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The 17th episode
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『…というわけでして、部長から』
「わかった了解。流星はこちらが大筋だと、言ったわけだな?」
『そうですね』
「あいつらやべぇな。
してじゃぁ…どうすっかなぁ…。
まぁ、てめえら死んでも帰ってこい(笑)と伝えといてくれ」
『…かしこまりました。(笑)、ホントにいいんですか』
「ごめん、うそ」
「何の話してんだ荒川」
帝都大学、向かう途中の車内にて。
特本部副部長、荒川政宗はちらっと、後部座席右側、運転席の後ろで自分の隣に座る元上司、原田に、極力表情を向けないよう、タバコを吸うフリをして窓の外に凭れて部下とわざわざ携帯電話で電話をしていた。
なんでも、フェイク、だと思われていた立て籠り事件、いま向かっている現場、帝都大学。こちらがどうやらビンゴであったらしい。
人質、マトリ副部長里中栄が人質、現在引き上げるはずだった捜査員、学生やら医師やら全てそのままにして敵方に立て籠られた。予定ではそれは帝都大学で起こるはずだった。
つまり前回の、つまりは特本部が出来た初戦パターンで行けば…。
「原田さん。
あちらにはおそらく、警視庁か警察庁、いずれにせよテロ対策本部を立てて頂いたたとする。人権が増え、里中さん救出には楽になると思うんですよ」
「あぁ、だが」
「しかしだ。
行ってみて、もし。
もぬけの殻、だったときあんた、相手が何を仕出かすと思います?」
「はぁ?」
「いやね、
前回、まぁ、ウチら特本部が出来たきっかけのホテル立て籠りを思い返してみたら。
大筋の闇取引きは大使館、つまりはホテルでなく、別所で行われていた。流星は先にそちらに向かったわけだがまぁ、あいつは頭が少々ボケてんのでな、大使館は爆破でもされるかと考えて、それなりの人物を少人数、秘密裏に配置して、あと一歩で取り逃がした。取り逃がしたがために相手方に、まぁ、こちらの手が読まれ、ホテルに毒薬を流し込まれて残った捜査員がdead endだったわけだ。
つまり。
今回あいつが大筋だと言ったのにはそういった意味がある。里中さんと、大学、マトリの残った捜査員が諸々敵方の手にあり、いま、大々的に警察組織が動いた。
前回パターンを生かすならこちらがやはりビンゴ、あっちは最後毒薬ぶちこまれて全員死亡パターンなわけでして」
「はぁ?」
「だが、里中さんを捉えられている以上、おそらく相手方は、マトリ、お宅ら狙いなんですな」
「で?」
「だからお宅らは、まぁ俺がいま話したことに気付いてはならない、という体なんです」
「もったえぶんなよ荒川っ、」
「はいはい。
愛蘭、賭けだ。
闇取引とか全部捨てて俺たちが行く、もしくはやつらが、犬死にすることを捨て迅速に組織を潰すため、テロ対策本部へ丸投げしてこちら来る、どちらがセンスがあると思う?」
『えっ、』
政宗はタバコに火をつけ、にやりと笑った。
「さっきの撤回。どっちもセンスねぇ。
てめぇら死ぬから戻ってくんな(笑)と伝えてくれ。
霞ちゃん、伊緒りん、んなわけで、俺ら速攻で大ボスをぶちのめすことになったわ。裏口捜査初だなぁ…、お前ら」
深い笑み。さらに後ろの席に振り返り、政宗は言う。
霞、伊緒はそれぞれ、特に何も言わず、睨むように政宗を見つめ返した。
「んな、何言ってんだお前」
「生憎マトリ軍はほぼあっちに取り押さえられている。人権はいるが、しかし、まだ誰か、悪いが俺はお宅らの闇を暴いていない。
通信はその辺にしておこう。あと、ウチの部長の受け売りは、『自分の身は自分で守れ』これだけ全員に伝わればいい。自ずと答えが出てくるさ元部長。
あんたは正面から行ってくれぃ。死にそうになったら連絡を、まぁ俺か、愛蘭か、そこのトリッキーお姉ちゃんか可愛い兄ちゃんにでも。誰かしら行く。
おそらくお宅らが追ってる案件、ウチが追ってる案件もこっちにある。
こちらを迅速に片付ければあちらは誰も死なずに返せる」
「んなこと」
「あるんだよ、あんたと違ってこの案件、悪いが俺は8年目、仲間は10人以上殺してきたんだ」
「…お前、」
「頼るしかないのさ、後輩を。そして誰も殺したくはないんだわかるか原田さん」
政宗は携帯電話を切って、はっきりと睨み上げるも笑う不適さはしかし、どことなく哀愁のあるもので、
あぁ、そうだこいつ。
マトリを去る当初、そういやこんな反抗的な顔していたなと、原田はふと最後に政宗と喧嘩別れをした日を思い出すようだった。
覚悟はしてきたつもりだが。
「荒川、」
「なんですか」
「俺だってな、無駄に部下死なしてねぇよ」
まぁ、しかし。
「なら死んでも奴ら捕まえてくれません?それであんたが死んでも別に犬死にだなんて俺は言わねぇ。
だから死にそうになったら無駄なプライドは捨てろよ元上司」
確かにこいつとは。
「気が合わないな荒川」
「本当に、あんたんとこいなくなって精々してたんだがな」
気が合ってはならない存在かもしれない。
互いに睨み合って、それからそれぞれ窓を睨んだ。
空気が明らかに悪い。
ただ間違いなく、地点は一緒なのではないか、そんな気がしてならないのだが。誰もそれを言えてこなかったから、現在政宗はこの男につかず、原田もこの男を認められずにいるのかもしれない。
「わかった了解。流星はこちらが大筋だと、言ったわけだな?」
『そうですね』
「あいつらやべぇな。
してじゃぁ…どうすっかなぁ…。
まぁ、てめえら死んでも帰ってこい(笑)と伝えといてくれ」
『…かしこまりました。(笑)、ホントにいいんですか』
「ごめん、うそ」
「何の話してんだ荒川」
帝都大学、向かう途中の車内にて。
特本部副部長、荒川政宗はちらっと、後部座席右側、運転席の後ろで自分の隣に座る元上司、原田に、極力表情を向けないよう、タバコを吸うフリをして窓の外に凭れて部下とわざわざ携帯電話で電話をしていた。
なんでも、フェイク、だと思われていた立て籠り事件、いま向かっている現場、帝都大学。こちらがどうやらビンゴであったらしい。
人質、マトリ副部長里中栄が人質、現在引き上げるはずだった捜査員、学生やら医師やら全てそのままにして敵方に立て籠られた。予定ではそれは帝都大学で起こるはずだった。
つまり前回の、つまりは特本部が出来た初戦パターンで行けば…。
「原田さん。
あちらにはおそらく、警視庁か警察庁、いずれにせよテロ対策本部を立てて頂いたたとする。人権が増え、里中さん救出には楽になると思うんですよ」
「あぁ、だが」
「しかしだ。
行ってみて、もし。
もぬけの殻、だったときあんた、相手が何を仕出かすと思います?」
「はぁ?」
「いやね、
前回、まぁ、ウチら特本部が出来たきっかけのホテル立て籠りを思い返してみたら。
大筋の闇取引きは大使館、つまりはホテルでなく、別所で行われていた。流星は先にそちらに向かったわけだがまぁ、あいつは頭が少々ボケてんのでな、大使館は爆破でもされるかと考えて、それなりの人物を少人数、秘密裏に配置して、あと一歩で取り逃がした。取り逃がしたがために相手方に、まぁ、こちらの手が読まれ、ホテルに毒薬を流し込まれて残った捜査員がdead endだったわけだ。
つまり。
今回あいつが大筋だと言ったのにはそういった意味がある。里中さんと、大学、マトリの残った捜査員が諸々敵方の手にあり、いま、大々的に警察組織が動いた。
前回パターンを生かすならこちらがやはりビンゴ、あっちは最後毒薬ぶちこまれて全員死亡パターンなわけでして」
「はぁ?」
「だが、里中さんを捉えられている以上、おそらく相手方は、マトリ、お宅ら狙いなんですな」
「で?」
「だからお宅らは、まぁ俺がいま話したことに気付いてはならない、という体なんです」
「もったえぶんなよ荒川っ、」
「はいはい。
愛蘭、賭けだ。
闇取引とか全部捨てて俺たちが行く、もしくはやつらが、犬死にすることを捨て迅速に組織を潰すため、テロ対策本部へ丸投げしてこちら来る、どちらがセンスがあると思う?」
『えっ、』
政宗はタバコに火をつけ、にやりと笑った。
「さっきの撤回。どっちもセンスねぇ。
てめぇら死ぬから戻ってくんな(笑)と伝えてくれ。
霞ちゃん、伊緒りん、んなわけで、俺ら速攻で大ボスをぶちのめすことになったわ。裏口捜査初だなぁ…、お前ら」
深い笑み。さらに後ろの席に振り返り、政宗は言う。
霞、伊緒はそれぞれ、特に何も言わず、睨むように政宗を見つめ返した。
「んな、何言ってんだお前」
「生憎マトリ軍はほぼあっちに取り押さえられている。人権はいるが、しかし、まだ誰か、悪いが俺はお宅らの闇を暴いていない。
通信はその辺にしておこう。あと、ウチの部長の受け売りは、『自分の身は自分で守れ』これだけ全員に伝わればいい。自ずと答えが出てくるさ元部長。
あんたは正面から行ってくれぃ。死にそうになったら連絡を、まぁ俺か、愛蘭か、そこのトリッキーお姉ちゃんか可愛い兄ちゃんにでも。誰かしら行く。
おそらくお宅らが追ってる案件、ウチが追ってる案件もこっちにある。
こちらを迅速に片付ければあちらは誰も死なずに返せる」
「んなこと」
「あるんだよ、あんたと違ってこの案件、悪いが俺は8年目、仲間は10人以上殺してきたんだ」
「…お前、」
「頼るしかないのさ、後輩を。そして誰も殺したくはないんだわかるか原田さん」
政宗は携帯電話を切って、はっきりと睨み上げるも笑う不適さはしかし、どことなく哀愁のあるもので、
あぁ、そうだこいつ。
マトリを去る当初、そういやこんな反抗的な顔していたなと、原田はふと最後に政宗と喧嘩別れをした日を思い出すようだった。
覚悟はしてきたつもりだが。
「荒川、」
「なんですか」
「俺だってな、無駄に部下死なしてねぇよ」
まぁ、しかし。
「なら死んでも奴ら捕まえてくれません?それであんたが死んでも別に犬死にだなんて俺は言わねぇ。
だから死にそうになったら無駄なプライドは捨てろよ元上司」
確かにこいつとは。
「気が合わないな荒川」
「本当に、あんたんとこいなくなって精々してたんだがな」
気が合ってはならない存在かもしれない。
互いに睨み合って、それからそれぞれ窓を睨んだ。
空気が明らかに悪い。
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