婚約拒否のために私は引きこもりになる!

たろ

文字の大きさ
4 / 20
第1章

そうだ、引きこもろう。

しおりを挟む
生き抜くためにはまず色々と整理しよう。

なんで私は殺されたのか。
わからない。

なんで私は生き返ったのか。
わからない。

なんで記憶が保持されているのか。
わからない。

わからないことづくしである!いや違う違う、根本を履き違えてはいけない。わかることから整理するのだ。

私は16歳のときに殺される。犯人は第二王子で婚約者であったキース殿下。犯行現場に向かったのは彼に呼び出されたから。場所は王宮内の客間のどこか。…どうしたら私は殺されない?護身術を身につける?彼の呼び出しに応じない?

彼は体格が良かったし、男と女だ。たとえ護身術を身につけても敵わないかもしれない。彼の呼び出しに応じなかったといえども他の機会に殺されてしまう可能性だってある。

違う!もっと根本的なことをすればいいんだ!

「婚約者にならず、彼に近づかなければいい!!!」

それが一番手っ取り早いし安全である!!!

かくして私は生き残るために彼の婚約者にならないこと!を決めた。


私がキース殿下の婚約者になるのは確か8歳の誕生日のはずだ。そこで父に連れられ向かった王宮で彼を紹介され、私たちは婚約者となるのだ。

『シルヴィア、こちらがお前の婚約者となるキース殿下だ。挨拶しなさい。』

『…よろしくお願いします』

彼は、赤毛に少し鋭い眼差しをした少年だった。むっつりとした表情を浮かべながらもこちらに手を差し出す。私も手を出そうとするも恥ずかしくて足を進めることができない。たっぷり数十秒は立ったのちに私はやっと彼の手に触れることができた。手が触れた瞬間、彼の体が揺れた。私が彼を見上げると彼ははにかむように笑っていたのだ。私はそのときに決心した。彼にふさわしい人になろう…と。


彼と結婚したくなかったわけじゃないし、嫌いになったわけでもない。結果として私はなんらかの形で彼を傷つけてしまい、殺されてしまった。そして彼に罪を背負わせてしまったのだ。私が殺されたのはいいにしても(よくない)次期王と目されていた彼が未来の妻を、それも侯爵家の娘を殺したとなれば罪を免れることはできないであろう。未来の彼のためにも、私のためにも殺人の被害者、加害者となることはよくないことのはずだ。いやよくない!!!


…でもどうやって婚約者にならないようにすればよいのだろうか。王族との婚約なんてこっちから断るなんてできるわけないし、そもそもクローバット家の方からもちかけた可能性もある。実際問題私に知らされてないだけで既に婚約が内定しているかもしれない。

…そういえば、ふと思い出されるのは1回目の時の会話。

『ねえ知ってる?カンダス子爵の奥様。』

『あ!あの方心の病にかかられて療養されていらっしゃるらしいわね』

『療養って言ったってカンダス家の領地でなく奥様の実家の方に向かわれたそうですもの!もう離縁と一緒ですわ!』

なんとも不謹慎な貴婦人たちの噂話であったが思いがけない情報であったが体自体は健康な自分が婚約拒否するにはこれ以上もない大義名分だった。

「心の病…」

おかしな言動をずっとしていれば良いのだろうか。でもすぐにボロが出てしまいそうだ。

「あっ!!!」

そうだそれならば

「引きこもっていればいいんだ!」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

戦いの終わりに

トモ
恋愛
マーガレットは6人家族の長女13歳。長く続いた戦乱がもうすぐ終わる。そんなある日、複数のヒガサ人、敵兵士が家に押し入る。 父、兄は戦いに出ているが、もうすぐ帰還の連絡があったところなのに。 家には、母と幼い2人の妹達。 もうすぐ帰ってくるのに。なぜこのタイミングで… そしてマーガレットの心には深い傷が残る マーガレットは幸せになれるのか (国名は創作です)

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た

青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。 それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。 彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。 ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・ ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

ベルガー子爵領結婚騒動記

文月黒
恋愛
その日、王都より遠く離れたベルガー子爵領は、俄かに浮き足立っていた。 何せ、ついに領民一同が待ち望んでいたベルガー子爵の結婚相手がやって来るのだ。 ちょっとだけ(当領比)特殊な領地の強面領主に嫁いで来たのは、王都の男爵家の末娘・マリア。 だが、花嫁は領主であるベルンハルトの顔を見るなり泣き出してしまった。 最悪な顔合わせをしてしまったベルンハルトとマリア。 慌てるベルンハルトの腹心の部下ヴォルフとマリアの侍女ローザ。 果たしてベルガー子爵領で彼らは幸せを掴めるのか。 ハピエン確定のサクッと読めるギャグ寄り恋愛ものです。

処理中です...