あ、確認しようかなって思ってたところをありがとう。うん」
「どうして?」
「んー、そろそろめんどくさくなってきたなぁ」
え。
「…ですよね、」
「取り敢えず任せてくれるってのは、無理そう?」
「…え、」
なにそれ…。
え、なんかそれ、ちょっとぎゅっとなった自分、え、何これ一体。
未体験の感覚。
「問題は全部解決したはずなんだよなぁ、不倫OK男OKと」
…あぁ、混乱しちゃって見失いそうだった。あれ、ホントだ。然り気無く問題は対処されている…。
「いや、一個だけ。社長、そっちの方ではないですよね」
「んーじゃあ、なかった、で」
いやいや…。
問題の根本的な解決になってない。
「…生理的な問題に直面しますよ」
「それって俺は生理的に無理ってこと?」
…そう言われてしまえば………。
優しかったし、自分は社長を少しずつ尊敬もし始めてるし、歳といっても相応にさっぱりした人だし、うーんオシャレ白髪、つまりは容姿に気を掛けられ、またどれが自分に合うかを最適に見極められている人であると思うし、あぁ、体格は見えないけど多分良いように見えなくないな。
そうと捉えたことはなかったが、例えばじゃあこの人で抜こうとしたら、イケるだろうなとは思った。
「……え、ダメなの?」
あまりに間が長かったせいか、社長が若干ショックを受けた顔でこちらを見る。
「え、いや、大丈夫ですよ全然」
真面目に答えてしまったが、あれ、これは了承しちゃったんではないかと思えば「なんだよかったよ~」と安心したようだった。
エレベーターが止まる。
延長線上で過ってしまった。
ふとしたとき子供みたいな顔をする、キラキラしていて憧れもあるノーマル。
デジャブならしつこいくらいだ、このステータスは…。
それに気付けば「わかりましたよ」と一度言うことにして。
暗い気持ちが過ったままに部屋へ着けば「まずはキスしていい?」と、社長はマイペースに聞いてきた。
目がキラキラしている。
特に返事も出来ないままだし社長も待っていなかったようで、唇が触れ合った、そして舌の裏まで舐められ、吸われ、それに答えとついつい受け身になれば生理現象で照れる。
こちらが俯いてもまたそれを捕らえてくるのにもう、なるようにしかならないしな…と、考えてもわからない、素直になるしかない、というか考えがどこか、漂流してしまったような気がした。
「…ちょっと、待ってくださいね」
「ん、そーだね。飯食おう」
「はい。シャワーも浴びさせてください、準備したいので」
大まかには済んではいますけど、あんなところにいたくらいですから。
「ん?あ、そう?」
え、なんか、え?
いつもの、大人のクールな男、みたいなイメージが途端に崩壊した。
…なに?これ。
「え、不倫じゃなかったらいいんだよね?」
「は?」
「まぁそうだよね~なるほどやっぱりそういうことか…」
何かを一人で納得した社長は急にあの、仕事中のキリッとした顔をして「ちょっと着いて来てくれない?」と言った。
「は、」
「…こんなとこいても仕方ないでしょ。
君、彼氏は知ってるの?」
はっとした。
あっ。
この人いまなんか企んだ、多分。
そう納得すればその表情はただただ、ゲスな物に変わって見えてくる。
「…なんですか、」
「あの、病院のときにいた子。そうでしょ?」
違いますよ。
と言える余裕すらなく、ただただキョトンとしてしまえば、ふいに優しそうに「いやごめん、」と、社長は髪に触れてきた。
「そーゆーわけでも、ないわけね…」
「……別れたのでっ、」
あっ。
…もー、いーや、なんか…。
「あ、そう?まぁ、そうだよね、浮気はよくないし」
社長は満足そうに踵を返し「いつまでいるの」と煽ってくる。
なんなの、なんなのこの人!と不信でいれば「俺もそーだよ」と、社長は爽やかに告げてきた。
「離婚した」
…それを聞いたら、何故だかふらっと。
とにかく確かにと、社長に従いついつい、着いて行ってしまったのだ。
「あぁ、駒越くん」
「…はい、」
多分自分はいま、狼に狙われた子羊のようだろう…。
「飯食った?」
「…いえ、」
「何か食いたいもんある?」
…なんだ?その質問。
「いや…」
「あっそう。じゃあいいか。現地で」
現地で?
社長は側のラブホテルの前で外装を一眺めし、「さ、行こ」とそのまま躊躇いもなく人目も憚らず入ってしまった。
……確かに。
同級生もそうだ、別にゲイではないけれど、最終的にペニスは咥えていた。
そしてそれからも特に変わらずゲイではなかった。
そう、確かにあの空気はそれがある。自分はそれすらも呑まれて乗れないけれども。
尚更あの空気にやり場がなくなる、というところまで行けば流し、相手を絞ることが出来るほど排他的になれる、ただそれだけのことではあるが。
まず、何をトチ狂ってしまったのかと「社長、」エレベーターで聞いてみることにした。
真相が全くもって、わからない。
「ん?何?」
「…なんでこうなってるんです?」
「なんでって、流れでしょ普通に」
いや。
なんだかそれには引っかかる。
「…流れで俺を抱こうだなんてなりますか?普通」
「あ、確認しようかなって思ってたところをありがとう。うん」
「どうして?」
「んー、そろそろめんどくさくなってきたなぁ」
え。
「…ですよね、」
「取り敢えず任せてくれるってのは、無理そう?」
「…え、」
なにそれ…。
え、なんかそれ、ちょっとぎゅっとなった自分、え、何これ一体。
未体験の感覚。
「問題は全部解決したはずなんだよなぁ、不倫OK男OKと」
…あぁ、混乱しちゃって見失いそうだった。あれ、ホントだ。然り気無く問題は対処されている…。
「いや、一個だけ。社長、そっちの方ではないですよね」
「んーじゃあ、なかった、で」
いやいや…。
問題の根本的な解決になってない。
「…生理的な問題に直面しますよ」
「それって俺は生理的に無理ってこと?」
…そう言われてしまえば………。
優しかったし、自分は社長を少しずつ尊敬もし始めてるし、歳といっても相応にさっぱりした人だし、うーんオシャレ白髪、つまりは容姿に気を掛けられ、またどれが自分に合うかを最適に見極められている人であると思うし、あぁ、体格は見えないけど多分良いように見えなくないな。
そうと捉えたことはなかったが、例えばじゃあこの人で抜こうとしたら、イケるだろうなとは思った。
「……え、ダメなの?」
あまりに間が長かったせいか、社長が若干ショックを受けた顔でこちらを見る。
「え、いや、大丈夫ですよ全然」
真面目に答えてしまったが、あれ、これは了承しちゃったんではないかと思えば「なんだよかったよ~」と安心したようだった。
エレベーターが止まる。
延長線上で過ってしまった。
ふとしたとき子供みたいな顔をする、キラキラしていて憧れもあるノーマル。
デジャブならしつこいくらいだ、このステータスは…。
それに気付けば「わかりましたよ」と一度言うことにして。
暗い気持ちが過ったままに部屋へ着けば「まずはキスしていい?」と、社長はマイペースに聞いてきた。
目がキラキラしている。
特に返事も出来ないままだし社長も待っていなかったようで、唇が触れ合った、そして舌の裏まで舐められ、吸われ、それに答えとついつい受け身になれば生理現象で照れる。
こちらが俯いてもまたそれを捕らえてくるのにもう、なるようにしかならないしな…と、考えてもわからない、素直になるしかない、というか考えがどこか、漂流してしまったような気がした。
「…ちょっと、待ってくださいね」
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