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34話 予期せぬ訪問者
しおりを挟む何だか外が騒がしい。
眠りから覚めるといつもの状況と違うことに気づいた。
まず部屋が自分の部屋じゃない。
そして、やけに固いマットだと思っていたのは人の胸板で耳に聞こえるのは鼓動で自分が誰かの上で寝ていることがわかった。
ぱっと顔を上げるとそこにはアレクの寝顔があった。
「んん~……。」
私が動いたことによってアレクも起きたらしい。
まだ眠そうな目をしぱしぱさせると固まったままの私と目が合った。
「あ……。」
バンッ!!!
突然、部屋の扉が開いてお父様が飛び込んできた。
「…◎△$♪×¥●&%#?!!!」
私達の状況を見て驚愕したように目を見開いたまま真後ろへ倒れた。
後から来たセバスチャンが倒れるお父様をとっさに支えた、それから続々と人が入ってくる。
「あらあら、最近の若い子たちは結構大胆なのね~。」
アンジュ御祖母様が感心したように言う。
「まあまあ、やっぱり運命の二人なのね! ウフフ…。」
と朗らかに笑っているのは御祖母様の妹のエマ様。
「……アンディ、刀を出せ。一番切れ味がいいのを頼む。」
何だか目が座っているのはパトリック御祖父様。
「御意。最近、打たせた刀がございます。試し切りにはいいかと。」
御祖父様の従者のアンドリューが真面目な顔で刀を差し出している。
「お、御祖父様、御祖母様。ど、どうしてこちらへ。」
「まあまあ、話はゆっくり聞かせてもらうわ。とにかくそこから降りなさいな。」
私はあまりの出来事に体が動かず、いまだにアレクと同じベッドの上にいた。
アレクを見ると彼も固まったまま顔色が真っ青だ。
「ああ! あの、誤解ですっ、誤解されるような見た目だと思いますが、アレク様と私は何でもありません! ちょっとお酒を飲みすぎてしまって…。」
慌ててベッドから降りながら弁明する。
「貴様っ!! まだ年端もいかぬ娘に無理矢理、酒を飲ませたのか!」
御祖父様が青筋立てて、鞘から刀を抜いた。
「すとーっぷ!! 御祖父様、違います。私が最初にお誘いしたのです!」
「あら、これウチで作っている『鬼嫁』じゃない。」
「はい、成人したのでやっとお酒が飲めると思って最初に御祖父様達が作ったお酒が飲みたくて、アレク様に無理を言って一緒に飲んでいただいたのです。…それがちょっと過ぎてしまって。」
「まあ、初めて飲むお酒がウチのお酒というのは嬉しい事だわ。でもまあ、何もなかったようだし、いいのではないかしら。」
「「よくない!!」」
あ、お父様が復活されたようだ。御祖父様と声がダブった。
「はいはい、こんなところではゆっくり話もできないわ。セバスチャン、サロンへ案内して。あなた達は着替えてから来なさい。」
「はい。」
「二人とも、サロンへ行くわよ。」
「ま、まて、アンジュ、俺はアレックス殿下と話がある!」
「私もです! 母上っ、ちょ、首締まっています!」
「はいはい、ゆっくり下でお話しましょうね~。」
お祖母様が御祖父様とお父様の襟首をつかんで引きずって行った。
「あの! 本当にすみませんでした!! 私が深酒しなければ…。」
「いや、いい。俺にも責任がある、起こしてでも部屋まで連れて行けばよかったのだ。」
「アレク様のせいではありません! 誤解が解けるよう、ちゃんと話しますので! アレク様に危害を加えるようなことはさせませんので、絶対!」
「あ、ああ。よろしく頼む……。」
アレクは力なく笑った。
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