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The 9th episode
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オムライスを食べ終えて、祥ちゃんが食器を片付けてくれた。流石に申し訳ないので、片付けくらいは「やるよー」と言うが、「いいです、潤は割るので」と一蹴されてしまった。
「なんだよー、流石に申し訳ないじゃない」
「まぁ、仕方ないよね、潤だもん」
「俺だって何かの役に立ちたいー!」
「病んでるねー。どうしたの今回は」
「言わねぇし」
「いや俺、潤の話聞くの好きなんだよなー。
『あのクソ死ね!』とか『なんなのあのクソガキ。こんなんも出来ないとか死ねよ』とかさ」
「悪趣味だなぁ。てか俺そんな悪口言ってる?」
「言ってる言ってる。7割りくらい愚痴だよ。
けどスカッとするから好きだよ、それ」
「あ、それ」
流星にも言われた。
「流星にも言われたよ今日。てゆーかさ、あいつ鉄面皮って自覚あったんだけどマジウケるー」
「あぁ、なんだけ、同期で突然上司になった奴だっけ?そいつ」
「そうそう」
洗い終えてふと、祥ちゃんはベットに座った。
「てか潤、眠くないの?」
「眠い眠い。けどさー、人前で寝れないよねー」
「タチ悪いもんね潤の癖。居てやるから寝たら?寝るまでその話聞かせてよ」
そう言ってくれたので、甘えて俺も取り敢えずソファからベットに移動して寝転がった。
「今日はね、夜勤明けに高尾山に行ったよ」
「へぇ」
「政宗と流星と。傷心旅行ってか反省会。仕事で大ミスこいちゃってね。もーやってられるか!って」
「はっはっは、なんだ、案外仲良いじゃん」
「違うよ。流星がすっごいなんかさー、もう…話したくもないような、なんか暗ーい話し始めてさ、『いっそ山に埋めてくれ!』とか言うからさー。俺が提案したの」
「で、連れてってもらったの?」
「そう。
…なんかね、政宗…しばらく留守にするとか言い出してさ。だから拾ってきた野良猫預かってって。それに流星ガチギレ。もうやんなっちゃう」
「うん、そうか」
そう言って手を握ってくれる祥ちゃんの体温が、珍しく俺より低くて。
「今日疲れてんな」
「うん、まぁ…」
「休みならゆっくり休めよ。潤は無理すると面倒だから」
ゆったりと紡ぐ、滑らかな耳障りの低い声。
それだけで、安心して、いつの間にか意識が微睡んで。
「おやすみ、潤」
頭を撫でてくれるその手が。
「いい夢、見れそう」
逆に非現実的だな。
俺の現実ってそう、本当はこれだけ平和だったのかな。目を瞑ってみて少しだけ考えてみる。
25年の人生で恐らく、祥ちゃんといる時間は幸せな分類に入るかも。とくに何もない時間、それが凄く、なんか落ち着く。
「ふー」
「なんだよ、起きてたの」
「うーん」
でも祥ちゃんは、俺を知らない。
だから凄く、
「落ち着く」
「そりゃよかった」
あぁ、寝れる。
もう少しで、多分…。
ベットスタンドから本を取る音、紙が捲れる乾いたような無機質な音。
なんだっけ、凄く面倒臭い本を読んでた気がする。しかも顔に似合わず女性作家だったような。
それとも、もう違う本、読んでるのかな。
今まで本を読む人はまわりにいたことがなかった。だから新鮮だ。俺もたまには読もうかな、本くらい、日本語くらい。どっかの鉄面皮みたいに英文書類ばっかり読んでる変態にはなりたくないしな。
意識がぐらぐらしてきた。多分もう、寝れる。良い夢見れるはず。
「なんだよー、流石に申し訳ないじゃない」
「まぁ、仕方ないよね、潤だもん」
「俺だって何かの役に立ちたいー!」
「病んでるねー。どうしたの今回は」
「言わねぇし」
「いや俺、潤の話聞くの好きなんだよなー。
『あのクソ死ね!』とか『なんなのあのクソガキ。こんなんも出来ないとか死ねよ』とかさ」
「悪趣味だなぁ。てか俺そんな悪口言ってる?」
「言ってる言ってる。7割りくらい愚痴だよ。
けどスカッとするから好きだよ、それ」
「あ、それ」
流星にも言われた。
「流星にも言われたよ今日。てゆーかさ、あいつ鉄面皮って自覚あったんだけどマジウケるー」
「あぁ、なんだけ、同期で突然上司になった奴だっけ?そいつ」
「そうそう」
洗い終えてふと、祥ちゃんはベットに座った。
「てか潤、眠くないの?」
「眠い眠い。けどさー、人前で寝れないよねー」
「タチ悪いもんね潤の癖。居てやるから寝たら?寝るまでその話聞かせてよ」
そう言ってくれたので、甘えて俺も取り敢えずソファからベットに移動して寝転がった。
「今日はね、夜勤明けに高尾山に行ったよ」
「へぇ」
「政宗と流星と。傷心旅行ってか反省会。仕事で大ミスこいちゃってね。もーやってられるか!って」
「はっはっは、なんだ、案外仲良いじゃん」
「違うよ。流星がすっごいなんかさー、もう…話したくもないような、なんか暗ーい話し始めてさ、『いっそ山に埋めてくれ!』とか言うからさー。俺が提案したの」
「で、連れてってもらったの?」
「そう。
…なんかね、政宗…しばらく留守にするとか言い出してさ。だから拾ってきた野良猫預かってって。それに流星ガチギレ。もうやんなっちゃう」
「うん、そうか」
そう言って手を握ってくれる祥ちゃんの体温が、珍しく俺より低くて。
「今日疲れてんな」
「うん、まぁ…」
「休みならゆっくり休めよ。潤は無理すると面倒だから」
ゆったりと紡ぐ、滑らかな耳障りの低い声。
それだけで、安心して、いつの間にか意識が微睡んで。
「おやすみ、潤」
頭を撫でてくれるその手が。
「いい夢、見れそう」
逆に非現実的だな。
俺の現実ってそう、本当はこれだけ平和だったのかな。目を瞑ってみて少しだけ考えてみる。
25年の人生で恐らく、祥ちゃんといる時間は幸せな分類に入るかも。とくに何もない時間、それが凄く、なんか落ち着く。
「ふー」
「なんだよ、起きてたの」
「うーん」
でも祥ちゃんは、俺を知らない。
だから凄く、
「落ち着く」
「そりゃよかった」
あぁ、寝れる。
もう少しで、多分…。
ベットスタンドから本を取る音、紙が捲れる乾いたような無機質な音。
なんだっけ、凄く面倒臭い本を読んでた気がする。しかも顔に似合わず女性作家だったような。
それとも、もう違う本、読んでるのかな。
今まで本を読む人はまわりにいたことがなかった。だから新鮮だ。俺もたまには読もうかな、本くらい、日本語くらい。どっかの鉄面皮みたいに英文書類ばっかり読んでる変態にはなりたくないしな。
意識がぐらぐらしてきた。多分もう、寝れる。良い夢見れるはず。
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