9 / 20
第1章
馬鹿にするな!
しおりを挟む
「シルヴィ…また本かい?そろそろ社交界にも…」
「あっこれね?ありがとうお父様大好き!!!」
ちゅっと頰にキスをし、悶えている父をよそに本を抱えて書斎を出る。危ない危ない、社交界に出ないと本を与えないなんて言われたら面倒臭いことになる。…うふふふ、それにしてもこの本たち!!!評判は聞いていたけれど量が多くて普段買ってもらうには気が引けていたものがついに!手に入った!!!この作家は若いらしいけれどなかなか味のある文章を書くのよね~早く読みたい!そんなところに水を差す人が。
「おい、シルヴィア。」
「あらお兄様」
「お兄様???」
「お兄ちゃんどうしたの!!!」
久しぶりに会った兄は背が高くなっていてなんか変な感じ。もっと背が高くなるのだと知ってはいるもののこの頃はある意味で走り回っていた頃だったから新鮮である。
「お前もう9歳になるんだろう?そろそろ社交界に出るための勉強でもしたらどうだ。」
うげっとしか言いようがない。ここにも出ろ出ろ言ってくる人がいるとは。というか貴方だってこないだまで社交になんて目もくれず一緒になって走り回っていたではないか。
「聞いたぞ?ずーっと本ばっかり読んで勉強なんてしていないと」
そりゃそうだ。婚約者にならないために引きこもっているってのに淑女になる勉強なんてしてたら婚約者にされてしまうに決まっているではないか。…兄ってこんな人だったっけ?
「侯爵家の者としてもっと自覚を持つべきだし、本の中でも新興の小説なんて読むだけ無駄だ!」
…かっちーん
ニッコリと淑女然とした微笑みを浮かべる。
『そんなことありませんわ、お兄様。こうやってお兄様がまだ習得していないだろうアダトル語だって本を読むために身につけましたの。それにきゃんきゃん吠えて…全く説得力のない物言い。もう少し理知的な表現を勉強なさったらいかがでしょうか。それこそお兄様が馬鹿になさってる小説を読むことはとても役立ちますわよ…あらごめんなさい。』
「わかりまして?お兄様。」
そうアダトル語で告げる。まあ本を読むために身につけたのではなく前世の遺産というものではあるけれど…いいよね。アダトル語を学んでいる途中であろう兄には完璧には理解できなくても、単語は少しはわかったのだろう。口をパクパクさせて唖然としている。
「本を馬鹿にすることは許しませんわ。」
「あっこれね?ありがとうお父様大好き!!!」
ちゅっと頰にキスをし、悶えている父をよそに本を抱えて書斎を出る。危ない危ない、社交界に出ないと本を与えないなんて言われたら面倒臭いことになる。…うふふふ、それにしてもこの本たち!!!評判は聞いていたけれど量が多くて普段買ってもらうには気が引けていたものがついに!手に入った!!!この作家は若いらしいけれどなかなか味のある文章を書くのよね~早く読みたい!そんなところに水を差す人が。
「おい、シルヴィア。」
「あらお兄様」
「お兄様???」
「お兄ちゃんどうしたの!!!」
久しぶりに会った兄は背が高くなっていてなんか変な感じ。もっと背が高くなるのだと知ってはいるもののこの頃はある意味で走り回っていた頃だったから新鮮である。
「お前もう9歳になるんだろう?そろそろ社交界に出るための勉強でもしたらどうだ。」
うげっとしか言いようがない。ここにも出ろ出ろ言ってくる人がいるとは。というか貴方だってこないだまで社交になんて目もくれず一緒になって走り回っていたではないか。
「聞いたぞ?ずーっと本ばっかり読んで勉強なんてしていないと」
そりゃそうだ。婚約者にならないために引きこもっているってのに淑女になる勉強なんてしてたら婚約者にされてしまうに決まっているではないか。…兄ってこんな人だったっけ?
「侯爵家の者としてもっと自覚を持つべきだし、本の中でも新興の小説なんて読むだけ無駄だ!」
…かっちーん
ニッコリと淑女然とした微笑みを浮かべる。
『そんなことありませんわ、お兄様。こうやってお兄様がまだ習得していないだろうアダトル語だって本を読むために身につけましたの。それにきゃんきゃん吠えて…全く説得力のない物言い。もう少し理知的な表現を勉強なさったらいかがでしょうか。それこそお兄様が馬鹿になさってる小説を読むことはとても役立ちますわよ…あらごめんなさい。』
「わかりまして?お兄様。」
そうアダトル語で告げる。まあ本を読むために身につけたのではなく前世の遺産というものではあるけれど…いいよね。アダトル語を学んでいる途中であろう兄には完璧には理解できなくても、単語は少しはわかったのだろう。口をパクパクさせて唖然としている。
「本を馬鹿にすることは許しませんわ。」
1
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
リアンの白い雪
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。
いつもの日常の、些細な出来事。
仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。
だがその後、二人の関係は一変してしまう。
辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。
記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。
二人の未来は?
※全15話
※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。
(全話投稿完了後、開ける予定です)
※1/29 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
褒美で授与された私は王太子殿下の元婚約者
アズやっこ
恋愛
私が暮らすエーネ国は長い間隣国と戦続きだった。
長い戦を勝利に導いたのは一人の騎士。近い将来次期王宮軍騎士隊長になるだろうと噂されていた侯爵家次男のリーストファー副隊長。
この度の戦で右足を負傷し杖無しでは歩く事も出来ないと聞いた。
今私の目の前には陛下の前でも膝を折る事が出来ず凛と立っているリーストファー副隊長。
「お主に褒美を授与する。何が良いか申してみよ」
「では王太子殿下の婚約者を私の妻に賜りたく」
え?私?
褒美ならもっと良い物を…、爵位とか領地とか色々あるわよ?
私に褒美の価値なんてないわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる