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The 7th episode
6
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「浅井さん、」
駆け寄ろうとした洋巳に、「下手な真似したらこいつ、撃ち殺すよ?」と告げる。
「どっちがテロリストだかわかんねぇな、流星」
潤が笑う。そんな潤を凝視して来栖が、「あんた…!」と喚いた。
「あら、意外なところでこんにちわ、しゃちょーさん」
「どーゆーことよ!?」
「どーもこーも、こーゆーことよ」
潤はゆっくりとこちらへ歩いてきて、来栖の顔の前にFBI手帳を翳した。それを見て、来栖はキョロキョロと、潤の顔と手帳、そして俺の顔を忙しなく見た。
「行政機関なんですよオバサン」
ついでに俺もそっちの手帳を見せておくことにした。これホントはもう効果ないけど。浅井と来栖の間に諦めの色が見え始める。
「つまりそーゆーことか…」
「どういうことか説明してくれない?特にオバサン。あんたは俺に喧嘩売ったんだからね」
今度はケータイを翳す。先程潤を拐った死刑囚、大山海人というジャンキーの写真を見せつけていた。
そして潤は件の注射器と検査薬をポケットから取り出し、見せつけるように目の前で検証する。
その検証は済んだぞ、潤。
「アウトですねー、しゃちょー。これこのジャンキーに打ち込まれそうになったんすけど。
ついでにさぁ、お宅の酒なんか不味いんだよね」
と言って今度は空の注射器と検査薬。
そして潤は自分の血液を採取し始めた。思わず目を背けてしまった。
「やめてください潤。俺そーゆーのも嫌いなんですよ」
「なんで?」
「うるさい、針抜いた?抜いた?」
「抜いた抜いた」
見てみると潤は注射器の針を今抜いたところで。
「うわっ」と人が怯んでる最中に検査薬へ自分の血を突っ込んだ。
反応は陰性。なんの検査薬を果たして持ってきたかは知らないけど。
「アウトですねー。はい、逮捕ですねー」
「何言ってるのよ」
「惚けるのー?笑わせんなよ?あんたのとこの従業員、みーんな言ってるよ?薬を配るんだよね?
でさ、酒に興奮剤かなんか入れてアフターサービス。そこで薬を売り付ける。
ここもそうだよね?」
「知らないわよ…」
「あぁそう、」
潤はそのまま勢いよく来栖の髪を引っ掴んで睨み付けた。睨む、と言うよりメンチを切る、の方が近いか。
霞が思わず「いっ…」と声を漏らす。確かに痛々しい。
「だが残念だったな。俺はな、興奮剤とは相性が悪いんだ。お陰で気絶しちまったよ。ええ?」
なるほど…。
と、こちらが関心しているうちに潤は不適に笑い、次の瞬間、一発来栖の鳩尾をぶん殴った。
来栖から、唸るように声が漏れ出るが、しかし潤を睨むだけの体力はあるようで。
「女を殴るなんてナンセンスな男だね」
「あ?
悪いねジャンキー、俺はジェンダーフリー推奨なんだよっ」
浅井が余計なことを言うので、今度は潤の矛先が浅井に向いたようで。一発顔面をぶん殴って体勢を崩した浅井を、酷く冷徹な目で見下ろし、何度か踏みつけるように潤は蹴っ飛ばす。
仕方ねぇな。
「潤、いい加減にしないか」
このままでは殴り殺すだろう。
拳銃を向ければ一度動作をストップさせ、諦めたように溜め息を吐いた。
てか…。
「お前何で血ぃ止まってないの」
「あ」
さっきからずっと採決箇所からだらだらと、気が散って仕方ないんだけど。
「動脈側ぶっ刺しちゃったよ」
「あぁ、左利きだもんな。じゃなくてな。早く止めない?気が散るんだが」
「わかったよひよっこだなぁ」
そんな俺たちのやりとりに、後輩二人が凄く困惑している。まぁいいや。
タバコを取り出し火をつける。肺に送り込むニコチンが苦い。
「浅井さん、聞きたいんだが、あんた毒薬と麻薬はどうやって手に入れた?」
「ちょっと待てよ」
ふと、従業員のうち一人が言う。
そう言えば忘れていたな。
いかにも草食系男子っぽい、しかしながらそこは墜ちてもホストクラブ。嫌みなく俳優顔の、少し痩せ形でひょろい黒髪の兄ちゃんが話に割って入ってくる。
きっと俳優志望とかなんだろうな。だがちょっと売れない最近のぽっと出の、草食系バンドマン感もあるなぁ。昨日はいなかったけど、こいつ。
昨日いなかったんじゃ、こいつの中ではまるっきりの舞台転換中と言ったところか。
「初めまして。昨日いなかったね君。
昨日からここに入った須和間彗星でーす。まぁ、潜入捜査員だったんだけどね」
「え、お前そんなクソだせぇ名前でやってたの?」
言いたいことは身に染みてわかるが、潤のそれには「うるさい」で一喝。
「昨日いなかったのは君だけだね。あとは洋巳くんと…龍生くんと、太一くん、寿樹くんと稔くんだね。従業員って全8人だよね?一人俺出会ってないんだよね」
そう聞けばみんな口々に黙り込んだ。だが一人、カラフルヘアーの稔が、「アフターっすよ」とか言うので。
「へぇ、そりゃぁ凄いね。昨日も今日も。
ちなみになんていう子?」
「辞めましたよ…」
今度は長髪の寿樹が言う。
「あれ?人によって言ってること違うねそこんとこどうなの浅井さん。
ちなみに?来栖…あぁ間違えた本郷さん。Hestiaの従業員だった向井蓮太くんは俺が検挙まで持ってったよ。こことお宅と會澤組を繋げるのは彼のお陰でもある」
「…會澤組も、あんたが?」
「いやぁ、検挙は違う部署だけどね。まぁそんな無駄話はいいんだよ。
で、その従業員は今どうしてんの?」
「…知らないよ」
「まさかと思うけどさ、お宅も死刑囚使ってないよね?ちなみに今、悪いけど従業員名簿は押さえちゃったよ?」
「いや、知らないよ」
まぁいい。
駆け寄ろうとした洋巳に、「下手な真似したらこいつ、撃ち殺すよ?」と告げる。
「どっちがテロリストだかわかんねぇな、流星」
潤が笑う。そんな潤を凝視して来栖が、「あんた…!」と喚いた。
「あら、意外なところでこんにちわ、しゃちょーさん」
「どーゆーことよ!?」
「どーもこーも、こーゆーことよ」
潤はゆっくりとこちらへ歩いてきて、来栖の顔の前にFBI手帳を翳した。それを見て、来栖はキョロキョロと、潤の顔と手帳、そして俺の顔を忙しなく見た。
「行政機関なんですよオバサン」
ついでに俺もそっちの手帳を見せておくことにした。これホントはもう効果ないけど。浅井と来栖の間に諦めの色が見え始める。
「つまりそーゆーことか…」
「どういうことか説明してくれない?特にオバサン。あんたは俺に喧嘩売ったんだからね」
今度はケータイを翳す。先程潤を拐った死刑囚、大山海人というジャンキーの写真を見せつけていた。
そして潤は件の注射器と検査薬をポケットから取り出し、見せつけるように目の前で検証する。
その検証は済んだぞ、潤。
「アウトですねー、しゃちょー。これこのジャンキーに打ち込まれそうになったんすけど。
ついでにさぁ、お宅の酒なんか不味いんだよね」
と言って今度は空の注射器と検査薬。
そして潤は自分の血液を採取し始めた。思わず目を背けてしまった。
「やめてください潤。俺そーゆーのも嫌いなんですよ」
「なんで?」
「うるさい、針抜いた?抜いた?」
「抜いた抜いた」
見てみると潤は注射器の針を今抜いたところで。
「うわっ」と人が怯んでる最中に検査薬へ自分の血を突っ込んだ。
反応は陰性。なんの検査薬を果たして持ってきたかは知らないけど。
「アウトですねー。はい、逮捕ですねー」
「何言ってるのよ」
「惚けるのー?笑わせんなよ?あんたのとこの従業員、みーんな言ってるよ?薬を配るんだよね?
でさ、酒に興奮剤かなんか入れてアフターサービス。そこで薬を売り付ける。
ここもそうだよね?」
「知らないわよ…」
「あぁそう、」
潤はそのまま勢いよく来栖の髪を引っ掴んで睨み付けた。睨む、と言うよりメンチを切る、の方が近いか。
霞が思わず「いっ…」と声を漏らす。確かに痛々しい。
「だが残念だったな。俺はな、興奮剤とは相性が悪いんだ。お陰で気絶しちまったよ。ええ?」
なるほど…。
と、こちらが関心しているうちに潤は不適に笑い、次の瞬間、一発来栖の鳩尾をぶん殴った。
来栖から、唸るように声が漏れ出るが、しかし潤を睨むだけの体力はあるようで。
「女を殴るなんてナンセンスな男だね」
「あ?
悪いねジャンキー、俺はジェンダーフリー推奨なんだよっ」
浅井が余計なことを言うので、今度は潤の矛先が浅井に向いたようで。一発顔面をぶん殴って体勢を崩した浅井を、酷く冷徹な目で見下ろし、何度か踏みつけるように潤は蹴っ飛ばす。
仕方ねぇな。
「潤、いい加減にしないか」
このままでは殴り殺すだろう。
拳銃を向ければ一度動作をストップさせ、諦めたように溜め息を吐いた。
てか…。
「お前何で血ぃ止まってないの」
「あ」
さっきからずっと採決箇所からだらだらと、気が散って仕方ないんだけど。
「動脈側ぶっ刺しちゃったよ」
「あぁ、左利きだもんな。じゃなくてな。早く止めない?気が散るんだが」
「わかったよひよっこだなぁ」
そんな俺たちのやりとりに、後輩二人が凄く困惑している。まぁいいや。
タバコを取り出し火をつける。肺に送り込むニコチンが苦い。
「浅井さん、聞きたいんだが、あんた毒薬と麻薬はどうやって手に入れた?」
「ちょっと待てよ」
ふと、従業員のうち一人が言う。
そう言えば忘れていたな。
いかにも草食系男子っぽい、しかしながらそこは墜ちてもホストクラブ。嫌みなく俳優顔の、少し痩せ形でひょろい黒髪の兄ちゃんが話に割って入ってくる。
きっと俳優志望とかなんだろうな。だがちょっと売れない最近のぽっと出の、草食系バンドマン感もあるなぁ。昨日はいなかったけど、こいつ。
昨日いなかったんじゃ、こいつの中ではまるっきりの舞台転換中と言ったところか。
「初めまして。昨日いなかったね君。
昨日からここに入った須和間彗星でーす。まぁ、潜入捜査員だったんだけどね」
「え、お前そんなクソだせぇ名前でやってたの?」
言いたいことは身に染みてわかるが、潤のそれには「うるさい」で一喝。
「昨日いなかったのは君だけだね。あとは洋巳くんと…龍生くんと、太一くん、寿樹くんと稔くんだね。従業員って全8人だよね?一人俺出会ってないんだよね」
そう聞けばみんな口々に黙り込んだ。だが一人、カラフルヘアーの稔が、「アフターっすよ」とか言うので。
「へぇ、そりゃぁ凄いね。昨日も今日も。
ちなみになんていう子?」
「辞めましたよ…」
今度は長髪の寿樹が言う。
「あれ?人によって言ってること違うねそこんとこどうなの浅井さん。
ちなみに?来栖…あぁ間違えた本郷さん。Hestiaの従業員だった向井蓮太くんは俺が検挙まで持ってったよ。こことお宅と會澤組を繋げるのは彼のお陰でもある」
「…會澤組も、あんたが?」
「いやぁ、検挙は違う部署だけどね。まぁそんな無駄話はいいんだよ。
で、その従業員は今どうしてんの?」
「…知らないよ」
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「いや、知らないよ」
まぁいい。
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